6話.寝よう! 寝れるかな?
その後なんだかんだ盛り上がりつつも、瑠美の「はい、アイドルはもう寝る時間」の一言で幕を閉じた。
今は飛鳥と瑠美二人きりで部屋にいる。
「悪いけど、お布団一組しか用意してないから、一緒に寝ることになるわ。明日には用意するから今日だけよ」
「ちょ! それなら、そのへんで寝るよ!」
「体調管理もアイドルの仕事よ! いいからお布団一緒に使いなさい! それとも何? 寝相でも悪いとか?」
「うっ……そうじゃない…よ? ……うー…わかった」
飛鳥は困った。いくら今は女の子の体とは言え、一緒にとか流石に寝れる気がしない。しかし、ここで断っては活動に支障が出る。ここはとりあえず了承することにした。
「変な娘。そ、寝ましよ」
「はーい……ってなんでさ!?」
瑠美が話しながらリストバンド?を操作すると先ほどまでの服はなくなり、下着姿になっていた。平坦な胸だとおもったら、僅かに自己主張する胸に引き締まった腰、子供以上大人未満な下着との絶妙なバランスがもはや一つの作品と言ってもいいレベルだ。
「アイドルが衣装のまま寝るわけにいかないでしょ。これをこう四角になぞると衣装格納あんどクリーニングモードになるの。科学の力ってすごいわね。よくわかんないけど」
「だからって…うー」
もじもじしながら、飛鳥は突破口を探すが見つかりはしない。そうこう考えているうちに、瑠美が飛鳥のを手に取りささっと同じように四角になぞった。
飛鳥の下着は、真っ白で、瑠美とは逆に着痩せするパターンであった。
「なっ、ななななななにをっ!?」
「まどろっこしくて。さ、寝ましょ」
(ううっ…なんということだろう。こんなの何日持つんだ、ぼくぅ…)
処理が仕切れなくなってオーバーフロー気味な飛鳥は、この状況を利用しさっさと寝ることに決めた。
二人で布団にもぐると、やはり狭い。はみ出ないようにもぞもぞと動き、自然と密着していく。
「ひゃっ! くっついてるくっついてる!」
「しかたないじゃない…それにしても、人肌はやっぱり温かいものね。妹達を思い出すわ」
どこか寂し気な瑠美の顔を見て、飛鳥は強く言えなくなってしまう。むしろ、抱き寄せようとする位だ。
(この人も苦労して……じゃないや、流されるな僕! こういう時は素数を数え…………数えれない)
飛鳥の長い夜が始まった。瑠美は飛鳥の腕の中ですやすやと寝ている。