恐怖!豚男の巻
『何でオープニング曲ながれるねん!』
ツッコまずには、いられなかったクレイだった。
そんな、ツッコミをしていると、豚男が
「ブライザーだと、何者かは知らんが邪魔をするなら容赦はせんぞ!」
「フッ、だいたい怪人の言うことは同じなんだな」
ブライザーは、前世で悪の怪人達と戦っていた時を思い出していた。
「なに?」
豚男はブライザーの言うことが、どういう事かすこしは疑問に思ったが
「変なことを言う奴だが、これは遊びではないぞ見ればまだ子供か? 俺様は子供のしつけが大好きでな!奴らはいい声で鳴くからな、ぶっわはっは」
そんな、いかにも悪人って発言をする化け物を見ながら
「そうかい、なかなかなゲス野郎だね!よかったよ遠慮なく倒せるからね」
「なんだと!」
あっさり挑発にのる豚男、力は強いが単細胞、典型的なパワー型だった。
そんな、豚男に向かい駆けるブライザー
「では、行くぞ豚男!」
「なっ!」
ブライザーがまるで消えたかと思うと、気づいたら目の前に現れる。
そして、ブライザーのパンチが豚男の脇腹に突き刺さる
「グォ、」
豚男が一撃で、吹き飛ばされる。
「なっ!」
驚いたのはカイエン公爵である。自分の魔法がまったく通用しなかった怪物を、圧倒する子供ぐらいの大きさの昆虫の化け物を、自分を助けてくれたので味方かと思いたいが仲間割れの可能性がある。どうすれば良いのか判断できないでいた。そんな、父親のことを知ってか知らずか豚男に対峙するブライザー
「なんだ?もう終わりかい?」
倒れている豚男を眺めながらブライザーはそう告げる
少しフラつきながら立ち上がる豚男の顔は、怒りで真っ赤に染まり、鬼の形相でブライザーを睨みつける
「きざま、ゆるざんぞ!」
怒りでマトモに思考出来てない豚男は、その巨体を丸め物凄いスピードでブライザーにぶつかりにいく
「じねー」
まるで大型のトラックが猛スピードで突っ込んで来る様な体当たりにブライザーは
「相撲かい!」
そう言うと小さなブライザーが、豚男の巨大をあっさりと受け止める
「なかなかの体当たりだけど、僕には効かないね!」
そう言うブライザー、そして、そのまま空高く放り投げると
「君の敗因はね、自分の力を過信し過ぎたことだね。」
そして、ブライザー自身は放り投げた豚男より遥か上空に飛び上がり
「せっかくこの世界で、一発目の変身だ!派手に決めるとしよう!」
「ブヒー」
叫びながらグングン上昇していく豚男
「いくぞ!」
ブライザーが光り輝く、そして豚男に向かい高速で滑降すると、摩擦で炎に包まれる、まさに隕石の様な状態で
《ブライザー!キィーク!》
そう、叫ぶと豚男を貫き地上に降り立つ
そして膝をついた状態から立ち上がり豚男に背を向けると
ドカン!
爆発する豚男。
ドヤ顔のブライザー
驚く周りのカイエン公爵や騎士達
そして
「お前は何者だ?」
そう尋ねるカイエン公爵
「敵か?」
まったく歯が立たなかった豚男をあっさり倒す化け物に対して不安げに尋ねる、すると
「俺の名はブライザー!人々の助けを求める声を聞き、世界を守護する絶対無敵のヒーローさ!」
「ではさらばだ!」
そういうと物凄いスピードで去っていくブライザー
そんなブライザーをあぜんと見るカイエン公爵と騎士達
「味方なのか!」
カイエン公爵は疑問に想いながらも少し安心した様に、そして
「この場の脅威はさった!お前達は被害を受けた人々の救助に向かえ!」
「えっ? あっかしこまりました」
カイエン公爵はすぐに騎士達に指示を出す、慌てて動く騎士達。
皆、動揺が隠せないが優先すべき事を行う。そして
「閣下、王都に進入してきた敵の掃討を完了、住人の救助もほぼ終了しました。」
「うむ、ご苦労」
カイエン公爵は騎士達の報告に頷くと、国王にどう報告しようか考える。
『うーん、ヒーローが現れて私でも倒せない化け物をやっつけた。など、どう報告すべきなんだ!』
カイエン公爵は魔族に自分の魔法が通用しなかった事がショックで、恐らく自分が全く歯が立たなかった事はこの国の戦力で魔族に対抗出来ないのでは、豚男の様な怪物がどれほどいるか分からないが、魔族に戦争を仕掛けられた場合高い確率で人は、魔族に滅ぼされるのでは? と不安に駆られていた。しかし、ブライザーと名乗る魔物か何かは分からないが、人の味方をする者を探さなければいけないとも想っていた。
『王にはありのままに報告すべきだな、早く魔族の対抗策を考えねば』
ここは王宮の謁見の間ではなく、王が親しい者だけを招く私室、
「ではカイエン、お前の報告では人族の危機という事か?」
「はい!」
「何て事だ、お前でも倒せないなんて想像も出来ないぞ」
王様は、カイエン公爵の実力はイヤってほど知っていた。カイエン公爵は先の魔族との戦争で、千の魔族の軍勢を滅ぼし、魔族達から獄炎と恐れられていたからだ。そんな、カイエンが手も足も出ない化け物が魔族にいるなんて信じられなかった。
「私の力不足、申し訳ございません」
「よい」
項垂れるカイエン公爵に、国王は反省をして欲しい訳では、なかった。
「してカイエン、如何すればいいと思う?」
国王は、早急に対策を考えねばならなかった。
「まず単純な戦力をあげるべきです。私もまだまだ修行不足を感じました。各騎士団の訓練を今の最低でも倍にしなくては、」
「うむ、出来るか?」
「やらせます」
カイエン公爵は、この国の危機に手加減をするつもりは一切ありません。
「そして、ブライザーなる者を完全に味方にすべきかと」
「そやつは信頼できるのか?」
「分かりませんですが、絶対敵には出来ません。我らの味方をしてくれるなら爵位を与えてもいいと思います。我が領地を切り崩してでも構いません」
カイエン公爵は、国難の時には自らがどんなに犠牲になってもこの国を守ると固く誓っています。そんなカイエン公爵の決意に
「そうかカイエン、お前にはいつも助けられるが、与える領地は私が用意する。お前はそのブライザーとやらを探せ。騎士団はベイルに任せよう。あいつは修行バカだからな騎士達を扱くには適任だろう」
「それは、騎士達も大変ですね」
「そうだな」
少し笑いながら、今後の指針を話し合う、王とカイエン、ルシュタールの未来はどうなるのか!
ところ変わって、ここは王都のカイエン公爵家の館
「クレイ!どこ行っていたの!」
と、大声で怒鳴るリリア
「ひゃぁ、申し訳ございません」
そう言いながら逃げるクレイ。
彼の戦いは、始まったばかり
行け!ブライザー
戦え!ブライザー