傑を未来へ導く仔猫。
ミャ~ミャ~
『珍しく満天の星空だぁ~』
『あ、流れ星!』
『幸せな未来が来ますように♪』
『うわーーっ!』
突然、目の前の道へ飛び出して来た仔猫に急ブレーキ。
キキーーーーーッ
傑の自転車のペダルに、まとわりつく仔猫。
『危ないよ…仔猫ちゃん』
『それに、ボクは君にあげれる餌とか持ってないしー』
傑の自転車を、しつこく追い掛ける仔猫。
『仕方ないなぁ~』
傑は自転車の前かごに仔猫を入れて、少し遠回りして
コンビニに寄りコロッを買った。
『はい、これ食べな…』
傑はホカホカのコロッケの袋を空けて仔猫に与えた。
美味しそうに、コロッケを無心に食べる仔猫。
『お前、本当に、お腹空いてたんだなぁ。』
ミャ~ミャ~♪
『えー!、もうお金そんなにないから、ゴメン』
仔猫は餌をもらって元気になりピョンピョン跳ねて近くの草むらに入った。
一度立ち止まり傑の方をしばらく見て、ミャ~と、一なきして姿を消した。
『やれやれ、予定外の出費だ……ボクの明日の食費、少し安めにしなくちゃ。』
傑は自転車に股がり、自宅への道へと戻った。
帰宅の途中、空き地の前を通った。
『空き地の手前で自転車を止めて、辺りを見回したが……
矢野が言っていた未来設計士(future.plannner)の建物らしきものは
何処にも見当たらない。
『やはり、ボクは矢野さんとは違い、心の振動数とやらが低いらしい~』
『まぁ、イイャ…』
傑は自転車のペダルに足を掛けて、自宅へ走りだそうとしたが……
『あれ?、ペダルが動かない…』
『チェーンの油切れかなぁ?』
傑は、再びペダルを踏んだ…
『もしもし……伊東、傑君ですよね。』
びっくりした傑は後を振り向いた。
荷台に手を掛けて、笑う若いOLさん。
『先ほどはどうも、お世話になりました♪』
傑は困惑した表情で彼女に答えた。
『はい?……ボクは君とは初対面だけど。』
『君は、ボクと何処かで会ったかな?』
彼女は笑顔で答えた。
『傑君は、未来設計士に会いに来たんじゃないのかしら?』
『えーーー!』
バターーーン
傑は、動揺して自転車とともに倒れこんだ。
『君は誰?』
『なぜ、その事を知ってるの?』
彼女は自転車を起こして、傑の手を取って立たせた。
それから、彼女は空き地の方を指差して言った。
『細かい事は、あのオフイースで話しますね~♪』
『あーー!!』
『今、さっきまで、あんな建物なかったような??』
『ボクの頭、自転車で転倒して混乱してるのかなぁ~』
彼女はボクの背中を押してオフイースの方へ促した。
『あなたの望むものは、あそこにありますよ~♪』
『さぁ、幸せな未来をGETする旅に出掛けましょう!』