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この世界を救えブライザー!変身ヒーローの異世界転生  作者: にんにん
第三章 この国を救え!ブライザー
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幕間 龍騎士団、団長のお話

 その出会いは突然だった


 「なんやこんな所で、こい、おもろいもん見せたる」


 そう言われて出された手を取った。


 私の名はグリッシュ、その昔最強と呼ばれた、冒険者だった。


 「おい、グリッシュすげーじゃねーか、あの双頭の蛇を倒したんだって」


 「へっまあな俺にかかれば、あんな蛇楽勝よ」


 若い頃は、強い魔物を倒す事で名を挙げた


 「流石、Aランクだな」


 「おい、グリッシュ相当貰ったんだろ奢れよ」


 「しゃあねな、おい、ここは俺の奢りだみんな好きなだけ飲みな!」


 「「「イエーーイ」」」


 あの頃は楽しかった。みんな気のいい奴らで、冒険も楽しかったし、それに


 「おいグリッシュ、あまり調子のいい事言うなよな」


 「へ、すまねえな」


 相棒のリッドもいい奴だった。

 全ては順調だった、しかし


 「くっ、やべぇー、グリッシュ走れ」


 「リッド、でも」


 「へっ、俺は無理だ、脚がもうねえからな」


 そう、リッドの下半身は無くなっていた。


 「へへ、ヘマしちまったぜ、あんな化け物だとはな」


 「リッド!」


 「いけー、お前だけでも生きろ」


 俺は、ガムシャラに走ったよ、涙を流しながら、あの時は無茶をし過ぎた、到底自分達では敵わない魔物に立ち向かい戦い負けた、冒険者の間ではよくある話だった。


 「くそっ!」


 泣く事しか出来なかった、一番悔しかったのは、無力な自分だった、だから努力したリッドの無念を晴らしたかったし、自分の怒りもあったその過程で様々な戦いをした、そしていつしか最強なんて呼ばれるようになった、そしてあの魔物を倒そうと決めた日の出来事だった。

 そこは魔物の死体の山だった、そしてあの魔物の、死体もあったそこにいたのは


 「ふむ、なんでこんな所に人間がいるのかな?」


 「お前、魔族か?」


 「うーん、確かにそうだが少し口の利き方に気をつけたまえ、我が名はグランツそう魔王グランツだ」


 「魔王だと?」


 「ふーん、まあいいこの辺りの街の壊滅の為に準備してたが、見られたのならそれが合図なのだろう」


 「何を言ってる?」


 「何って」


 《殺戮だよ》


 「なぁ」


 「行け、先ほど完成させたここの主と合わせたコウモリ男よ」


 「こいつは?」


 グリッシュは驚く、何故ならリッドを殺した悪魔と似ていた、いや魔王の言う言葉を思えば恐らく魔族と合体させたのだろうと


 「ふふ、人間、人間、美味そうだ」


 「うおー」


 戦いは一瞬だった。そう俺は負けたのだ、何も出来なかった

 気付いたら死体の山の中にいた、なんとか命は助かったみたいだ、だが魔王が言っていた街を壊滅させるとこの近くの町は自分の拠点だった急いで街に向かうそこには、


 「な、なんて事だ」


 膝から崩れた、そう目の前には何も無かったのだ、そこは、ただの焼け野原だった。

 こうしてグリッシュは山にこもった、修行の為ではない、ただ絶望したからである。

 こうして、グリッシュの名は冒険者ギルドから消えたのである。


 「ああ、朝か」


 山にこもったグリッシュの姿は酷かった、目は死んだ魚の様で、髪は伸ばしぱなし、服はボロボロだった。世の中の理不尽さに絶望したが、自殺する勇気もなく、ただ生きていた、そんな生活を続けているとおかしな奴がグリッシュの目の前に現れる


 「お前がグリッシュか、探したで」


 変な喋り方をする子供だった。


 「なんやこんな所で、こいおもろいもん見せたる」


 グリッシュも絶望したとはいえ、しかし迷っていたのだろう人との繋がりを、だからだろうがその手を掴んでしまう。それが自分の、そう絶望した自分の弱さと決別する瞬間だと知らずに


 「なんや自分、静かやの喋らんタイプか?」


 頷くグリッシュ


 「なんや、冗談やのにほんまなんかい」


 子供はよく喋った、久方ぶりの会話を少し楽しいと思った。


 「でなグリッシュ、今日はお前をスカウトにきたんやが」


 グリッシュは思う、こんな自分をスカウトとは物好きだと


 「なんで、あんな山の中におったんや?」


 その質問に動かなくなるグリッシュ


 「うん、どないしたんや?」


 「いや大した事じゃない、俺は何も出来なかった、だから」


 「嫌になったと」


 「ああ」


 「そうか、何があったか知らんけどそこで諦めたら確かになんも出来んな」


 「違う、諦めたんじゃない俺は必死に努力した、だが、何も、何も出来なかったんだ」


 「そうか出来んかったんか、それは1人でか?」


 「そうだ」


 「なるほどな、なんか覚えあるわ」


 「なにを」


 子供がなにを言うのかと思ったが、クレイは気にせず語る


 「まあ、ちょっと聞けや、昔な1人で戦っている奴がおったんや」


 その昔ブライザーは、1人で紅蓮党と戦っていた。ブライザーの強さは普通の人間の常識を遥かに超え、彼が負ければ人類は負けると、そうブライザーは自分が負けると人類が負けると思っていた。

 だから必死に、どんな時も戦った、孤独で辛い戦いだった。

 そんな時、ブライザーはとある幹部にズタボロに負けてしまった、命は取り留めたがしばらく戦う事が出来なかった。

 しかし紅蓮党は、そんな事知ったこちゃない、だから紅蓮党はどんどん人類に攻撃を仕掛ける、その時ブライザーは思ったよ、ああ、自分は負けたんだ、なにも出来なかったんだとね。

 でもね、ブライザーは知らなかったんだ自分を見守る人がいた事を、ブライザーは知らなかったんだ、戦っていたのはブライザーだけでは無かったと、ブライザーが動けない時も、人類は必死に戦った紅蓮党の行動を知るために危険な潜入捜査、怪人に対抗する為に、新たな武器を作っていた、そしてブライザーが回復するまで耐えて見せた

 そして、その時ブライザーは自分の間違いに気づいたんだ、戦場は孤独だった、でもねブライザーは、決して1人では無かったと

 そうして、ブライザーは1人ではできない事も力を合わせればどうにか出来るとね

 そこからは、協力して紅蓮党を追い詰めそして、壊滅出来た


 「と、言うわけや、分かるか自分の無力さを恥じる前に人に頼め、そうしたらな案外なんでも出来るねんで」


 グリッシュは、泣いていた、そう、クレイの話を聞いていて、リッドと戦っていた日々を、他の冒険者達が助けてくれた事を、自分がAランクと呼ばれるまでにどれだけ助けられたのかを思い出したのだ。

 あの焼け野原、確かにどうにも出来なかったかも知れない、しかし助けを求める事で、逃げた人を救えたかも知れない、そうあそこで諦めなければと


 「少年よ、私はまだ戦えるのか?」


 「なあ、もう、俺たち仲間やでそこは俺たちって言やなあかんで」


 「そうか、少年よ一緒に戦ってくれるのだな」


 「任せとき」


 グリッシュは新たな道を見つける、リッドに誓う必ずあいつを倒すと、1人で無理でも助けを求めればと


 「まあ、でも個人の能力はあげなあかんなグリッシュ基地着いたら特訓やで」


 「そうだな鍛え直さないとな」


 その時の返事をグリッシュは、後々後悔するクレイの特訓はただの地獄だったから。

 こうしてグリッシュは、何故だかトリンに気に入られ龍騎士団の団長となりクレイに仕えるのだった

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