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この世界を救えブライザー!変身ヒーローの異世界転生  作者: にんにん
第三章 この国を救え!ブライザー
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エミリーの夏休み、その1

 ここは王都近くの山、キシリ山の奥の洞窟、そこには未だに人が来ることはない、そんな洞窟の中でとある魔物が生まれ変わろうとしていた。


 「ぎゃぎゃぎゃ」


 人類の歴史を紐解くと歴史の転換期に必ず、神の試練とまで言われる出来事が起こる、それは大地震であったり、大洪水であったり、時には大陸が割れるなんてこともあった。

 しかし最も史書を賑わしたのは精獣と呼ばれる、精霊と魔物が同化した生き物が暴れることだった。

 ルシュタールの歴史も精獣無しでは語れない、ルシュタールが建国される前、世界は大きな一つの国が世界を支配していた。

 しかしある日、精獣が現れその国は大きく国力を落としてしまう。そして戦国時代とも言える、大きな戦乱の世が始まり、そこで初代ルシュタール王がルシュタールを建国、他にも様々な国が出来て、多くの犠牲共に和平交渉を結び、現在の国際情勢になったのである。

 その後も度々精獣が現れ、その時々で世界は変化を求められてきた。最も最近なのは、それでも300年前、その時はルシュタールが直接被害は負わなかったがルシュタール近郊の国を三つほど併合する事になった。

 そう精獣が現れるというのは歴史が変わるという事、それはキングと言う災害では無く、精獣と言う試練なのである。


 「ぐぎあーーー!」


 果たしてルシュタールは、この試練をどう乗り切るのだろうか?


 「まったくあの子は、何考えてるのかしら」


 エミリーは置き手紙一つで、何処かにいなくなってしまったクレイを心配しつつも、どうせひょっこり帰って来るだろうと思っていた。しかしリリアは騎士団を怒鳴りつけながら、クレイの捜索隊を率いていた。


 「お母様も心配し過ぎではないかしら?」


 確かに何時もなんだかんだでクレイは帰ってくるので今回は置き手紙までしている、なので大丈夫だろうと思うのは当たり前といえば当たり前かもしれない、もちろんこの頃クレイはエルフの子供の行方を突き止め、そして子供達を解放するために情報収集しているところである。


 「そうだ王都にお買い物に行こうかしら、ねえー、ペンタ、クマダ」


 「くまー」


 「ぺん」


 「ふふ、じゃあお父様にお願いしましょう」


 最近、秘密基地の機能のおかげで王都に気軽に行けるようになり、エミリーも頻繁に王都に出かけているのだ。

 と言うより、第六騎士団員もだいたい休暇は王都に出かけている、みんな秘密基地の機能を使いまくっている。

 便利なものが普及するのは早いものである。


 「ねぇお父様、少し王都に行きたいのだけど?」


 「なんだいエミリー、また王都にか」


 「だってする事ないんだもの、いいでしょ」


 「うーんしかしな、今はちょっとな」


 カイエン公爵はちらっとリリアを見る


 「大丈夫よクレイなら、あの子がどうかなるなんて、考えられないわ」


 「確かに、しかしあの子はどうしてああなったのか?」


 「クレイは最初からああよ、生まれた頃から変だったもの」


 「そうか、赤ん坊の頃は手のかからない良い子だったのだがな」


 「お父様知らないのね、メイド達が赤ん坊のクレイに振り回されて、毎日筋肉痛だったのよ」


 「えっ、そうだったのか?」


 「そうよ、3歳の頃なんて騎士達をボコボコにしてたし」


 「えっ?」


 「五歳の頃なんて、その辺で魔物を大量に狩っていたのよ、覚えてないお父様、魔物の素材が大量に領内を出回ったの」


 「あ、ああ、まさかあれも?」


 「クレイよ」


 そう、クレイは小さい頃に暴れまくっていた、そしてメイド達や騎士団の騎士達は振り回されていた、その分利益もあったのだが、クレイは基本的に親には良い顔をするので、リリアもカイエン公爵もクレイは利発な男の子にしか思わず、ブライ財閥にしても自分との関係を繋げたい商人がクレイのご機嫌を取っている程度で、その商人が商才溢れており現在の莫大な利益もその所為だと思っていた。しかしエミリーの話を聞く限りもしかして、


 「あの、商会が大きくなったのももしかして」


 「クレイよ、知らないのお父様、あそこの商人がいつもクレイに指示を受けにやって来るもの、最近のハンバーガーブームも、日帰り機馬車旅行ブームも、全部あの子が仕掛け人なのよ」


 「ええ、あの子そんなに凄いのか?」


 「さあ、ただアホなのは間違いないわ」


 「そうか」


 「でお父様、王都に行ってもよろしくて」


 「まあいいだろ、ギル、デント、エミリーについて行け」


 「「はっ」」


 カイエンはエミリーの護衛に、ギルとデントと言う騎士をつける。


 「あー、お父様」


 「なんだ、エミリー」


 「私の経験上、クレイがいなくなって帰ってくる時は、必ず」


 「必ず」


 「厄介な事を持ってくるわ、頑張ってねお父様」


 「なに!」


 エミリーの予感は的中するのだが、それは別の話、何故ならこの頃クレイは


 「なあ隼人、この国だいぶタチが悪いな、住民の顔を見ればみんな死んだような目をしてる」


 「どうやらだいぶ腐った奴らが権力握ってるみたいやな」


 「そうだね、エルフの子供救う前にこの国を立て直さないと根本の解決にはならないな」


 「は、礼二そう言うってことは、もう計画練り終わってるんか?」


 「そうだね、とりあえずこんなのはどうだい?」


 「はは、流石やな、じゃあ国を立て直すかそういや、国を立て直すの何回めやっけ」


 「今回で10回目だね」


 「そうかい、それじゃいくで」


 「ああ、革命の始まりだ!」


 なんて会話を続けていたりする。

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