ゲイルの夏休み
ゲイルの朝は早い、まず日の出と共にランニングである
「坊っちゃま、ファイトですぞ」
「えっほ、えっほ」
ランニングの後は剣の稽古である
「あまい、坊ちゃんまだまだですな」
「くっ、もう一度だ」
そして朝ご飯
「お行儀が悪いです坊っちゃま」
「うう、ごめんなさい」
食事が終われば勉強です。
「違います、ここはこうですよ、坊っちゃま」
「む、難しいよ」
午前中は勉強で終わる、午後は貴族としての教養である。
「ゲイル様、背中を曲げてはなりません」
「こ、こうかい」
ゲイルの1日はだいたいこんな物である、特に事件があるでもなく、特別な事は無い、ただ一人前の貴族になる為のお勉強の毎日である。
その頃クレイは
「バカな、影の銃士隊、0番隊が壊滅だと」
「おいおい、あんまなめんといてや、ゼクセンの盟主さんよ」
「くっ、貴様、私にこんな事してタダで済むと、ひぃー」
盟主が話終わる前に投げナイフが盟主の横を通る
「思っとるよ、俺はな悪を討つためなら、国の一つや、二つ平気で滅ぼすねん」
ゼクセンの盟主はガタガタ震えながら、なおもクレイに言葉を投げかける
「なにを民とは国が守ってやらねば生きていけぬ、貴様の偽善で民が迷い、そして飢えても良いと言うのか?」
「ふん、下手な言葉やな、権力者が好きそうな言葉やわ、完全に酔うとる、知ってるか歴史を紐解けば、国が滅ぶなんてよくある事や、でもな人類は滅びて無いねん、つまりや」
クレイはゼクセンの盟主の目の前まで歩く
「権力者がいなくてもな、民は強く生きていけるねん、しかもやここの民は自分達の指導者を選ぶ方法を知っとるねん」
クレイが顔を近づけ
「だからな権力者はいね、民が欲しとるんわ、リーダーやからの」
「ひー」
ゼクセンの盟主はクレイの迫力に尻餅をつき、そして項垂れる、そう彼はもうこの国に自分の居場所がない事を悟ったのである。
ドドドっと、ゼクセン盟主の部屋にゼクセンの騎士団が入ってくる、そして
「ボス、これは?」
ゼクセン騎士団の団長が盟主の部屋の惨状に言葉も出ない、そこにはゼクセン銃士隊の一番隊と各隊長と、謎の組織と言われた、0番隊のメンバーが倒れており、そこにゼクセンの盟主が正気の抜けた顔でただ座っていたのだから。
「おいダンデラ、はよこいつら捕まえや、これでゼクセンも少しはよくなるやろ」
クレイがふと窓の外を見ると、ゼクセンの市民達が、盟主に怒りのデモをしていた、そう彼らは盟主の搾取される日々から立ち上がり、子孫に誇れる国にする為に命賭けでやって来たのだ、そして彼らの戦いは盟主の逮捕で決着するのであった。
「ふっ、じゃあ行くか」
「ボスどこへ?」
「俺か? 俺はな最後の悪の始末をしにや」
ゼクセンはこの日、長年民を搾取して来た、盟主の一族が捕まり、そしてそれを支持して来た都市の代表も、いずれも失脚し新たなるリーダーを選ぶ選挙がすぐに開かれ、そして新たなる未来へ進む事になる、その裏に活躍したクレイの事は実は秘密にしていたわけでも無いのでゼクセンの英雄として語り継がれるのであった。
「なんやえらい大事になってもうたな、これルシュタールにも影響あるよな、母上にばれたら地獄の折檻コースやな、まあ大丈夫やろ、今回は裏方に徹したからな、ばれんやろ、アッハッハ」
シラスは横で聞きながら、おもクソ目立ちまくりの革命のリーダーをしてたし、最後に正体隠さず偉そうにしてたのに、ばれないわけ無いじゃんと思っていた。もちろんシラスの思った通りアッサリばれた、と言うか何故バレないと思ったのか不思議なくらいである。
ちなみに今回のゼクセン革命はシラスが考え、民を先導し、盟主を追い込んでいった。本当の影の功労者であった。
「まあ僕も、あんな酷い政府は潰した方が良いと思ったけど、実際に実行出来てしまうのが隼人のすごいところだね」
「そうか、俺はやっぱり凄いか、えへへ」
「ああ、凄い凄い」
こうして2人は、エルフの子供を救う最後の仕事に向かうのであった。