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この世界を救えブライザー!変身ヒーローの異世界転生  作者: にんにん
第四章 この大陸を救え!ブライザー
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強さは何か?

 シルジンはルシュタールのとある地方の村出身で、親は農家である。それが5歳の時の選定の儀で三つの属性がある事が分かり、村から期待されて騎士学校に送られた。

 村ではガキ大将で、何でも一番だった。しかし騎士学校にて初めて自分より強い存在に出会う、それがカイエン公爵の若かりし時である。

 しかしシルジンは腐ること無く自らを鍛えることでカイエン公爵に追いつこうとした、そして第一騎士団団長にまで上り詰めたのである。

 そうシルジンは努力する男だった、努力すれば誰にでも勝てると思っていた、そうあの時までは

 クレイを初めて見た時の印象は、ふてぶてしいクソガキだった、だがルシュタールの時期国王候補だった為、騎士として真摯に接した、クレイの無茶な特訓も受け入れた、だがクレイの強さは受け入れられなかかった。

 そうクレイは強すぎたのだ。

 しかし、まだそれは耐えられたのかも知れない、彼の心を折ったものそれはクレイに指導を受けたブライレンジャーの活躍、自分が何も出来なかったのに守るべき子供に守られたという屈辱、その言いようの無い感情に折り合いがつかず、彼はルシュタールを去っていった。

 その後の彼は、強くなる為なら何でもした、冒険者として凶悪な魔物とも戦った、難関迷宮も入った、しかしどれだけ努力してもクレイはおろかブライレンジャーにすら勝てると思えなかった。

 そんな彼が悪魔の誘惑に負けるのは必然だったのかも知れない、シルジンはその強さゆえ、心の弱さを知られることが無かった。それゆえ彼は今怪人としてここにいるのだろう。


 「それが今のお前かシルジン?」


 「ええそうです、俺の強さです」


 「強さか」


 クレイは強くなる為に怪人になったシルジンを咎める気など無かった、彼は強さを手に入れる為に常識や道徳などが必要だと思っていなかった、彼はただ信念のみが人を強くすると思っていたからだ。だから怪人になったシルジンの選択が良いとも悪いとも思わなかった、だがオリバーにつくということがどういう事か理解してるシルジンを討伐する事に躊躇いは無かった。

 立場で敵は変わる、それがクレイの考え方の根本であり、彼は利己的なヒーローだからだ、いやそうでなければ守りきれなかったからだろうか、ブライザーになって最初は全員を守れると思っていた。

 だが無理だった、彼は幼馴染を失い、家族を失い、仲間を失いそして理解した、一人で出来ることのなんと少ない事かと、それから彼は変わったのだ守るとは重ね合わせることだと、自分が守る事で自分も守られていると、一人では出来ないことも力を合わせれば守れると、その為にこの世界でもWSSと言う組織を作った。

 守ると言うより守り合う、それが彼の信念である、だからこそどんなに孤独な戦場に立つことになっても、彼は安心して戦えた。

 だが様々なものを守れなかった彼はもう一つ信念がある、それは


 「シルジンよ、俺の信念はの敵は必ず倒す! それだけや」


 どんな状況でも迷わず敵を倒す、どんな相手でも敵を倒す、それが数多くの戦いを通して理解した鉄則であった。


 「そうですか」


 シルジンの額に汗が流れる、オリバーもこの時のブライザーを知っていたが、その殺気は心地よいものと認識している、心が躍り血がたぎるからだ。


 「正直お前らにかまっとる時間はあんま無いからの、すぐ終わらせたるわ」


 「クレイ様、いくらなんでも魔核によって、貴方のブライザーとやらを越える力を持った私に大言を吐きすぎだ、このクソガキが!」


 シルジンはクレイへの嫉妬と憎悪を隠す事をしなくなった、憎しみのこもった目で剣を振りかぶってきた


 「シルジンよ、お前は勘違いしとるわ」


 その剣戟をあっさり躱すクレイ


 「なに!」


 怪人となり人外の者となり、それでも彼の攻撃はクレイに届かない


 「ブライザーだから強いんちゃうで」


 「ぐふぉ!」


 いつの間にかシルジンの懐にいたクレイに腹を殴られる、その攻撃は怪人となったシルジンでも耐えられなかった。

 

 「俺が強いからブライザーなんや」


 「戯言を」


 シルジンは怒りのままに剣を振り回すがクレイには当たらない


 「なんだあの動きは?」


 ライネルは今までに無いクレイの動きに戸惑う


 「シルジン知ってるか」


 「くそ、くそ、くそ」


 「拳王っておるやろ」


 「何を言ってる?」


 クレイの動きについていけないシルジン


 「あいつ実はオークなんやって」


 「馬鹿な事を言うな」


 拳王はルシュタールっ子ならみんなが知ってるヒーローである、シルジンもそのヒーローを馬鹿にしたら怒るのである、しかし


 「ふん、シルジンよ拳王がオークだったとして何故怒る」


 「拳王を馬鹿にするとは、どこまでもクソガキめ」


 「拳王がオークであろうと無かろうと拳王は拳王だ」


 「何を言ってる」


 「シルジンお前の中には、何かだから強い、そして何かだから弱いと思ってる」


 「それがなんだ!」


 暴れるシルジン、躱すクレイ


 「父上に負けてもお前はそこまでにはならなかった」


 「くそが!」


 「俺に負けてもまだ大丈夫だった」


 「くそ、くそ」


 攻撃がゆっくりになる


 「だがエリザ達は許せなかった」


 「な、何を」


 「あいつらはスーツと言う物で強くなったから」


 「それがどうしたんだ!」


 シルジンは吠えるだけだった


 「シルジンお前は、嫉妬した、貴族であるあいつらの優遇に」


 項垂れるシルジン


 「あいつらにあったスーツと言う理不尽に」


 憎しみの目でクレイを睨みつける


 「自分は強い、あの子供はずるいだけだと」


 「くくく、否定はしないさ、あのスーツがあれば俺がルシュタール最強だったからな」


 シルジンはドス黒い何かで覆われてるようだった。


 「そうだシルジンよ、それが勘違いなんだよ」


 「何が勘違いなんだ!」


 「あのスーツの機能はな、自身の力を最大限まで引き上げる事」


 「なに」


 「お前は拳王がオークだと嫌だと思った、そして子供に負けるのも嫌だと思った、何故か? 外側しか見てないからだ」


 「なんだと」


 「第五階位の魔法なんて本気で修行すれば誰でもできるんだよ」


 「馬鹿を言うな、インチキのくせに」


 「インチキね、お前のその姿もインチキなのか?」


 「そうだなインチキだな」


 「ふん、そのインチキを使っても生身の俺に指一本触れられない」


 「うるさいどうせインチキなんだろうお前も」


 「違うな、全然違う、お前は強さを勘違いしている」


 「じゃあ何が強さなんだ?」


 「決意だよ」


 「なに?」


 「拳王の強さは何故か? 彼はオークでありながら愛しの姫を救うために戦うと決意した。

 エリザ達は、街を守ると決意した。

 お前はあの時なにを決意した?」


 「決意だと、馬鹿な話だ、それこそ力があるものの傲慢だ」


 「そうだよな、分からないよな、何故なら決意をした事無いんだからな」


 「馬鹿にするな、俺は強くなると怪人になる決意までしたんだ」


 「違うな」


 「違わない!」


 「違うな、シルジンお前は強くなる決意をしたんじゃ無い、騎士として強者でいられなくなる事に恐怖した」


 「何を言ってる、そんなことあるか!」


 「エリザ達が眩しかったんだろ、強くなっていくあいつらが」


 「ぐっ」


 「羨ましかったんだろ拳王の生き方が」


 「何を」


 「お前は力強きものがそれを成してきたと思っている」


 「そうだろうが!」


 「だから勘違いだと言う、この世界が作り出されていく中で名もなき勇者達は沢山いた、その全てが力強きものでは決してなかった。

 歴史の分岐点で様々な決断をしてきたもの達がいた。

 シルジンよ、決意とは約束だ、自分とのな」


 「何を言いたい」


 「お前とて、こうなりたいと決意をしたのだろう、だが裏切った自分を」


 「馬鹿な事を言うな、違う、違う」


 「強さを間違えるなよ、決意し決断し実行する、どんな困難があろうとも、あいつらとお前の、拳王とお前の強さの違いだよ」


 「違う、インチキをしたあいつらは強く無い、強いのは俺だ!」


 「そうか、ここまで言っても分からなかったか、まあ俺も師匠に言われた事だがな」


 「師匠?」


 「ではシルジンよ、教えてやる強くなると決意したものが創り出してきた、どんなものにも負けない覚悟を」


 クレイは必殺の構えをするのであった。

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