ライバル?
「えー君たちは今日から、コウコウセイとして新たな生活を始める。もう大人として自覚を持って……」
担任教師の長々とした話が続く
「また長い話やの」
「そうだね」
教室に移ってからも、長い話を聞かされ嫌になってきた。
「なんで教育者言うもんは、話が長いんや」
「そうだね」
そこでクレイはある事に気づく
「ん? あいつ誰や?」
指差された方を見るゲイル、そこには黒髪のショートカットで美人系の少女がいた。
「誰だろ、初めて見るな」
貴族の通う学校は、基本的にエスカレーター式でクラスメイトもほとんど同じである。
なので見知らぬ少女に違和感を覚える
「あー、お前達は基本的にエスカレーターだからクラスの奴みんな知り合いだろうが、3人ほどランベルーザ以外の入学者がいる」
ランベルーザはクレイ達が通ってたチュウガッコウである。ちなみに担任もエスカレーターだったりするので、アイズだったりする。
「自己紹介しろ」
「はい、私は【ミレーヌ=シーズ=パイツァ】です」
黒髪の少女が、自己紹介をする
「パイツァっていや」
ゲイルはパイツァの名を知ってるらしい
「ルシュタールからずっと東の島国から来ました留学生です。ルシュタールに色々な事を学びに来ました。皆様よろしくお願いいたします」
お辞儀をするミレーヌ
「あー、やっぱりそうか」
「ゲイル知ってんのか?」
「パイツァって国があってね、彼女は恐らくそこのお姫様だね」
「ふーん」
パイツァは島国である。ルシュタールから遥か東方に位置し、海賊国家と呼ばれる程で海の男達の国である。基本的に大陸の国と仲が悪かったが魔族の進行により同盟を結んだのが2年前であった。
「彼女は、その同盟の為に来たんだね」
それがゲイルの感想であった。
「俺は【ゴンズ】だす。よろしくだす」
ゴンズは短めの挨拶をする。彼はガッチリした体格で背は低め、ドワーフと呼ばれる種族である。
「私は【ティア=ナイール=ティスティア】です。ティスティアから来ました、よろしくお願いいたします」
「ティスティアだって?」
「なんやゲイル、知り合いか?」
「いやいや、ティスティアって君が潰した国だろ」
「?」
腕を組んで悩み顔のクレイ
「覚えてないんだね」
クレイは思い出せない、何故なら
「ゲイル君違うよ、ティスティアは自力で立憲君主制民主主義になったんだよ」
リムが話に入ってくる
「そうじゃないわよリム、ティスティアの改革はWSSが裏で暗躍したのよ、改革前は完全な軍事独裁だったからね、国民はひどい生活だったのよ」
エリスが話に入ってくる
「あっ、あそこか! せやな命令したわ」
クレイは思い出したらしい。思ったがバーギルより遥かに世界征服に近い事をしているクレイ、どうなんだろう?
「命令したんだ」
「ちゃうで、ティスティアの王様からとティスティアの市民からの依頼でな、軍隊が酷いからどうにかしてくれってな、聞いたんやで王様処刑されてもええんか? てな、ならなええからお願いって、ならばと軍隊の内部にいる反将軍派を集めて市民活動を支援して無理のないように将軍を失脚させたんやで、平和な革命やったわ」
クレイは平和な革命を妙に強調していた。
「何言ってるのじゃ、その話なら各国首脳で有名なのじゃWSSの龍騎士団5人でティスティアの主力部隊を壊滅させて最後に身を引くか死か、どっちって選択を迫ったのじゃ、ティスティアの将軍がションベンちびったって笑い者にされてたのじゃ」
「あぁ、あいつら容赦ないからな」
クレイは遠い目をしていた。クレイの最近の悩みは龍騎士団が暴走しないかである。
「やっぱりクレイがやったで間違いないじゃん」
それがゲイルの感想であった。
こうして新しいクラスメイトが入り入学初日も放課後の時間、クレイは帰ろうとした時声をかけられる
「貴方がクレイ=バート=カイエンね」
「そやが」
クレイに声をかけたのはミレーヌだった。
「確かミレーヌやったな」
「早速覚えてくれたのね、嬉しいわ」
「なんか用か?」
「あら、用がなきゃ話しかけたらダメかしら?」
「別に構わんが、用が無いのに話しかける奴もあんまおらんで」
「それもそうね」
ミレーヌは笑いながらクレイに同意する
「大したことでは無いのよ、あのねお友達になってくれないかしら?」
「構わんよ」
「良かったわ、これからもよろしくね」
ミレーヌは握手を求める、クレイも握手て応じる。
「よろしくな」
「ふふ、じゃお友達のクレイ君、私にベルーザを案内してくれないかしら?」
「おー、いきなりやの、まあええよ」
「それじゃよろしくね」
そう言うと腕を組んでくるミレーヌ
「クレイさま!」
見ていたエリザベートが、反対の腕を組む、どうやら嫉妬しているみたいだがクレイはよく分かってない
「なんやお前ら、いきなり」
「あら、エリザベート様クレイ様が困ってますわ、手を離された方が」
「そうですわね、ミレーヌ様手をおはなしください」
にらみ合っている2人、入学早々エリザベートにライバルが登場した様だった。