知り合いいっぱい
煌びやかな世界、それが貴族の社交界
そんな世界でクレイは
「クーちゃん、どうして勝手に旅に出たの!」
「必要だったんです。必要だったんです」
クレイは必死にリリアに言い訳をする。しかし
「なにが必要なんですか!」
「うひゃ」
通用はしなかった。
「まあまあリリア、今日はお披露目のパーティーなのだ叱るのは後にして」
「なんですか? そもそも貴方が」
クレイは内心やったーと思った、何故なら矛先が父親に向いたからだ。
「いやリリア、しかし」
「しかしもなにもありません」
クレイはここだと思い、その場から離脱する。
「あっ、クーちゃん」
なんと成功する
「ふう、危なかったで」
こうして汗を拭うクレイ
「相変わらずだなクレイは」
誰かがクレイに話しかける
「誰やっけ?」
クレイも誰だか分からない
「ゲイルだよ!」
ゲイルでした。
「えっ、あ、うん、そうやな、ゲピルやったな」
「ゲイルだよ」
「分かってるよ、冗談やないか、ゲジル」
「ゲイルだって言ってるだろがー」
ゲイルはパーティーにはしゃいでるようだった。
「まあええ、とりあえずどうしよう?」
「なんもないのかよ」
「せやねん、パーティーって言ってもな、なにしてええか分からんし」
「パーティーってのは会話を楽しむものだよ、行こうか」
「そやな、飯食わなあかんし」
「いや、先に挨拶しなきゃ」
「その辺は任せたわ」
「なに言ってんだよ、君も挨拶しなきゃダメだろう」
「えー、めんどいな」
「それは否定しないけど」
「あっ、あそこにいるのクラスの人たちだよ、親もいるし挨拶しとこ」
「まあええけど」
クレイ達はクラスメイトの所に向かう
「あら、ゲイル様とクレイ様?」
クレイのクラスメイトはクレイの事を平民と思っているのでこの場にいることに驚きを隠せない
「おやお友達かい、セシリー」
「え、ええ、お父様、こちらは」
「失礼します。ヤコブ子爵、ゲイル=ライ=ベルーザです。初めまして」
「おお、ベルーザ伯爵のところの、よろしく、ヤコブだ」
そしてクレイの挨拶は
「ああヤコブやん、久しぶり」
「これはクレイ様、お久しぶりでございます」
「そうかセシリーの父親なんか」
「ええそうです、そう言えばクレイ様と年が同じだったなセシリー、クレイ様とクラスが一緒とは運がいい」
「え、ええ、お父様」
セシリーは困惑していた。平民と思っていたクレイに様付けで呼んでる父親に驚きを隠せない
「じゃあまたな、あ、そうそう、あれ手に入ったで後で送っといたるわ」
「本当ですか、ありがとうございますクレイ様」
こうしてヤコブ子爵の元から離れるクレイにゲイルが
「クレイ、ヤコブ子爵と知り合いだったのか?」
「あ、ああ、商売の相手とそのついでにあそこの騎士団を揉んでやったことあってな」
「へ、へぇー、そうなんだ」
正直何してるんだと思ったが、この後、会う貴族、会う貴族、みんなクレイと知り合いだったりする。
「やっほー、ダッジム伯爵」
「おー坊主じゃねえか」
ダッジム伯爵はルシュタールでも強硬派として有名で、強面の代表格、そんな人が気軽に挨拶している
「あっれーイバン男爵じゃん、来てたの」
「あらクレイ様じゃない、お久しぶりね」
イバン男爵はルシュタール屈指の魔法使い、人とあまり関わらない事で有名である。よく仲良くしてるなと思うゲイル、その後もその後も気軽な挨拶が続くクレイ、そして極めつけが
「ルッドマン宰相、ご機嫌いかが?」
「君か、まあ君のおかげで頭が痛いよ」
和やかに話すクレイと頭を抱えるルッドマン宰相
「おい、クレイ、ルッドマン宰相とも、知り合いなのか?」
「うーん、ちょっと夏に色々あってな、それの後片付け頼んでるからな色々差し入れしてるねん」
ルッドマン伯爵は最近寝ていない、ゼクセンの後始末、カイエン公爵主導とは言え忙しいのは忙しかった。
「これクレイあまり、ルッドマンを困らせるなよ」
「王様やん、何言ってんの、俺はいい子やで」
クレイはゼクセンの報告の後、王様と将棋などで遊びすっかり仲良くなっていた。
「クレイ、君は顔が広いんだね」
「なんやゲイル、疲れた顔して、まあだいたいは商売関係やしな、父上の仲良い人とかもやな、まあだいたいの貴族とは知り合いやな」
好き勝手やってる様で、クレイは商売をスムーズにする為に各貴族と顔合わせは済ませてある、もちろん彼がカイエン公爵の息子である事がそれを手助けしている事は間違いないがブライ財閥の力を必要としている貴族は思いの外多いのである。
「さて、だいたい挨拶もしたし、飯食うか」
「いやいやクレイ、挨拶するのは貴族の子弟にだよ、このパーティーの目的は子供同士の繋がりだよ」
「えっ、そうなんか?」
「だから、今日は親と子供が別行動しているのが多いだろう」
「確かに」
「とりあえずベルーザに来てない貴族の子弟とも仲良くしなきゃね」
「ふーむ、子供は苦手やがしゃあないか」
ゲイルはお前も子供だろうと思ったが胸にしまっとく
「いこうか、クレイ」
その時
「きゃーー」
絹を裂くような悲鳴がその場にこだまする。
事件はそこで起きていた。