棺桶に連れ込むヒトと連れ込まれるヒト
気づいたら、壁に囲まれていた。
少し前に見た、お外とは全然違って……あれ、あそこって何処だったっけ?
それより今、私は何かに乗っていて、なんだか宙ぶらりんだ。
足を揺らしてみる、「何か」もガタガタ揺れてなんだか楽しくなってくる。
ひたすらガタガタしてみる、楽しい!
「こらこら、椅子が壊れてしまいます」
なにか聞こえてガタガタを止めた。
少し離れたところに男の人がいた。
誰だろう?全くわかんない。
「あなた誰?」
「僕ですか?そうですねぇ、」
その人はにっこり笑って
「yuuです」
と答えた。
「ゆう、くん」
「はい」
「ここは、どこなのかな?」
「僕らの世界です」
彼は絶えず笑顔だった。
「貴女はもう貴女でない代わりに、自由を手にしたのです。…代償は、かなり大きかったですが。」
「???」
「突然ですが、貴女を『あの場所』から移動させました。貴女の了承を得なかったことは謝ります…ですが彼処はとても酷く、貴女には息苦しい。貴女はもっと自由であるべきだというのに、それを『彼ら』が閉じ込めてしまった、『罰』だとなんだのと理由をつけて。」
「ばつ」
「でももう大丈夫、なんの罪もない貴女から害は全て取り払った!貴女はここで、自由に、永遠に生きるのです!『生ける屍』として!!」
ちょっとよくわかんない。
私は私じゃない?代償?『あの場所』って???
待って、私って誰だっけ?
『あの場所』って何処?私はなにか悪いことをしたの?
あなたは、ゆうくんはどうして私を知っているの?私は生きてるの?生きるってなに?
このガタガタする『いす』って誰?
『彼ら』ってなんのこと?
「こらこら、あんまりいじめないの」
ゆうくんじゃない声がした。
気づくと私は、自分と同じくらいの女の子の腕の中にいた。
「yuu君、ちょっと落ち着こうね?君がしたことはギリアウト…なところを私が見逃してやってんだかんね?」
女の子は静かな口調で、ゆうくんに話しかけていた。私はどうしたらいいのかわかんなくって、女の子の方を見ていた。
「……さてポァちゃん、あの女心のわからない童貞はほかっておこうね」
「どうてい?」
「く、くろーば」
「君はちょっと黙ってて」
「どうていってなに?」
「ポァちゃん」
「?はぁい」
ポァちゃんて、私のことなのかなぁ…
「そう、君は『ポァ』。難しい話は後にして、まずはご飯にしようか?」
「ポァ!」
「そうそう!みんな待ってるから、行こ?」
みんなって誰?と聞こうとして腕を引っ張られる。
「また仲間が増えたよ!」
嬉しそうな女の子を見て私もなんだか嬉しくなった。
「仲間!」
私はポァ、きっとこの人達の、仲間なのだ!