海神サマとの戯れ
うねりが青い帯のように横に広がり、その頂点が見る見るうちに膨らんでいく。
まずは遠目から見物。
セットは三本。
海の神様が三人やってくる。
一人目は、むっちりとふるい付きたくなるような豊満な女神サマ。
四人のサーファーが横並びになって、その女神の唇を奪おうとパドルを開始。
しかしそのうち三人は、すぐにボードを引いた。
残ったのは唇の天辺に一番近かったプロサーファー。
余裕のパドルで、敢えてレイト気味のテイクオフ。
女神サマは嬉しそうに、形の良い大きな唇をゆっくり開いて誘ってくる。
遊 ン デ ・・・
女神の口に急降下。
そのまま吸い込まれないよう、下唇で慎重に大きくボトムターン。
白く長い尾を引く軌跡を刻み、再び上唇に駆け昇り、ボードで強く擦るように愛撫すると、透明に光る唾液が大きく弧を描いて飛散する。
快感に耐えかねた女神サマは、激しい吐息を一気に吹き出し、喉を反らせて歯を食いしばる。
すると口角が左右にグンと広がり、大きな水のトンネルが横一直線に掘れ上がった。
その中をフルスピードで駆け抜けようとするサーファーを、食べてしまおうと女神の舌がそれを追い……
……のような光景を、タケルは指をくわえて見守った。
くぅぅぅ、、、良いなぁ〜〜〜〜!!!
二本目は、気の荒い犬神様のような荒い波が、沖から早くも吠えたて始める。
ピークにいた一群は全員それをパスし、ショルダーからビジターサーファーが意を決して突っ込んだ。
テイクオフと同時に、鋭い透明な犬歯が降ってきて、ボードに噛みつく。
そして波の底辺に振り落とされ、執拗に踏みにじられた。
その隙にまた1人がノミのように素早く肩から滑り降り、細かい動きでボードを操り、あとは犬神に気づかれる前に、パチンと波の裏へ飛んで消え……
……のような光景をタケルは、また指をくわえて見守った。
うーん、、、まずはアレでも十分だべ
そして3本目は、更に広がりすぎのダンパーブレイク。
ケンタとリョウタみたいなガキの神様達が横並びに手を繋ぎ、バタバタと突っ走って来るようだ。
その情け容赦ない波に、ミドル付近で波待ちしていたサーファーは、ガサツな足に積み木のように蹴散らされ、 裏返されたボードと、真っ白い泡がインサイドに向かってドドドドーーーッと……
……あれだけは勘弁してほしい
タケルは一人、苦笑した。
そしてピークに目をやり、両手で頬をパンと叩いた。
さーて、こんなところで見てるだけじゃ始まんねーべゃ
黒目がちの一重の目が、キラリと光る。




