月の迷宮
「ええ、景色やな!」
クレイはアルカラを見ながらつぶやく
『隼人! ここは本当に月だよ、この世界はすでに月に行けるんだね』
「やっぱりそうなんやな、ちなみにどの月なんや」
アルカラから見える月は三つある、青の月、赤の月、そして神の月である、説明すると神の月とは月の女神が管理する月で、赤の月、青の月はその月の女神の眷属が管理している。
青の月、赤の月には共に小迷宮があるが入り口が火山の中と、海底の中なのでまだ攻略者はいない、月の女神の管理する神の月の入り口は、簡単そうにクレイが入ったが、入り口に行くまでの何百と言う分かれ道に自分の行こうとした道の逆に行かなければ辿り着けない鬼畜仕様のダンジョンである。
クレイみたいなアホか、この迷宮の性質に気づいたものしか辿り着けなかった
『ここは神の月と呼ばれる月だよ、黄色のやつ』
「ああ、あの一ちゃんデカイ月か」
『とりあえず進もうよ隼人』
「そやな」
ちなみに今回も彼らはここが迷宮だと気付いていない、ただの洞窟にワープ装置があった! と思っている。流石に気付いてもいいのに
「しかし、地上にはどうやって帰ればええんやろ?」
『大丈夫だよ、ブライザーになれば大気圏もへっちゃらじゃないか?』
「何言ってんねんけど、あれめっちゃ暑いねんぞ」
クレイとブライフォンが脱出方法を考えてると、大きな角が生えたウサギ達が現れる
「ぷぎー! ぷぎー!」
『あっ、角ウサギだ、隼人あれはこの世界で最高級の食材だよ』
「なんやと!」
クレイの目つきが変わる。ブライソードですぐさま角ウサギを倒す、一突きだ
「最高級なんか、さぞかし旨いんやろな」
「で、どうしたら食えるんや?」
『まず血抜きしとかないと、首のところを切って』
ブライフォンが角ウサギの処理の仕方を説明する
「こうか! 出来たで!」
『うん、いい感じだよ、本当に隼人はこういうの得意だよねバーベキューで凄いはしゃぐし』
「まあな、俺ほど肉焼くの上手い奴おらんで」
そう言いながら角ウサギの処理が終わるがクレイは思う、これどうやって持って帰ろうかな?
「どうしようブライフォン?」
『えっ、なんだよ隼人そんなの僕の次元収納システム使えば良いじゃないか』
「なんやそのめちゃくちゃ便利そうなシステム、俺知らんぞ!」
クレイはブライフォンにどういう事なのか、なぜ今まで黙っていたのか問いただすブライフォンは
『なんで知らないのさ、て言うかさいつもブライソードの出し入れに使ってたじゃん』
「えっ、そうなん?」
『えっ、知らなかったの、本当に? だっていつもブライソードをそこから出してたじゃん、あまりにも自然に使っていたから知ってるもんだと思ってたよ』
「あれは、ブライソードや不思議な力やなかったんか!」
クレイは次元収納システムを使いこなしていたが、ブライザー関連のアイテムにしか使用しておらず、ブライザー関連のアイテムは不思議な空間から出てくるもんだとずっと思っていた。ブライフォンが呆れながら
『隼人はそういうところあるよね、だいたいさ』
説教を始めてしまった。クレイは思うこれは長なるなーと
『聞いてるの隼人』
「ああ、聞いてるで」
『だから隼人はね』
「すみませんでした」
ブライフォンの怒りに謝る事しか出来ないクレイだった。
そんなこんなでクレイの迷宮探検は続く、とりあえずそこそこ広い空間にでる。
「ふむ広い空間に出たな、流石にモンスター達がうざすぎやわ」
クレイはここに来るまでに、ブライフォンの説教を聞きながら迫り来るモンスターをちぎっては投げちぎっては投げ撃退して行ったのであった。
「ここはモンスター出てこんな? ちょっと一息つくか」
『そうだね、もうかれこれ三時間は歩いたからね』
「あー、つかれた!」
そういって座るクレイ、とりあえず飲み物飲みたいがそんなもの用意してない事に気付く
「あかん喉乾いた、どうしよう?」
クレイ最大のピンチだとクレイは思ったがブライフォンが
『隼人さっき次元収納システムの使い方教えたろ、そこに食料品など詰め込んでるから使うといいよ』
「なんやて? お前マジで凄くなってるんやな」
そう言うとクレイは即座に食料品や飲料を取り出す、バクバクと飲み食いし満足したクレイは
「ふー、そろそろ探検でもするか」
そう言って奥に進む、暫くすると急に身体が浮いた
「うおー」
気付くと天井にぶつかる
「いてっ」
頭を打つクレイ
『隼人気をつけて、ここは無重力空間になっているよ』
「なんやて!」
『ついでに何かくるよ!』
ブライフォンが注意する。
スーッと風が流れたような気がした瞬間
スパッとクレイの頬が切れる、そして血が流れる
「いた、なんや!」
『隼人、何かいるけど見えないよ』
「ほお、見えない敵か! なんかお約束やな」
『お約束って対策でもあるの?』
「いや、全く思いつかん」
『隼人!』
そうこう言っても敵は待たないので、どんどん攻撃をしてくる
スーッ! スーッ!
スパッ! スパッ!
切り傷だらけになるクレイ
「くそ、どこおんねん」
見えない相手にイラつくクレイ
そんな時
「そこか!」
クレイがブライソードを振る、すると真っ二つになる見えない敵、息絶えるとその存在が顕になる、平べったいまるでカレイの様な生き物だった。
『なんでわかったの隼人?』
ブライフォンが何故?と不思議そうに尋ねる
「ああ、こいつ俺の血がついてたからな、すぐわかったわ」
『ああ、なるほどね』
「しかし、えぐいモンスター出るところやの」
『そうだね、あっあそこに違和感がある隠し部屋じゃないか?』
ブライフォンは空気の流れに異常を感知する
クレイはブライフォンに言われた場所を調べると、そこには特になんの変哲もない壁がある、しかしクレイが調べようとしたらスルッと手が壁の中に入っていく、どうやら幻影の様だ
「なんやここ、視覚を誤魔化す罠多いな」
クレイはそんな感想を持ちながら先に進む、そこには、
一面の金だった。
「なんじゃ、ここ! 金ピカやんけ!」
『わー、本当だね〜』
「これで、小遣い生活ともオサラバや」
クレイは大商会の経営をしながらも、母親にお金の管理をされていた。月1万ルクスである。
「これであれもこれも買えるでー!」
テンション上がりまくりのクレイだったが急に景色が変わる、ブライフォンはそう言えばこんなこと前もあったなーと思っていたが、クレイは
「なんでやねん!」
金が無くなったことに衝撃を感じていた。