王様とのお話
「うーん、いい月夜だな」
王宮の広間の天井がなくなっており、一面の星空が見えていた
「なあ、隼人これやばくないか? 月見えてるぞ」
「大丈夫や、何故なら俺がやったとバレてないからな」
そう牛男と戦っていた時周りの騎士は、吹き飛ばされて気絶、パーティー参加者はそもそもドドン子爵の事件が起きた時点で王宮の控え室に控えていた。
広間で牛男と戦っていたのはブライザーただ1人だったので
「バレるわけないやんけ」
「そうかな?」
「大丈夫だ、もうバレとる」
「ほらバレてるって言ってるよ、この偉そうなおっさんが」
「偉そうなちゃうで、その人この国の王様やわ、でもな王様、誰も見てないんやでバレへんて」
「へぇ、王様なんだ初めましてシラスですよろしく」
「ああ、よろしく」
「なあ、王様にバレてる時点でダメなんじゃないか?」
「大丈夫や、王様に口裏合わせてもろたらええやんけ」
「まあ、かまわないが」
「ほら見てみい王様もええ言うとるやんけ」
「でもさ誰に知られたらダメなのかって、言えば王様なんじゃないの?」
「確かにそうだな」
頷く王様、3人は横並びに星空を見ながら語り合っていた
「なんでやねん、もう3人だけの秘密やで、男同士の約束破るなんてないやろ」
「男同士の約束とは、確かに破れないな」
「だからさはや、クレイいくら王様が約束を守ってもさ、この惨状を叱るのは王様なんだよ」
「おー、確かにこの子の言う通りだ、してクレイどうするのだ?」
「うーん、まあ後でええんちゃう、今は月見酒といこうや」
「確かに良い月夜だね」
「確かに見事だの」
余裕の王様、汗が滝の様に流れる2人
「さて礼二、もう遅いし帰るか送ってやるわ」
「いいよはや、クレイ1人で帰れるから」
「なに遠慮するな王宮に泊まっていきなさい」
ガシッと肩を掴まれる2人
「あかん逃げるぞ礼二」
「無理だ騎士団に囲まれている」
「さあ、語って貰うぞ子供らよ」
「「ああー」」
こうして、2人は連行されるのであった。
「いったい何があったらこうなるんだ?」
ゲイルは天井のなくなった広間で、呆然と星空を眺める、ゲイルだけでなく多くの貴族の感想だった
「まあ、いい景色ですね」
エリザベートはどこかホワッとしていた。
「ねえ貴方、これにクーちゃんが関わってるとか、無いわよね?」
「怖いことを言うなリリア」
カイエン夫婦の予想は大当たりである
「さてクレイよ、どうしたらああなるんだ?」
「ちゃうねん、王様、ちゃうねん」
クレイは必死に何か言うが、何を言ってるか分からない、しかしシラスはこの場を乗り切る為に
「全て魔族が悪い」
牛男に責任をなすりつける算段らしい
「そうやで、あの牛のせいやねん」
「そうか、私は最初から見ていたがクレイが放った魔法でああなった様に見えるが」
「ちゃうねん、王様、ちゃうねん」
テンパるクレイ、しかしシラスは
「ちゃうねん、王様、ちゃうねん」
テンパっていた。
「いいから最初から言いなさい、お前たちが魔族を撃退する為にした行動だ、別に咎めようとは思っておらん」
王様の優しい言葉に
「ほんまか流石王様やで、せやねん牛倒すのに仕方なかったんや」
クレイは許されたと思い、ここぞとばかりにペラペラ喋る、正に王様の思惑どおりだった。
「なるほどのドドン子爵は、魔族の手によってか」
だいたいの説明が終わるクレイ
「ところでクレイ、あのブライザーとは何なのだ?」
「ブライザーは、ブライザーやな」
「はや、クレイ、それじゃ王様に何も伝わらないよ」
シラスは仕方ないので王様に説明する
「ブライザーとは、正式名称を【超知覚及び超怪力サポートシステム00459番】と言いまして、早い話が人を超える感知能力と、耐久力そしてパワーを与える、まあ鎧みたいな物を着た状態ですね」
「確かにクレイの動きは人と思えなかったな」
「まあ僕の傑作ですからね当たり前ですよ」
シラスは自慢げに答える
「なんと、お主が作ったのか?」
「そうですよ、牛男倒した武器も私の作品です」
「あの馬鹿げた武器もか」
「ふふん」
シラスは褒められると調子に乗る癖がある
「つまり、お前の武器が原因なのか?」
ビクッとなるシラス、しかしそこは友達想いのクレイである
「せなよう考えたら、お前の武器が悪いやんけ」
「何だとお前が苦戦してたから渡してやったのに」
王様の前で口論する2人、やはり昔からの友達と会うと、子供の頃に戻ることありますよね。
「ええい、落ち着け」
ピタと、止まる2人
「広間の事は不問にするから落ち着け」
「「分かりました」」
2人は息ぴったりに、口論を止める
「して、そのブライザーと言うものを何個も作れるのか?」
王様は思う、魔族が力を付けており、その対抗策が欲しかったのである
「うーん、多分無理ですね」
「何故だ?」
「似た様なのなら作れますけど、はや、クレイ程の力は出せませんよ、なんだか仕様が変わって魔力の力に大きく左右されますからね、はっきり言ってクレイの魔力はこの国の騎士団が束になっても勝てないでしょう」
「そんなにか?」
「いや、ブライシューターだってあんなに威力があると思わなかったんですよ、はや、クレイが使ったからこその威力ですね、まあ普通の騎士が使っても第6階位ぐらいの威力なら出ますけどね」
「なんだと!」
王様は驚きを隠せません、それを配備すれば騎士団は今より遥かに強くなるのです。
「そのブライシューターは量産出来るのか?」
「えっ、いや、ちょっとどうかな?」
「無理なのか?」
「材料がですね、無いんですよね」
「何が無いのだ?」
「ロックドラゴンの魔石です」
「なっ」
ロックドラゴンは確認されただけで歴史上10体、しかも一番近い年でも100年前に確認されたきりである。
「それはしかしそんな物どうやって手に入れたのだ」
「なんや、ロックドラゴンって?」
「ほら、ゼクセンで、恐竜だよ」
「あ、あれか、お前いつの間に魔石使ってるねん」
「ふん、君の為に武器を使ってるだ、君が材料提供するのは当たり前だろ、あっ、これブライシューター作るのにかかった請求書ね」
「あ、なんやこれ、八千万ルクスやと」
「ふん、安いものだろう」
「なんてことしてくれてるねん」
もう泣く事しか出来ないクレイだった。