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3話.初心者狩りに舐めプ

「ここまで見つからないなんて…」

「もう時期も時期ですしね。しかし……うーん」


住居探しに出たはいいが、日も暮れた今現在、候補すらないのが現状だ。スタートで出遅れたのでこういうこともあるのだろう。


「ここは仕方ない。灯乃さん。ちょっとだけここでお待ちください。確認してきますので…! 一応、これ渡しておきます」

「え? あ、ちょっと」


プロデューサーが、飛鳥にリストバンドのようなものを渡して、足早に移動した。リストバンドはこれといった特徴はなく、しいてあげればディスプレイがついているようだ。飛鳥が何気なくディスプレイを触ると「200pt 0-0-0」と表示された。多分このポイントがここでの通貨になるのだろう。0-0-0は戦績か? そんなことを飛鳥が考えつつボケッとしていたら、二人組の女性がやって来た。


「いた!」

「なにか?」

「細かいことはいいから私達と勝負よ」


挨拶や名乗りもなく勝負を振られてものっていいか判断しきれない。しょうがないから飛鳥は謝っておくことにした。


「来たばかりだから勝負の受け方わからないんだ。ごめん」

「ルールはビジョンバトル。所持ポイントを利用して巨大な分身を作って、それを先に倒した方の勝ち。オッケー?」

「あっはい」

「それじゃ、掛ポイントは200! 」


話を聞いてくれないことを察した飛鳥は諦めた。諦めが肝心だ。ルール説明と映像でなんとか理解することにした。肝心のポイントについては、まぁ負けないという確信があった。


「あいどるふぁいとー、レディ〜ゴー!」

「あ、もう一人の子も話せたんだ」


非常に間の抜けたセリフだが、勝利開始の合図だ。合図とともに、スピーカーが地面から現れ曲が流れる。さらに飛鳥の前、相手の前にぼんやりとARモデルみたいなものがうかぶ。

曲に合わせたダンスをすることで、このARモデルが大きく耐えれるようになっていく。攻めと守りのバランスが大事なルールだ。

飛鳥は初心者としてはまずまずなステップでダンスを見せた。


(…す、スカートに慣れてないから大胆に動けない。恥ずかしい)


ここで、飛鳥の衣装を確認しよう。ダンス中でも見えそうで見えないとアイドル力学の観点から作られたらしい、赤と黒のチェック地のミニスカート。同じ身長の彼氏のワイシャツを借りて着たという設定のワイシャツとネクタイ。ここまでは組織からの餞別である。そこにプロデューサーから一時的に借りたスーツを上に羽織って、完成である。微妙なダサさ混じりなのが飛鳥のセンスだ。


「チャージ完了、いけるわ!」

「よ〜し、しかけよ〜」


向こうは攻めと守りを分担しているようだ。攻めの方の元気のいい子が炎の球を体の周りに飛ばして突撃してくる。飛鳥はステップをやめて、迎撃する。


「ありがとう。僕向きなんだ。恥ずかしいけど」

「えっ」

「クロスカウンターファイア!」


飛鳥の能力の一つ、炎能力の反射だ。

無駄に手の内を晒さず、かつ元の能力を強化して自在に使う技で、お手軽かつ強力な能力だ。しいて欠点をあげるとすれば、蹴りで発動するため、今回の場合だとスカートの中身が見えるかもしれなくて飛鳥は恥ずかしいのだ。今回は速度を強化して一瞬の間に決めた。


「……よし、勝利!」

「えっえっ?!」

「あれ〜?」


二人共状況がわからずに混乱しているようだ。無理もない、初心者狩りに来るような相手だ。ただの小物。ふと飛鳥はリストバンドをみた「400 1-0-0」となっている。どうやら口約束でも自動的にポイントの移動が発生するようだ。


「覚えてろよー!」

「あ〜ん。待ってよ〜」

「覚えてろよもなにも名前すら知らないんだけどな……ま、いっか」


とりあえず、見送って勝利の余韻に浸りつつ待つ飛鳥だった。

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