犬? タヌキ? 幼女
入学式の夜クレイは闇夜の世界にいた。
「うーん、異常はないな」
クレイは魔族との国境付近を毎夜パトロールしていた。巡回の騎士もいるし警戒も怠っていないが、グランツのいやらしさを知っているのでその警戒は怠れなかった。
「しかし、国境言うても何もないの」
そこは魔国と人の国との国境であるが、魔族たちはそこに駐屯しているわけでは無いし人の騎士だけがいる場所であった。
「あれなんや?」
パトロール中のクレイ、何か見つけたようだ。
「ん? これはタヌキ?」
クレイが近くそこには傷ついたタヌキがいた。
「まあ、治してやるか」
クレイは回復魔法を使う、水の属性を得た時に使えるようになったのだ。
「わふー」
タヌキの傷が治っていき、タヌキも気がついたようだ。
「こんなもんやろ」
「わん」
「わん?」
「わんわん」
「これもしかして犬か?」
なんとタヌキは犬だった。
「まあどっちゃでもええか」
「わん」
「ほらいけ!」
しかし犬はクレイの周りをぐるぐるしている。
「あかん懐かれてもうた」
「くぅーん」
犬がスリスリしてくる、弱ってしまうクレイ
この日は犬が戦果だった。仕方ないので飼い主を探す事にするクレイだった。
その日のパトロールを終えて寮に帰ってくるクレイ、どうやって飼い主を探すか考えていると
「わんわんわん」
突然犬が光る
「眩しいから光るな」
ポカ
犬は叩かれ光るのが止まる
「もう寝るから光るな、分かったな」
「くぅーん」
「じゃあ、お休み」
クレイは光る犬程度では動じないのだ。
こうして朝、クレイが起きるとそこには、犬が幼女になっていた。
「あっ、ご主人起きた、お腹すいたよご主人」
「じゃあ飯にするか」
クレイは犬が幼女になった程度では動じないのだ。
「ってなんでやねん!」
あっ、動揺してたみたい
「お前、誰やねん」
「私は犬だよ、ご主人に助けてもらった」
「いや、犬ちゃうやろ」
「違うの? ご主人犬って言った、私は犬違うの?」
「あん、お前もしかして自分の事分からない系か?」
「自分の事は分かる、犬でご主人のペット」
「なるほど、分からん系やなどうしようかの」
「ご主人お腹すいた、ご飯まだ?」
「まあええか、そやな飯にするか」
考えるのがめんどくさくなったクレイは、朝ごはんを食べに行くのであった。
「ご主人これ何?」
「それは玉子焼きや」
「これ美味しいよ」
「そうか」
「ご主人これ何?」
「唐揚げやな」
「これ食べると幸せになるよ」
「そうか」
と、こんな会話を続けるクレイと犬、周りの学生はその違和感に耐えられない、誰か聞いてくれそう思っていた。
「そういやお前名前なんや?」
「私は犬、ご主人がそう決めた」
「それは種族やろ、俺が聞いてるのは自分の名前や」
「? 犬、名前違うの! なら分からない」
「名前ない系か、なら今日からポン子やな」
クレイのネーミングセンスは無かった。
「私はポン子、ご主人私はポン子だよ」
「そやな、とりあえず飯食ったし、服用意せな」
そう幼女は裸だった。
「という訳やねん」
「何がと言う訳なのかわからないけど、その子の服だねクレイ君」
リムはという訳でで全てを理解しポン子に服を用意する。
「ご主人これ何?」
「服や」
「服って何?」
「着るものやな」
「着る?」
「ねぇ、クレイ君その子よく分からないけど、知識が無いんじゃないのかな、そんな子にその説明じゃあ分からないよ」
リムはクレイの無茶苦茶な対応に苦言を呈す、そうしたら
「分かったこれからこいつはリムの妹やな、ポン子この子がお姉さんや、分かったな」
クレイはリムに面倒をぶん投げるが
「お姉ちゃん?」
首を傾げてお姉ちゃんと言うポン子にリムは
「か、可愛い!」
どうやらリムも満更ではないようだ
「ポン子ちゃん、服ってのはね……」
とりあえずリムにポン子の教育を任せたのは良いがこの犬は何なのか調べねばとクレイは思う、なのであそこに向かうのだった。