合宿初日インコウコウセイ
「ここがパイツァか、なんや日本みたいやの」
「日本って何クレイ君?」
「昔そんな国があったんや」
「そうなんだ」
ミレーヌはそれ以上聞けなかった、何だか聞いてはいけない事みたいだったから、そんな雰囲気をクレイは出していたが
『やべぇー、なんとかごまかせたわ」
と思っていた、迂闊な奴である。
「おい、あんま変な事言うなよ」
シラスが注意する
「あ、ああ」
クレイは素直に頷く
「ねぇクレイ君、この国は山が多いから特訓には持ってこいよ、でもまずお父様に会ってからね」
「その辺はロズに任せるわ、頼んだでロズ」
「分かりましたクレイ様」
「えっ、えーまずいよクレイ君、流石に最高責任者がお父様に会わないのは」
「うん? ミレーヌ勘違いしてるが、この合宿の責任者はロズやぞ、俺は参加してる学生の1人や」
「なっ!」
クレイスマイルに唖然とするミレーヌ、そうこの合宿はコウコウの授業の一環としていてクレイはただの学生その1、そして責任者は騎士団を率いてるロズ、学校からの責任者はアイズである。
「だからロズだけ会えばええねや、あっはっは」
「え、えーと良いのかな?」
微妙なとこだが対外的には筋は通している、クレイは既にルシュタールで最高の権限を持っているが、それは単純に親の権力と自身の強さと経済力の強さにみんなが従っているからである。役職はただのコウコウセイであり、騎士団への命令権は無いのである。
「そやで俺はただのコウコウセイやからの」
「無理があるのじゃ」
「クレイは面倒くさい事全てロズさんに任せるからね」
「クレイ君はそういとこ良くないよね」
「どうでも良いわよ、早く行きましょうよ、これから特訓なのよ準備しないと」
「兄上は下の者の使い方が上手いのです、参考になります」
「スレイあれは違うわ、参考にしてはダメよ」
スレイは兄を尊敬しているので、クレイの行動を良い方に解釈するが、そんな弟にエミリーは注意するが
「いやー流石兄上だな」
エミリーの言葉は届かなかった。
「で、何からするかな?」
既に準備運動という名の拷問を受けた騎士達は地に転がっていた。
「ダメだ、俺は今日死ぬんだ」
「ごめんよ母ちゃん、父ちゃんの後継いで大工をしていれば、こんな事には」
「へへ、俺帰ったら結婚すんだよ、幼馴染の子でな」
「こんなところで俺の夢が終わるなんてな」
騎士達はもうダメみたいだが
「よしとりあえず鉄切れるようになるまで素振りやな、鉄切れた奴から飯にしてええよ、あかんなら飯抜きや」
「えー」
「分かったな、じゃあ後は頼むはグリッシュ」
「分かりました」
グリッシュはロードドラゴンの竜騎士団、団長である。クレイが彼の噂を聞いてスカウトした猛者である。
「俺は、あっち見てくる」
クレイはブライレンジャーのところに向かう
ブライレンジャーの特訓は多人数を相手にした特訓をしたかった。
「うーん相手がおらんねんな」
クレイが見た訓練風景はボロボロにされた騎士団の姿だった。
「スーツ着たあいつらとまともに戦える奴おらんしな」
うーんうーん悩んでいるとシラスが武器の調整を終えて、騎士団に配りに来ていた
「どうした隼人珍しく考え事して」
「いやな、ブライレンジャーってスーツ着てたら相手がまったくおらんやろ、どうしようかと思って」
「なんだそんな事か」
シラスはなんて事ないだろ的な顔をしている
「なんや礼二は解決策あんのか」
「簡単だろ、スーツ着なければ良いんだよ」
「おっ! なるほど」
クレイは盲点に気づく、欲しいのは経験なのだ、ならばスーツ着てない方が都合が良い、ブライレンジャーはスーツを着ていなければちょっと強い騎士ぐらいである、コウコウセイでの実力ならば頭1つどころか2つ3つ抜けている、しかし騎士学校と言う軍隊養成の卒業生達と比べれば優秀ぐらいであった。ちなみにクレイは変身してなくても騎士団程度なら1000人でも2000人でも楽に勝てる。
「と言うわけで、午前はブライレンジャーとしての特訓、午後はスーツなしで集団戦の特訓や」
「クレイいきなりやって来て、と言うわけで説明を終えないでくれなのじゃ」
「そうだよクレイ君」
「じゃあ始めるで」
「「ガン無視!」」
クレイの耳は高性能、自分に不都合な声をシャットアウトするのだ。
「とりあえず騎士達起こすか」
この合宿の恐ろしさはクレイの回復魔法の存在である、どんなに傷付き、疲労しててもクレイの魔法で元どおり、また地獄の特訓に戻されるのだ。ちなみに先程の準備運動をしていた騎士団は平均3回クレイに回復魔法をかけられている。
「嫌だ、殺される」
「死にたくない、死にたくない」
「もう喋るから許してくれ」
「帰らしてくれ、ママ助けて!」
クレイの回復魔法にみんな感激していた。
「いつ見ても恐ろしいのじゃ」
「ああクレイが回復魔法を覚えてから合宿がただの地獄になったからな」
「普通の時に回復魔法かけても嫌な顔されますもん」
「余裕あるのねあなた達、あの地獄が次は私達に来るのよ」
「「「!!」」」
「だってそうでしょ、次から私達はスーツ無しなのよ」
「そうだった」
「戦闘、回復、戦闘、回復」
「なんて事なのじゃ」
ブライレンジャーは果たしてこの試練を乗り越えられるのか? 戦えブライレンジャー