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この世界を救えブライザー!変身ヒーローの異世界転生  作者: にんにん
第三章 この国を救え!ブライザー
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森の少女

 彼女は必殺技の練習をしていた。

 1日目は、ただの素振りだった。

 2日目は、ちょっと鋭い素振りだった。

 3日目は、やや鋭い素振りだった。

 4日目は、疲れたのでお弁当だった。

 5日目は、なかなかの素振りだった。

 6日目は、そこそこの素振りだった。

 そして今日、彼女は


 「エイヤ!」


 やはり、素振りをするのであった。


 「なんやあれ!」


 「すごいね」


 2人が見たものは、幼い少女が3メートルはあろうかと言うほどの巨大な斧を軽々素振りしている場面だった。ビュンビュンではなくブオーン、ブオーンと素振りの音も凄いものだった。


 「なんやあの子、オーガかなんかか?」


 「分からないけど、森の木が次々なぎ倒されていくね」


 そう、彼女の周りは森でなく広場になっていた。


 「まあ、話してみるか」


 「流石隼人、ためらうと言うことを知らないな」


 クレイは怪力少女に話しかける


 「おーい、ちょっとええか?」


 ピタと、素振りの音が止む


 「? わたしですか?」


 首を傾げながら少女が返事をする。


 「せや、ちょっとええかな?」


 「はい、なんですか?」


 「この辺で怪しい奴知らんか?」


 「うーん、わたし以外の人はここには来ないですからね、ちょっと分からないです」


 「そうか、実はなこの辺に怪しい奴が変なことしてるらしくて調べてるねん、なんか見たら教えてくれ」


 「いいですよ」


 少女はニコッと笑って返事をする


 「ありがとう、なんや練習の邪魔してすまんかったな、ほな」


 「はい、それでは」


 こうしてシラスのとこに戻ってくるクレイ


 「うーん、怪しい奴は見てなかったわ、ざんねんや」


 「いやいやいや怪しい奴ってあの子だろ、あの子しかいないだろうが!」


 「えっ、そうなんか、普通に斧の練習してるだけの少女やないか、何が怪しいねん」


 「こんな森の中で、でかい斧をアホみたいに素振りして、木をなぎ倒す少女ってとこだよ!」


 「そうなんか!」


 シラスに言われて初めてクレイにも、その状況が変だと気づく

 

 「つまり、あの子を調べたらええねんな」


 「そうだね、とりあえず話を聞いてみようよ」


 「そやな」


 とりあえずクレイはまた、斧少女に話しかける


 「なあ、ちょっとええかな」


 「はい、いいですよ」


 彼女はニコニコと対応する、どうやらいい子であるようだ。


 「どうやら、この森の怪しい人物とはお前らしいねん」


 「えーー! なん、なんでですか?」


 「うーん、こんな森の中でデカイ斧ブンブンしてるところやな」


 「がーん」


 斧少女は自分の行動を全否定されてショックを受ける


 「わ、私のやってる事って怪しいですか?」


 「ああ」


 一切間をおかず肯定するクレイ


 「そ、そんなーー」


 「という訳で、俺は君の事を調べなあかんねん、少し話を聞かせてくれんか」


 「は、はい」


 少女は落ち込んでいる、だがクレイの質問には答えてくれるようだ。


 「なんで、こんな森で1人でおるんや」


 「はい、必殺技の練習をしてました」


 「なるほどな、その一言でだいたいわかったわ、ありがとう」


 「分かりますか?」


 「まあな、俺も昔はよくやったわ」


 「えっ! 本当ですか? どんな技なんですか?」


 「キックやな、それはもう凄まじいキックやな」


 「へーへー凄いです、私も必殺技欲しいんですけど、不器用なんでこれを振ることしかまだ出来ないんです」


 「まあ、最初はそんなもんや、たゆまぬ鍛錬こそが必殺技習得の近道やで」


 「わーわー、なんだか達人みたいです、えっとすいません、失礼ですけど私まだ名乗っていませんでした、私【レイチェル】って言います」


 「ああ、こっちも名乗ってなかったな、俺はクレイって言うねん、よろしく」


 こうして握手する2人、シラスはこいつら何意気投合してんねんと思っていたが、順調に話が進んでるので何も言わない


 「クレイさんは必殺技何個持ってるんですか?」


 「俺か? 何個かな? 各武器に2個以上あるし、パンチやキックにもあるし、沢山やな」


 「わあ、凄いです、沢山なんて凄いです」


 レイチェルは楽しそうにしている、彼女は同世代の友達がいなかった、何故なら


 「レイチェル、ここにいたのか」


 「きゃあ、お母さん」


 「外に出るなと言ってるだろ、帰って来なさい」


 「はい」


 「なんや母ちゃん来たんか、まあええわ、とりあえずここまでやな」


 「あ、あの」


 「なんや」


 「明日も会えますか? その必殺技のこと、もっと知りたくて」


 モジモジしながら、尋ねてくるレイチェル


 「明日か、まあええで明日も来るわ」


 レイチェルはパーと笑顔になり


 「本当ですよ、約束ですよ」


 「レイチェル何してる、行くよ」


 「は、それじゃクレイさんまた明日」


 ブンブン手を振っている、レイチェルに手を振り返す

 こうして、レイチェルは森の奥に消えていく


 「なあ隼人、少し変じゃないか」


 「何がや?」


 「彼女達、なんで森の奥に【帰る】なんて言うんだ」


 「あほやな、礼二」


 「あほって言うなよ、何か分かるのか隼人」


 「そんなん、家が森の奥にあるからやろ」


 そう、シンプルな事である。


 「あほはお前だ隼人、森の奥にあるから変なんだろうが!」


 「なんやと、誰があほやねん」


 「うお、やめろ、お前の力で殴られたらシャレにならん」


 ギャーギャーいい合う2人、そして森の奥に消えた謎の少女、どうやらクレイのクエストはまだまだ終わらないようだ

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