次の日の朝
「クレイどこ行ってたのじゃ、何処かに行くなら一言いってからいくのじゃ、じゃないとエリザが泣いてしまうのじゃ」
葉美姫の隣で泣いてるエリザベート、どうやら朝帰りのクレイが心配で仕方なかったらしい、他の皆んなは大して心配はしてない、夜中クレイがいなくなるのはよくあることだからだ。
「なんやすまんな、ちょっとあってな」
「むぅ、なんかあったのじゃ?」
「ん? 特には無いけど」
「なんか雰囲気が変わったのじゃ、なんか凝縮されたみたいな? 一回り成長したような、まあ良いのじゃご飯にするのじゃ」
「そうか凝縮とは上手いこと言うな」
葉美姫の指摘に成る程と納得し呟く
「何か言ったのじゃ?」
「いや、なんも無いで」
「そうか、ではエリザいつまでも泣いてないで行くのじゃ、クレイは帰ってきたのじゃ」
「うわーん、クレイ様」
「なんや?」
エリザベートが抱きついてくる、エリザベートはあまり抱きついたりしないのでビックリするクレイ
「くすん、心配しましたわ」
「なんや心配かけてすまんな」
そう言ってエリザベートの頭を撫でる、そしてエリザベートは顔真っ赤にして、でも嬉しそうにしている
「じゃあ飯にするか」
「はい、クレイ様」
エリザベートは満面の笑みでクレイについて行くのだった。
「で、何してたのじゃ昨日は?」
「あん、なんや鳥と戦って俺と戦ったわ」
「うーん、クレイの説明はいつもよく分からないのじゃ」
葉美姫はクレイの省き過ぎた説明を聞いて、うんうん唸っていた。
「クレイ様、今日のご予定は何ですの?」
「あん、確か今日は休みにしてたな」
「そうなのじゃ、休ませないと騎士達が死んでしまうのじゃ」
「そんなにきついことさせて無いけどな、最近の子は体が弱いな」
「いやお前の方が最近の子だろ」
後ろからツッコミを入れるゲイル、そしてエリスとリムがやって来る
「ん? スレイは?」
「あぁ、筋肉痛で動けなくなっていたよ」
「うーん、あの程度で筋肉痛か、甘やかしすぎたかな?」
クレイは真剣な顔で悩んでいるが周りの人間は、「あれのどこが甘やかしてるんだ、地獄だろ」と思ったが言わないほうが良いと思い黙っていた。
「はは、スレイは君ほど魔力を持っていないからね、少しは大目に見てあげなよ」
「そうなんか?」
納得できないクレイだった。
「そう言えば昨日はパンツァーの王都が大変だったらしいよ」
「何かあったんか?」
「うーん、なんか蜂が大量発生したらしいよ」
「あぁ、蜂かあれはあかんわ、確かに大変やったんやな」
「確かに蜂って怖いんだよね」
「せやねんな、あれは危険やわ」
朝ご飯を食べながら蜂の話題で盛り上がるクレイ達、その当事者は
「くーくー」
「エリザ寝てもうたやん」
「仕方ないのじゃ、クレイの事を寝ずに待っていたのじゃ、ふぁーあ、妾も眠いのじゃエリザに付き合わされたのじゃ」
「しゃーないな、俺はエリザを部屋に連れてくわ」
「妾も頼むのじゃ」
「いや自分で行けよ」
「何でなのじゃ、エリザばっかり優しくして妾も甘やかすのじゃ」
「別に甘やかしてはいないけどな、まあええわスラール」
リムの肩から現れるスラール
「葉美姫部屋まで送ったれ」
スラールはウニョンウニョンする、どうやら了承の合図のようだ、スラールは大きくなり葉美姫を乗せる
「いつ乗ってもスラールは気持ち良いのじゃ」
そしてズルズルとスラールは葉美姫を運んでいく
「あっ、待って葉美姫ちゃん、スラール」
慌てて追いかけるリム、ゲイルとエリスはどうやら今日の休みに王都に出かけるようだ、クレイは最近この二人は怪しいと思っているが、まだまだ恋では無いだろうと暖かく見守るつもりだった。
「むにゃむにゃクレイ様」
「よう寝とるわ、心配かけたようやな」
エリザベートをベットまで送り、布団をかけてあげ最後に頭を撫でながら
「おやすみエリザ」
そう言って額にキスをして、クレイは部屋を出て行く
「妬けちゃうわねクレイ君」
部屋を出たところでミレーヌに話しかけられる
「何や見てたんか」
「仲良いのね」
ミレーヌは、心の中にグルグルする感情があったがそれを必死に隠してクレイに話しかける
「まあな、可愛い妹みたいなもんや」
「そうなの、婚約者って聞いたけど」
「そやな、あいつは俺をそういう目で見てるのは知っとるよ、でもなエリザだけちゃうねん、ゲイルも葉美姫もエリスもリムも、俺にとっては可愛い妹、弟や」
「あら、でも同級生でしょ」
「そやな、そうやったわ」
ミレーヌは首を傾げる
「ミレーヌこの事はあいつらに言うなよ、じゃあな」
「あっちょっと!」
クレイはその場をスッと去っていく、ミレーヌはクレイのどこか謎めいたものの一端を見たような気がした。
「ふう、危ない危ない、また口を滑らすとこやったわ」
ちなみにクレイは考えなしに話しただけである。
「さて礼二のところ行って、昨日の事整理しよ」
今日のクレイの目的はアルカラの情報を礼二と精査することであった。
「ふう、不思議な人ねクレイ君、いや隼人君だったかな」
どうやらミレーヌにはまだまだ謎があるようだった。