リムの夏休み
ここはベルーザの一角、リムの家
「お母さん、お父さんは?」
「ん、なんだか急にお仕事なんだって、鍛冶がどうのこうのって」
「ふーん、そうなんだ」
リムは合宿から帰ってきて少し暇だった。
「うーん。またクレイ君が何かはじめたのかな?」
正解である。どうやらクレイの事を理解し始めてきたリムである。
プルプル
「なーにスラール、どうしたの?」
プルンプルン
スラールはどうやら遊んで欲しいみたいだ
「うーん、ちょっと待ってて、午前中は宿題と家のお手伝いしないと」
リムは真面目でいい子なので、夏休み中でも宿題を計画的にするし、家のお手伝いもするのだ。今日は算数ドリルと朝顔の観察、魔法学の予習である、家のお手伝いは皿洗いと洗濯である。
「リム、これもお願いね」
「はーい、お母さん」
ゴシゴシゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ
「ふー、今日もいい天気ね、スラール」
スラールは洗濯中の水が気持ちいいのかプルプルしてる
「ふふ、楽しいのスラール?」
プルプル
こうしてると、もうお昼ご飯である
「リム、ご飯出来たよ」
「はーい、行こうスラール」
プルプル
今日のお昼ご飯は野菜のスープとパンである。平民の一般的な食事であった。
もぐもぐ
「お母さん、お昼は薬草を取ってくるよ」
「そうかい、いつも悪いね」
「いいよ、スラールがいるからすぐ終わるし」
「そうね、スラールが来てから楽になったわね」
最初、リムがスラールを連れ帰った日は大変だった、それもそうだろう娘がいきなり魔物を連れてきたらビックリするのが普通である。
しかしスラールは神獣である、荷物を無限に収納出来るし、冷蔵庫代わりにもなる、いや冷凍庫にすらなる、リムのお家はこの夏、氷のおかげで冷んやり、冷たい飲み物を飲めるのであった。それに薬草などの有益な物の採取を、あまりにもスムーズにするのでリムの家だけでなくご近所さんにも重宝されている、合宿から帰ってきてあまり日が経っていないが既に街の人気者である。
もちろん噂を聞いた商人や貴族が寄越せとかなり高圧的にきたが、カイエン公爵子息のクレイの物だと知るとすごすご帰っていく。
たまに諦めきれずに強行手段を取る者もいるがそんな奴らはスラールがコッソリ殲滅しているので、リム達は今日も平和である。
「行くよ、スラール」
プルプル、プルプル
リムはご飯も食べ、そして午後は森に行って、薬草採取のバイトと言うか、クエストとスラールを遊ばせるために向かうのだった。
「今日はこの辺で採取しようか?」
プルプル、プルプル
リムとスラールが組めば、薬草採取なんて、10分も掛からず終わる、そして終われば
「よし薬草採取終わり、さあスラール特訓だよ」
プルー!
伸び縮みするスラール、どうやら気合を入れてるらしい、そしてリムはブライホワイトに変身する
「いくよスラール、えいや!」
リムはスラールと組手をする事を日課にしている、彼女はカニ男みたいな奴が現れたら、自分が頑張らなくちゃと真面目に訓練するのだ。
「えいや、とう、せい」
リムの訓練相手にスラールは最適である、スラールは変身能力により、格闘技のチャンピオンにもなれるのだ、そしてスラールはリムを強くするために適度な力加減で相手をする。
「ふー、今日もスラールに敵わないや」
リムは冷たい水を飲みながら、今日もスラールに勝てなかったのが悔しかったらしい
「そう言えばクレイ君は今頃何してるんだろう?」
この頃クレイは、ゼクセン都市同盟で住民を先導しゼクセン都市同盟十の都市で大規模なデモ活動をさせながらそのデモを邪魔しにやって来た、ゼクセン銃士隊の5番隊、隊長【鉄のロバール】と8番隊、隊長【神速のシュウ】をボコボコにして子分にすると言う正に野獣の論理を使っていた、こうして都市同盟の都市代表が交代することになっていった。
「まあクレイ君なら、きっと楽しくしてるんだろうなー」
リムはそんな事を考えていた、こうして彼女の夏休みの1日は終わる
「ねえスラール明日も、いい日であったらいいね」
プルプル
リムは明日も平和でありますようにと願いながら眠るのであった。
「ガッデム、今日も残業でリムにおやすみ言えなかったぜ」
リムのお父さんは忙しい夏だった。