王様は大変
さっきからずっと泣いてるクレイ、それを白けた目で見る泣かしたシラス、それをどうしたもんかと王様、三者三様を呈してくる。
「ええい泣くな、八千万ルクスぐらいならカイエンなら出せるだろう?」
「せやかて王様、父上が払ってくれるか」
「必要だったのだろう、その武器のおかげでルシュタールが救われたんだ、わしからも言っておくから」
「ほ、ほんまですか」
パーと笑顔になるクレイ、とりあえず借金地獄に成らずにすむ。
「あほかクレイ、こう言うのはブライ財閥の経費で落とすんだ、てか経営してるのお前なのに何馬鹿正直にしてるんだ」
「なんやて、どういう事やねん」
「いいか、お前が収入を管理されてるのは分かるが、それはお前に入ってくる収入だけの話だ。ならば会社の経費で買ってしまえば、親に」
「管理されへんのか?」
「そうだよ、今まで気づかなかったのか?」
「そないな魔法みたいな事が」
王様はまだまだ幼い子どもが、金に関するゲスい話をしている事になんだか悲しかった。
「と、とりあえずクレイの問題は解決したみたいだな、ところでロックドラゴンの魔石は一つだけなのか?」
王様はもしかしたら複数あるかもと尋ねる、しかし9割願望であったが
「あの恐竜なら十匹は倒したな?」
「ああ、魔石は10個だね、こんな数じゃ量産は無理だね、まあつがいで三組ほど卵も10個ほど回収したから牧場でも作るかクレイ」
「えー、俺はあんまり気乗りせんな」
「いやいやそれはしなければならないだろ、ロックドラゴンだぞ」
「えー、王様が言うならまあええけど、でも管理がな」
「確かにね、どうする」
「人が必要なら出そう」
「えっ、王様出してくれんの?」
「まあな、流石にロックドラゴンを手懐けられるなら国家事業になるからな」
「でもロックドラゴンだけちゃうしな」
「どういう事だ?」
王様はクレイの言葉に聞き返さずにはいられなかった。
「なんやったけな、礼二」
「ゼクセンで捕まえたのは、ファイヤフェルと……」
王様は開いた口が閉まりません。シラスの口から出てくる魔物は幻と呼ばれる物から、最強と呼ばれたり、早い話が凄い魔物ばかりだった。
「お前が研究したい言うから連れ帰ったけど、正直邪魔やねん」
「いやいやクレイ、あの子たちは貴重な資料だよ邪魔だなんて」
「まったく、お前も大概マッドサイエンティストやな」
「おいおい、褒めるなよ」
「褒めてへんわ」
王様は規格外の子供に、どうしたらいいのか分からなくなってきます。とりあえず
「礼二と言ったかな?」
「あー、違いますクレイが勝手に呼んでるだけで、私の名前はシラスと申します」
「そうか、シラスよ、お前はどうやら素晴らしい才能を持っているようだな」
「まあ、そうですね」
照れながらも否定しない、シラスは自己主張の強い人間であった。
「私の推薦でペルーザのダイガクで研究しないか?」
「なんやて俺もまだショウガクセイやのに、なんで礼二だけダイガクセイやねん」
「ふ、当たり前だろ、君とは頭の出来が違うんだからね、どうせまともに勉強してないんだろう」
「うぐ」
痛いところを突かれるクレイだった。
「王様、私行きます」
笑顔で返事するシラス、彼はこの世界の魔法学に興味深々だった。
「そうか、あと王家にそのブライシューターとやらを一つ作ってくれないか?」
「うーん、ブライシューターですか?」
「難しいのか?」
「いえ別に、ただブライシューターはこのアホ専用に作ったものなんで、どうせなら専用の方がいいでしょう」
「そ、そうだな」
「王様用ですか?」
「いや、出来れば娘のエリザベートのを頼むよ」
王様は娘の安全の為に、一つ欲しかったのだ
「礼二、エリザのならもう作っとるやろ、せっかくやし王様の作ったれや、魔石まだあるやろ」
「あ、あーあの子お姫様なの、王様じつはクレイと仲のいい子供に作ってあるんですが、エリザベート様のも既にクレイから頼まれています、クレイの言う通り王様のをご用意いたしましょうか」
「む、そうなのかクレイ、エリザベートとは仲が良いのか?」
「そやな、確かにエリザとは仲良いで」
「そうか」
どこかホッとしている王様だった。
「ふむ、それでは頼もうかな」
「はい、それでは後日資料をお持ちしますので、その時武器の形などご希望をお伺いさせて頂きます」
「ふむ、そうだな城の騎士に言っておく」
「おー、礼二の武器が王室御用達になったやんけ」
王様と子供2人の、会話を黙って聞いていた騎士たちは思った。
『カイエン公爵って大変だな、俺の子供普通で良かった』
護衛の騎士は妻帯者が多い、そしてクレイを見ていて思うのが、クレイが自分の子供でなくて本当に良かったと
王様と、かなりフラットに会話しているクレイ達、クレイは、王様と将棋を通じて仲良くなり、子供であるのもあるが、王様は、許可しています。シラスは、なんとか、ちゃんとしようとしてますが、クレイにつられたりします。もちろん子供なので、王様は、怒ったりしません、と言うより会話を楽しんでいますが、内容は疲れることばかりでした。