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この世界を救えブライザー!変身ヒーローの異世界転生  作者: にんにん
第三章 この国を救え!ブライザー
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エルフの里

 という訳でクレイ達は森の奥、少女が向かった方向に進む。


 「ん? なんや?」


 「どうしたの隼人?」


 「なんか仕掛けられてるな、魔法か?」


 「え、僕は何も感じなかったけど」


 クレイは何か違和感を感じる、森の奥に何かあるのは間違いなかった。


 「これは?」


 「隼人分かるのか?」


 「多分撹乱か、幻惑か、なんかやが、兎に角この先に行かせたくない、なんかやな」


 「つまり結界みたいなものかな?」


 「そやな、まあ俺には効かんけど」


 「なんか君、だんだん化け物じみてきたね」


 「そうか? まあ魔法のおかげで地球にいた頃並みの戦闘力はあるな」


 「うへ! マジか、隼人は改造手術受けてたから、変身しなくても戦闘機ぐらいなら素手で壊せたんだろ、生身の人間でそこまで強いってまさにチートだね」


 「そうか、まあ便利やからな魔闘術、お前も使えるようにしとけよ」


 「僕はいいよ、魔法あんまり使えないし」


 「しゃあないな、俺が教えたるわ」


 「えっ!」


 シラスは思った、そういえばこのアホは世界一厳しいと言われた軍隊のトレーニングを子供の遊びと言って、その軍隊に自己流のトレーニングをさせて、そいつらから[教官は天使だった、何故なら奴こそ悪魔だ、いやもう死という概念に違いない]とか言われていた。

 その言葉を聞いて「なんやまだ初級編やぞ、本番はこれからだよ」と笑顔で言っていた、その後の軍人は生きる屍だったな、いや地獄ってあるもんだなとそんな事を思い出し


 「いやいやいやいやいや、僕は研究が忙しいから、君の新たなサポートメカの構想もあるんだ、だからそんな暇ないよ」


 シラスはそう必死に、拒否するのだった


 「そうか、魔法便利やぞ」


 クレイはあきらめるつもりはなさそうだ。

 そんな命がけの話をしていたシラスは、急に雰囲気が変わる森に驚く


 「なんだこれ?」


 「うーん、どうやら隠れ里って奴やな」


 そこにあったのは木の上に家がある、村と呼べるものであった。そして


 ビュン


 「危ないで」


 バシっと、クレイはシラスの目の前に来た矢を掴む


 「ひっ」


 その矢に腰を抜かすシラス


 「なんや危ないな、そこのおっさんケンカ売ってんのか?」


 「バレていたのか」


 気配を消していたのに、あっさりと場所がバレたことに驚きながらも、クレイ達の前に出てくるその男は、耳が長かった。


 「エルフ?」


 シラスが呟く


 「そうだ人の子よ、何用だ」


 「別に用はないな」


 「何?」


 「別にここに用事ないしな、ただの通り道や」


 「そうか、しかしここの存在を知られたからには、我々としても帰すわけにはいかぬ、子供だと言ってもな」


 ピュー


 エルフの男が口笛を吹くと、次々とエルフの戦士が現れる、そしてクレイに襲いかかる。

 この世界においてエルフとは、必ずと言っていいほど木属性の適正を持ち、森林での戦闘力はどの種族を上回る、そしてクレイの目の前にいるのはエルフ族の中でも戦闘力に特に優れた者たちで、いかにクレイでも苦戦は


 「なんや、もう終わりか?」


 しなかった。そこにはうめき声を上げる、エルフの負け犬が転がっていた。


 「お、お前はいったい」


 なんだかリーダーらしいエルフの男が、クレイを睨みながら言う。


 「俺か? 俺はクレイや」


 「我々を狩りに来たのか?」


 エルフの男は冷や汗をかきながら、せめて女子供だけでも逃さねばと思っていた、何故なら目の前にいるのは子供の姿をした化け物だからだ。


 「なんでやねん、通り道や言うたやろ、ここに用なんてないわ」


 「なに?」


 「それは本当か?」


 「ほんまや、なんでエルフなんか狩らなあかんねん」


 「人族は我々を奴隷にする、人族は我々から全てを奪う」


 「?」


 クレイはよく分からない、ルシュタールでは奴隷制はとっくの昔に無くなっていた。それにエルフの国【星林樹】とは同盟関係なので、エルフを奴隷にするなんてありえなかったからだ。


 「なんでエルフを奴隷にすんねや? 今時奴隷なんておらんやろ」


 「ふざけるな! 未だ多くの同胞が攫われる、この前も子供が2人攫われた」


 そう世の中は法で縛っても、愚かな者は必ずいる者なのだ。そしてその悪意は必ず少数派に向かう、この村のエルフは星林樹とは無関係であり、ルシュタール王国の庇護下にある村でもない、つまり彼らを守る法など無いも同然なのだ、そして彼らが過激な自衛手段を取るのは必然であり、その憎しみは区別なく攫った人族全てに向かうのだ。しかし


 「なんやそれ、詳しく話せ!」


 「ひっ!」


 エルフの男は漏らすほどの恐怖を感じる、そう化け物じみている子供の怒りの波動を感じたからである。

 そうクレイは怒っている、彼は本気で世界中の人々守ると決めている、それは例外なくエルフでもそこに悲劇があるならその全てを無くす、そんな事を本気で考えてる。

 普通はそんな事を出来ないと諦める、だがクレイは違う、敵わないから下を向く、それが嫌だからこの身をブライザーにした、悲劇が多過ぎるから助ける順番を決める、それが嫌だから組織を作った、自分に出来ないから助けられないとそれが諦められないから仲間を集めた。

 こうしてブライザーは、紅蓮党だけでなく様々な悲劇を救ってきた、そして今も、その気持ちに変わりは無い、それが彼の最大の動機であるから。ならば目の前の悲劇があるならば彼がする事は1つである。


 「そいつら全員助けたる、話せすべてを」


 エルフの男は目の前の人族の子供を見ていた、その圧倒的な気迫、そしてその子供を祝福する木々達、まるで神の使いが我らを救うために来てくれたような気持ちになった。もしかしたら私達は、救われるのではと、そしてエルフの男はクレイに全てを語ることにするのであった。


 「あーあ、こうなったら隼人は止められないな」


 シラスはクレイの性格を知り尽くしてたので、エルフの男が喋り始めた瞬間こうなる事を分かっていた。


 「で、なにがあったんや?」


 「実は」


 エルフの男はクレイに事情を説明する。

 要点を詰めると、この森の開発から悲劇が始まる、結界外で遊んでいたエルフの子供が、次々と人族の悪徳商人に攫われる、そしてエルフは人族から見ると綺麗な顔をしているので、愛玩用など様々な用途で秘密裏に奴隷として売買されているのだ。

 好色な貴族、嗜虐趣味の大富豪などに、もちろんルシュタールでこの様な人身売買は違法であり、ルシュタールとの同盟関係がある所もほとんどが違法である。そして今や村にはほとんど子供がいないのである、それを聞いたクレイはエルフ達に


 「安心せい、全員この村に帰したる」


 そういうのであった。

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