ポン子は甘えん坊
「もうすっかり朝やな」
「たぬー」
「ママ、ママ、ママ」
ポン子がタヌミの周りをチョロチョロしている、どうやら嬉しいらしい
「ポン子、タヌミが親なんか?」
「私のママ? だよ」
「なんで疑問系やねん」
「たぬたぬたぬー」
『ご主人その子達は正確には私の妹? です』
「だがらなんで疑問系やねん」
『神様が創る時そんな設定? にしたの力は私の何分の一くらいだけど可愛さは同じくらいよ』
「自分の可愛さはを自慢してくる」
「ポン子、タヌミはお前の姉ちゃんらしいぞ」
「そうなのでもみんなママをママと呼ぶ、だからママだよ」
「意外に頑固」
「たぬたぬ」
『この子達は変なとこ頑固でご主人には迷惑をかけます』
ぺこりと謝るタヌミ、どうやらいろいろ苦労していたみたいだ。
「そういやポン子、お前なんであんな傷だらけやったんや」
「ご主人、私傷だらけだった?」
「あ、覚えてないんか?」
「??」
首をかしげるポン子、そこに
「たぬー」
『多分ちゃんと出口からじゃなく、まっすぐダンジョンから出たんでしょう。この子達障害物あっても無視して突っ切るから外行くといつも傷だらけなんです』
「そうなんか」
「たぬー」
頷くタヌミ、神の犬は考える事が苦手らしい
「おいポン子これからはちゃんと出口から出るんやで、まっすぐはあかんで」
「分かったご主人」
元気よく返事するポン子、一連の流れを見ていた他の神の犬がワンワン騒ぎ出す
「な、なんやいったい!」
「たぬー」
『ポン子にだけ名前があるのに嫉妬してるんです。ご主人この子達に名前を付けてください」
「えっ、全員に?」
「たぬん」
大きく頷くタヌミ
「さ、30匹はおんで」
クレイとっての最大の試練はこれからだった。
こうしてなんだかんだでウッルドの世界樹、いわゆる秘密基地に帰ってくるクレイ、そこに神の犬を放つ
「えっ、タヌキ?」
「犬か?」
神の犬がキャンキャン吠える、戸惑うウッルド市民
「おい犬共聞け」
クレイが叫ぶとお座りの状態で神の犬達が集まる
「今日からここがお前らの寝床や分かったな」
一斉に鳴く犬達
「じゃあ俺は行くわ」
そう言ってクレイが出て行こうとすると、犬達が一斉に幼女になりクレイにしがみつき
「いやーー、ご主人捨てないで」
「いい子にするからー」
「いやだー」
泣きながら引き止めるのであった。はたから見たら異様な光景だった、泣く裸の幼女、その中心は公爵家の子息、呆れた顔のタヌキ、もう何が何だか訳が分からなかった。
「勘弁してくれや」
一番泣きたかったのはクレイだった。
「タヌミどうしたらええんや?」
『うーんこの子達甘えん坊なのよね』
とりあえず裸なのは良くないので全員に服を着させてなんとか落ち着かせている、今は思うままに遊んでいる神の犬達、しかしクレイが少しでも動こうものならすぐに寄ってくるのである。
「甘えん坊ってレベルか?」
『依存対象がご主人だけなのがね』
そこにいつもなら地獄の使者だが今回ばかりは救いの女神が現れる
「クーちゃんこれはなんなの?」
そうリリアである。