怪力、牛男の巻
「ドドン子爵が殺されただと」
「はい陛下、ただいま捜査中との事です」
「何をしているんだ騎士団は」
「も、申し訳ございません」
「で、捜査の指揮はシュバルか?」
シュバルは護衛騎士団の団長です。
「いえ、クレイ様が」
「また、あの子か」
王様は頭を抱えます、カイエン公爵の息子で娘の婚約者で圧倒的な強さで、聞くところによると既に多くの騎士達は次の将軍になる事に異論がないと、天才と言われたカイエン公爵ですら騎士達に揉まれ、もがき、そして強さを幾度も見せつけてようやく将軍として認められました。
なのにクレイはまだまだ子供なのに、騎士達が「あの方以外はダメだ、あの方こそ我がルシュタール騎士団を導くのに相応しい」と言っている。
まあクーデターなどを起こす事も無さそうだし、正直娘1人の王家にとって婚約者のクレイが才気あふれる男なのはとてもありがたい、ありがたいが行動がはちゃめちゃ過ぎる、どうにか落ち着いて欲しいと思わずにはいられなかった。
「で、捜査は順調なのか?」
「はっ、クレイ様の友人と名乗るものが奇妙な道具を使って」
「奇妙な道具?」
「クレイ様曰く、これを使えば捜査が劇的に変わると」
「ほう、劇的にね」
王様も奇妙な道具に興味がある様です
「そうだな、少し見てみるか」
王様、捜査を直々に観に行こうとします。しかし騎士の1人が大慌てでやって来る
「何事だ」
「緊急です陛下、魔族が浸入していた模様、ただいまクレイ様以下騎士団が応戦中」
「なに!」
その頃クレイは
「魔族言うんわ、いろんな奴おんねんな」
クレイは牛型の魔族を見て、そんな感想を持つ
「おまえたち、ひとをほろぼす」
牛型の魔族、その名も牛男、彼は帰還する事など考えず、怒りのままに暴れる為にリミッターを切り、理性を捨てルシュタールの全てを殺し尽くすつもりだった。
「ぐぎゃーー!」
「なに」
どこから出したのか、いきなり大きな斧を出しそれを振り回す、すると周りにいた騎士達が全員吹き飛ぶ
「「「うわー」」」
「ぐっ」
なんとか、耐えるクレイ
「なんちゅうパワーや」
赤く血走った目をクレイに向ける牛男、そのまま斧を振り下ろす、ブフォーーンと大きな音と共に爆発が起こる
「嘘やろ」
後方にジャンプして躱すクレイ、既に一対一の様相だ。
そこでクレイはすぐさま変身する
「いくで、ブライオン」
ブライザーになるクレイ、すぐさま牛男に攻撃を仕掛ける
「ブライパンチ」
「がーー!」
牛男は斧とブライパンチがぶつかる、その衝撃で部屋の壁が崩れる
「ち、馬鹿力が」
ブライザーは牛男のパワーに押し負ける
「ぐら、ぐるら」
牛男は勢いそのままにブライザーを攻め立てる
「ち、力だけで」
ブライザーは斧を躱し、カウンター気味に拳を牛男に打つ、が牛男はそれをいなして威力を消し、そこからブライザーの腹部を蹴りつける
「ぐほっ」
そこで止まらず、牛男は拳を振り下ろす
「舐めるな」
ブライザーはなんとかその拳を防ぐ、しかしそこから牛男が頭から体当たり、牛男の大きな角が凶器としてブライザーを襲う
「しまった」
ズガガガーン
ブライザーの装甲に跡が付く、なんとか致命傷は避けたが腹部に大ダメージが後方にステップして立て直そうとするブライザー
「やるな、くっ」
ダメージが大きいのか膝をつく
「ぎゃーー」
しかし牛男は止まらない、ブライザーに突っ込んでくる
「まじか」
牛男の突進は強烈である、そしてその圧力も尋常じゃない
「うおーー」
ブライザーは全力でガードする事にする
ドシンと、ブライザーに凄まじい衝撃がくる
「ぐぐぐ」
踏ん張るブライザー、そこにシラスが
「あほか、そんなパワー型に正面から戦うな、これ使え」
ブライザーは牛男を軽くいなして、シラスが投げた物を取りにいく、シラスが投げたのはブライシューター、シラスがこちらの世界で作り出した魔導銃である
「おい、これどう使うだ」
「ブライフォンにインストールしてるから聞け」
「いつのまに」
こうしてブライザーはブライフォン経由で使い方を知識に込める
「なるほどね」
「ぎゃーす」
牛男は斧を振り回しながらブライザーに突っ込んでくる
「ブライシューター、水」
ブライシューターは自らの属性を込めることで、最適解の魔導弾を放つ武器である、簡単に言うと火属性が得意な物が撃つと火の弾がでる、しかも込める魔力で威力は調整出来る。
ブライザーほどの魔力で撃つと、その威力は第一階位に負けないほどの魔弾が放たれる
「ぎゃあ」
魔弾に苦しむ牛男
「まあお前も色々あったようだが、平和を乱すことは許せないこれで決めさせてもらう」
怯んだ牛男の懐に飛び込み、ブライザーは蹴りの連打で牛男を浮かばせる、そして
「ブライシューターリミッターオフ」
ガチャリと音がする
「最大魔力」
グオングオンとブライシューターから音がする
「ブライザー! ショーート!」
その日、王都に光の柱が見えたという