ポン子は何者?
「ポン子ちゃん!」
「お姉ちゃん痛いよ」
リムはすっかりポン子にメロメロになっていた。今も抱っこして離さない
「おーい、礼二おるか?」
クレイが今いるのはダイガクのとある部屋、ペルーザ史上最高の天才と自称するシラスの研究室
「おーい、おーい、おーい!」
何度も声を上げるクレイ
「うるさ〜い」
バンと扉がいき良いよく開くそこには
「ねぇご主人、この人臭いよ」
「そうね〜、ポン子ちゃん」
「確かに臭いな」
臭い人がいた。
「失礼なやつらだな、こちとら5日寝ずに研究してんだぞ」
「それはあかんやろ」
クレイは冷静に返す、確かによく無かった。
「うんしょ、うんしよ」
「お姉ちゃん何してるの?」
「これはね掃除って言ってね、臭くさせなくするのよ」
「へぇー」
リムが掃除をしていた。
「で、何だよ朝早く」
「そやな、もうすぐ授業始まるし簡潔に言うがな」
「なんだ?」
「こいつ誰やねん?」
クレイはポン子を指差しそう言った。
「知らん」
シラスは簡潔に答えた。
「ちっ、使えんな」
「なんだと! いきなり訪ねて訳わからん女児連れてこいつ誰やねんって聞かれても知らんとしか言えんだろうが!」
シラスの意見はごもっともだが相手はクレイである。
「使えんのに違いないやろ、ああ使えん」
「け、ケンカ売りに来たんか、このボケが!」
寝てないシラスは怒りっぽい、なのでブチ切れてた
「ちょっとシラス君、暴れないでホコリが舞うでしょう!」
「あ、はいすいません」
この七年でシラスの面倒を一番見ていたのはリムである。なので力関係は出来上がっていた。
「リムには頭が上がらんようやの」
クレイはニタニタしながら言う、その顔は腹立つものだった。
「くっ、この為にリムも連れてきたな」
「さてな」
「卑怯者め」
「もうクレイ君もふざけてないで、話を進めてよ」
「あかん、こっち来た」
こうして2人は怒られてしまう、しかし本題は一向に進まないのだった。
「で、本当に何の用だよ」
「いやこいつが何者か調べてくれんか?」
クレイはポン子の頭を撫でながら言う
「ん? 普通の子に見えるけど」
「こいつ本当は犬やねん」
「はぁ?」
「いやな、昨日パトロールしてたら怪我したタヌキ見つけて助けたんや、でなそいつは犬やってな俺について来たから飼い主を探したろ思ったんや」
「ふむ、お前が馬鹿なのはよく分かる」
クレイはシラスをぶん殴って話を進める
「まあ眠いし寝て起きたら犬がな、幼女になってたんや」
「ダメだ、お前が馬鹿なことしか分からん」
シラスはまたクレイに殴られる。2人は仲良しだった。
「ねぇシラス君、お願いこの子を助けてあげて」
「うーん、とりあえず調べるよ」
顔をさすりながらシラスは答える。リムのお願いは断れないすっかり飼いならされたのだ。
「じゃあ頼むは俺は授業行くから」
そう言って部屋を出ようとするクレイにピタリとついてくるポン子
「ご主人、次はどこ行くの?」
「ああ、ポン子お前はここで待っとれ」
そう言った瞬間ポン子は
「わーんわーん、ご主人捨てないで」
泣いてしまってクレイは結局この日、授業に行けなかったのだ。
「ご主人何する?」
「ちょっと待っとれ、はぁこんな事になるとわな」
「お前は昔から子供が泣くのに弱いよな」
「うるせえよ」
リムは思う、昔からクレイと一緒だった。その後シラスがクレイのお友達だと一緒にいるようになった。でもクレイとシラスには私達と違う強い絆がある事を感じる、そしてその時はとても大人っぽいのだ。
「2人は仲良しだね」
「「はぁ!」」
「「こんなアホと誰が」」
「「誰がアホやねん」」
リムは思う、息ぴったりと
「まあええわ、とりあえず早く調べてくれ」
「わかったよ」
こうしてようやくポン子を調べる、あまり時間がかからず結論がでる。
「あれだな、お前の猫とかと一緒だな」
「猫とかってミケのことか?」
「そうそう」
「こいつ犬やぞ」
「違うよ、神獣って事だよ」
「ああん、神獣なんかポン子?」
「ポン子は犬だよ、ご主人が言ってた」
「なら犬型なんだろう、魔力の値と神力の値が神獣と言ってるよ」
「なんや神力って?」
「お前のペットから出てるエネルギーだな、呼び名が無いから便宜上神力って呼んでるだ」
「そんなん出てるんかあいつら」
「まあ、お前の話から考えるとはぐれか、神に捨てられたか、神獣に聞いた方が早いんじゃない?」
「おいスラールどやねん?」
「スラー」
リムの肩にずっといたスラールがクレイの前に現れる
『ご主人、よく分からないけど確かに同じ力を感じるよ』
「そうか、礼二の言ってる事は間違いないようやな」
「しかしなんで人型なんだ?」
「なんでやスラール?」
『ご主人と一緒にが良かったんだよ、僕らはみんな人型になれるもん』
「神獣は人型になれるそうや」
「へぇー、そうなんださすが神なんて付くだけあるね」
「とりあえずそうなるとポン子の扱いどうしよう?」
『産まれたてみたいだし、ご主人の事親みたいに思ってるみたいだよ、ご主人が面倒をみるしか無いね』
「うお、まじか!」
「どうした?」
「俺が面倒をみるしか無いねんて」
「だろうな」
ポン子は、不穏な空気を感じたのかクレイにしがみつき離れようとしなかった。
「ご主人、ポン子捨てないで」
目を潤ませながら懇願するポン子に参ったと言わんばかりにクレイは
「分かったから、捨てんから安心せい」
「わーい、ご主人と一緒だ!」
ポン子ははしゃぎ回る、その頃リムは話の内容が半分以上理解できてなかった。
「神獣ってなに?」
リムの疑問は解消される事は無かった。