序章「人間を操るゲームについて」
「イケメン王子と結婚したい? お前の家に鏡はないのか?」
「顔は小さくて安産型の女が欲しい? チビデブの妄想にしては笑えないね」
世間は冷たい。
ネットではハゲに人権が認められず、デブは動けと罵られ、低学歴は「F欄乙」と蔑まれる。異性に告白しようものなら気持ち悪がられ、ならば同性に告白するとホモだのレズだの軽蔑される。
もう一度言おう。この世界は冷たい。そして残酷だ。こういうことは間違いなく人間世界には起こっている。経験したことのない人もこれからきっと経験する。
だたし、全く同じ行動をしても許される存在がいる。一文字で表わすなら「※」。そう、「ただしイケメンに限る」だ。
ではなぜ神は「ハゲ」「デブ」「チビ」をお作りになったのか。「イケメン」「美女」と対極の存在である「ブサイク」をお作りになったのか。顔を平均化させる代わりにさまざまなスペックを落としていくのか。逆に、顔がイケメンであれば他のスペックも付随して高くなってしまうのか。
それはこの世界が「ゲーム」だから。そういう「仕様」が必要なのだ。
人間はみな、自分の人生をクソゲーだという。そんなクソゲーの世界に生きる一人の青年はある時支配者の存在を認め、そして運命を小さく変えた。
この物語の主人公の名前は左院カケル。日本サーバーの東京都における隅高校に通う一年生男子。
頭もまだ大丈夫、身長もそこそこ。しかし、彼は非常にネックな部分が一つあった。
とんでもなく運が悪いのだ。
彼の物語の始まりに際して皆の日常生活に影響を与えるかもしれない存在がある。これだけは書いておこう。非常に大事なことだ。
「メガネ」を見たら、気を付け給へ。