8話.共闘できるかな
飛鳥は、瑠美から目を離せない。否、一人で勝てる相手じゃないから下手に動けないのだ。
「最初は性別も違うし気のせいかと思ったけど、昨日の肌接触のお陰で分かったわ。久しぶりね、勇者飛鳥。もしかして昔は男装でもしてたのかしら?」
「……まさか、魔王だったなんて」
瑠美は上機嫌に笑いながら言葉を紡いでいく。
「ええ、魔王よ。貴方と殺し愛した魔王よ」
殺し愛したなんて記憶ないんだよなぁと飛鳥は言いそうになるが、空気的に言い出せない。
「どうしてここに? というかその姿はどういうことさ。倒した時竜だったじゃん!」
「古今東西、竜の人間形態は女性に決まってるでしょ。元の世界でやることないし、あの戦いで惚れたから追いかけて来ちゃった」
テヘペロである。飛鳥はうなだれる。
「とりあえず、貴方を籠絡する気しかないからチャームしかしてないわ。安心して」
「チャーム……いいや、深く考えない。それぐらいのつもりなら情報共有するよ」
飛鳥は、大まかに現状を説明した。戦うつもりがないなら味方につけたほうがいいからだ。
「なるほど、次元獣ね。いいわ。ただし一つだけ条件があるの」
「条件?」
「わ、わわわ私とつきあって下さいっ!!! なんでもします」
顔を真っ赤にしながら瑠美は叫んだ。
なぜさ、と思いながら二時間くらい粘られたので、ひとまず前向きに検討することにした。