頑強、岩人バルフ
バルフと戦うブライザー、だが今ブライザーは劣勢である。
「くっ、なんて硬さだ」
「はは、ブライザーまだまだ行くぞ、ほら!」
バルフは年相応の強さではない、前世で培った経験と今世で得た獣人としての力、さらに魔導核を得てその強さはブライザーの想像を遥かに超えていた。
もう1つバルフが埋め込んだ魔導核はグランツが作った物と言うよりバーギルの特製品であり普通はない変身機能が組み込まれている。
そしてバルフは普段の獣人の姿では無く、岩に覆われ巨大な角を生やす化け物になっていた。
スピードはブライザーに一歩及ばないがパワー、耐久性、体力まで全てを上回りバルフ自身の戦士としての知識、経験、技術はクレイを上回る。
「くっくっく、ブライザーよ条件が同じなら貴様が俺に勝てるわけが無いだろう、お前の稚拙な格闘術ではな」
バルフがブライザーのパンチを受け止めそのまま関節を決めにいく、ブライザーが逃げようとするが
「甘いわ」
逃げる先に蹴りを放つ、まともにくらいそして
「腕1つ貰うぞ」
「ぐあー!」
ブライザーの腕が折られてしまう
「くそが」
何とかバルフに蹴りを入れて距離をとるが、力の入らない蹴りなぞバルフには効かない
「ふふ、まあまあだな、流石に決めきるのは難しい」
「はっ、わざと逃がしといてよく言うな」
「ほう、ばれていたのかこれは失敬」
「相変わらず集団戦闘下手くそなのに、個人戦だと化け物だな」
「まあな、弱者を率いるのはなかなかに難しいものだよ、何故皆弱いのだろう」
「ふん下を見下すのも変わってないか」
「そうでも無いがね、今の部下はなかなかに気に入ってるよ強さもまあまあだからね」
「またあの変な球を埋め込んでるのか?」
「そうだな、埋めたな」
「相変わらず兵隊を人と思わん奴らだな」
「そんなこと無いぞ、奴らは望んで埋め込んでいたよ、我が国は強さこそ真理と言う風土だからな、それに皆バーギル様を神と崇める可愛い信者達だからな、何だあれだよ私も邪神バーギル様を崇める者として迷える者を導くのだよ」
「はっ、思ってもいない事をペラペラと」
バルフの目つきが変わる、そして愉快そうに笑い
「やはりバレるか、流石だブライザー」
「ちっ」
バルフがブライザーに攻撃を仕掛ける、ただのタックルだが自らの特性をよく知るバルフのタックルは必殺技になっていた
「バッファロード」
「ぐぅ」
何とか受け止めるブライザー、しかし
ビシ
その勢いは衰えず、ブライザーは後ろに直線道と岩に激突するまでバルフのタックルを止められなかった
「ぐは」
血を吐くブライザー
「くっくっくどうしたんだ、何時もの様に戦わないのか? ん?」
「げほ、げほ」
「ちっ、化け物め」
「それは褒め言葉だなブライザー」
バルフはトドメとばかりに振りかぶって拳を繰り出す
「スラール来てくれたか」
その時バルフとブライザーの間にスラールが現れる、そして
「神獣混合」
ブライザーはスラールと合体する、水属性特化のブライムになる
「ふん、しぶといなブライザー」
『ご主人大丈夫?』
「ああなんとかな、助かったよスラール」
『ご主人どうする?』
「むかつくが勝てる算段が見つからん、何とか弱点見つけるぞ」
『分体を飛ばすよ』
「ああばれんなよ」
スラールはバレないように分体を幾つか飛ばしバルフの隙を探す
「ブライザーなんだか変な格好だな、ブヨブヨしてるぞ」
「ふんお前の方が変だぞ、カチコチだろ」
「変か? 気に入ってるんだがな」
バルフは余裕だった、だが状況は少しずつブライザーに有利に運ぶ
「来たようやな、イーグル」
街の方の上空に戦艦イーグルが現れる、そこからドゥドゥルが発進し、戦闘機も発進する
「ヒュー、ブライザーなかなかなオモチャを持ってるな、こんな世界にあんな物を持ち込むとは卑怯では無いか?」
「笑顔で言っても説得力無いぞ、戦車と戦うのが趣味のお前が嫌がってる訳ないだろ」
「くっくっくよく俺の事を知ってくれてるな、そうだなあの兵器と戦うのは楽しそうだよな、だからお前を殺して遊ぶとしよう、いくぞブライザー」
「スラール酸弾を」
スラールはバルフに向けて酸を飛ばす、バルフは当たるのも気にせず直進して来る、あまり効いていないようだが少しは効いてるみたいだった。
『ご主人ダメだ』
「いやいける、もっと撃て」
ブライザーには考えがあるようだった
「なんだいきなりちょこまかと」
ブライザーは回避に特化し酸弾でダメージを与えている
「スラール硬い相手はだいたい小さなダメージを与えて倒すもんだ」
「くっくっくまあブライザー貴様の考えは理解できるが、無理だぞ」
「なに?」
「ふん!」
バルフが力を込めると酸弾で受けていたダメージが無くなる
「俺には効かんよ、そんな攻撃はな」
『ご主人どうする?』
「スラールいいんだこれで、続けろ」
『ご主人、分かったよ』
ブライザーはまた酸弾を繰り出す
「ふん諦めの悪い奴だな、効かんと言ってるだろ、ふん」
バルフが力を込める、そうその瞬間こそブライザーが欲したチャンスの時間である
「今やスラール、纏えよ」
スラールがブライザーと分離し、そのままブライザーにまとわりつく
「バルフ隙を見せたな、これで終わりだ」
「しまった」
バルフは力を込める瞬間ほんの僅かだが無防備になる、自らの頑強さが生んだ隙だがブライザーには充分だった。
「神獣スラールパンチ!」
スラールを纏うことによりブライザーのパンチは様々な特性を得る、バルフを倒す為に選択したのは
ドガーン!
「何身体がヒビ割れる」
「バルフよ甘かったな、お前の身体をスラールの分体が侵食していた事を」
「くっいつの間に」
「無敵の体なんて無いんだバルフよ」
「くっくっく良いだろう今回は負けにしといてやる」
「逃げれると思うか?」
「奥の手があるのはお前だけでは無いよ」
「何?」
パリーンと粉々に砕かれたバルフの岩の様な体だがその中にバルフは存在した
「瞬足」
「なんだと!」
ブライザーは気付くと粉々になったバルフの残骸しかなかった。そして声がこだまする
「ふふふ、ブライザー今回は引いてやる、また会おうはっはっは」
「くそ、仕留めきれなかったか!」
こうしてブライザーはバルフを逃してしまう、それと同時にバッファルールの兵達が引いていくのである。龍国防衛戦は一応の勝利で終わったのであった。