ブライレンジャーの戦い
「姫様!」
シルジンはブライレッドを救うため、カニ男に体当たりをするが
「ふふん、なんだ蚊でもとまったか?」
カニ男はシルジンの体当たりを、ニヤニヤした顔で受け止める。ビクともしないカニ男だがそこで諦めるわけにいかないシルジン
「くそ!」
しかし、いくら頑張ってもどうにもならなかった。
「ふふん、弱い羽虫はどいてろ」
「ぐは!」
カニ男がシルジンを振り払う、シルジンは無力な己をただ悔しく、泣く事も出来ない、何も出来ない弱い自分、その事実が心を染めていく
「せーいや!」
しかし、シルジンに気を取られたカニ男の隙をつきイエローの蹴りが唸る
「しまった!」
カニ男がレッドを離してしまう、そしてグリーンがレッドを救う
「大丈夫ですか、レッド」
「はい、ありがとうございます」
「しかしどうします? まさか三方五閃の法が効かないとは」
ブライレンジャーにとって必殺の技であり、決め技でもあった、三方五閃の法が通じないとなるとどう戦えば良いか分からない
「まずい、ホワイトウォール」
どうしようかと考えてる間でも敵の攻撃が止まる訳でない、カニ男の泡攻撃が迫るがホワイトの防御魔法で防ぐ、ブライレンジャーの盾役がホワイトなのだ
「うぐぐぐ」
しかし、カニ男の攻撃に押されるホワイト
「ホワイト、あれをするよ、三」
「わかった、二」
「空を満たせ、一」
「震えよ、0」
その瞬間、ホワイトはホワイトウォールを解いてその場から離れる、そしてブルーが
「ブルーレイン」
「ホワイトクエイク」
2人同時に魔法を仕掛ける、カニ男のいる一帯が揺れる、そこに針のような雨が降る、カニ男は揺れる足場の所為で素早く動けず、まともに針の雨をその身に受ける、そこに
「イエロー! メテオ」
イエローが使える、そしてブライレンジャーが放てる最高の魔法が完璧にカニ男に当たる
「ぐっ」
だがカニ男の甲羅に少しヒビが入る程度にしか効かない
「やはり、ダメか!」
ブライレンジャー達に絶望の色が表れる、だが
「いや、まだだ!」
その言葉は何処からしただろう、だがその言葉にブライレンジャーはカニ男にダメージがある事を認識する、そう今までビクともしなかった甲羅にヒビが入ったのである、それこそが勝機なのだ。
「みんなここで成功させますよ、五輪の法を」
「でも、あれは」
「ホワイト、できるわ私達なら」
弱気なホワイトにブルーが勇気づける、五輪の法とは三方五閃の法と違い、5人全員で行うブライレンジャーの奥の手であるが練習ですら上手くいかなかった技でもある。クレイに技の骨格を教えてもらい、クレイに実践して貰い、あと少しでいけると思っていたがついぞ成功しなかった、だが何故かこの場面命をかけた、この瞬間守るべきものが何かを感じる瞬間にブライレンジャーの5人なら出来るとレッドは信じた。
それはなんなのか、彼女の心に目覚める不思議な感じ、許せないの気持ちより、守りたいの気持ちの方が大きく仲間が失敗するのではの不安より、皆なら必ずやってくれると言う期待の方が大きくなる、レッドは、いやエリザベートは暖かく、そして揺るがぬ強い心を今回の合宿で体験していた。
そんな事を思い出した瞬間にエリザベートの心はどんどん熱くなる、そしてその気持ちが皆に伝わる、それが1つの方向に向いた時、そう正義の心に向いた時、その技は成功するのだ
「いけます! 皆様、五輪の法、一輪」
レッドが高く飛び上がる
「そうね大丈夫やれるわ、五輪の法、二輪」
ブルーがカニ男に駆ける
「そうじゃ、妾達は最強なのじゃ、五輪の法、三輪」
イエローが腰深く構える
「そうですね、私だって、五輪の法、四輪」
ホワイトが呪文を唱え始める
「はは、女は強いね流石だよ、五輪の法、五輪」
グリーンが消える
「何をする気だ」
カニ男が警戒する、しかし
「「「「「五輪の法、蓮」」」」」
カニ男の真上からレッド、正面からブルー、真後ろにグリーンがそれぞれ1番の魔法を撃つ、そんな見え透いた攻撃、躱せるとカニ男が避けようとしたがイエローが拍手をする様に手を叩くと、カニ男の真横から攻撃がくる、そしてホワイトの魔法で真下からも攻撃がくる、そう五輪の法、蓮は全方向から全く同時に攻撃して
「ぐっ」
カニ男は躱せないと全力で防御体制に入る、そこに
「今よ」
「「「「ラジャー」」」」
そう、五輪の法の真価はここからだった。
「「「「「五輪の法、全」」」」」
これからルシュタールだけでなく、アルカラの英雄として戦うブライレンジャーの初陣は、衝撃の結末を迎えるだろう