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《第二話》人型ロボットは仮免でも乗れますか?

いや~、筆が進む進む。

 「......え~と、つまり落下の衝撃で...うっ...グチャグチャになった体を修復する為に、魔術? で身体を初めから作り直してるって事?」

 『肯定です』

 「そして、君はえ~と...ア、アブロガーレ? っていう人型ロボットに搭載されているAIと......」

 『肯定です』

 「そ、そして、今こうやってお互いに話にできるのは、このまじゅち...ま、魔術によるものだと」

 『肯定です』


 あの落下から目を覚ました僕は、目を覚ますと此の謎金属でできた水槽に入れられていた。

 最初は自分が死んだんだと思って、成すがままにしていたのだが、急に紫色に光るボウフラみたいな生物が何処かから現れ、身体に群がってきた時は気が狂うかと思った。

 必死に群がってくる生物を振り払おうと暴れていたら、目の前にホログラムの様な菱形のディスプレイが現れ、そこに映し出された少女に問答無用で鎮静剤と麻酔を水槽内に注入され。

 ”強制的”に落ち着ついた僕は、彼女から今に至るまでの説明を受けた。


 それが冒頭のに至るまでの大まかな全容だ。



 (......と、一から整理してみたもの、全く理解できないんだけど。

  でも、ま、まずは助けてくれたんだから、ちゃんとお礼は言わないと...)

 「え、えと...た、助けて貰い、本当にありがとう御座います」

 考は麻酔の掛かっていない、首から上を使って、不器用ながらも頭を下げた。

 『人を助けるのは魔導機としての重要な存在理由ですので、それは例え兵器で在っても同じことです。』


 銀髪の混ざったストロベリーピンク色の髪をした少女は、考のお礼にも表情は変えず、だが、何処か誇らしそうに言った。

 そして、先程と同様に考が質問しない限り、一言も発さずにじっと考を見つめてくる。

 (む、無言が辛い)


 母親と親戚の姉としか、女性とまともに話した事がない少年にとって、例えどんな非現実的な状態で合っても、少女? と二人きりという状態は非常に気まずい。

 さらに、それがお互いに言葉を発さず、ただ見詰め合っているという、場慣れした男性で合っても居心地の悪い状態なら尚更だ。


 (麻酔が掛かってるのに胃が痛い。)

 「......え、へぇっと...ご、ごめんなさい...なんでもないです」

 (うわ~!噛んだ、どうしよう完全に変な奴だと思われたよ。どうしよう!どうしよう!!!)

 『何か質問があれば、返答します。』

 (...oh...美少女に気を使われた...死にたい)

 『何も無ければ、このまま治療を続けますが?』

 「あっ! え、え~と...この世界には魔術があるんだですよね??」

 『肯定です』

 「そ、その魔術についてどういったモノか、教えて欲しいんですけど......いいですか?」

 『承りました......魔術とは、魔素と呼ばれる粒子を操る術の事を指す言葉です。

  魔術の概要には、《魔素を操る事により、自然現象では起こりえない事象を引き起こす事から始まり。魔術に無限の可能性がある。》と記載されています。』

 (凄いな、まるでウ○キみたいだ。)


 男の子として胸を擽られる話に、つい熱が入ってしまう。


 「そ、それで、その魔素というのは?」

 『魔素とは、酸素や窒素と同様に、大気中に含まれる粒子であり。決められた法則を与えることでありとあらゆる物に変化する万能の性質を持った特異的な物質です。

  ですが、例外もあり、魔素は変化する為に必ず、変化する物と同様の性質が無ければ変化しません。

  例を上げるならば、水素や水が存在しない場所では、魔素は水素に変化することはでき無いという事です。』


 う、う~ん、等価交換? でも、質量に関して関係ないのか......。


 「な、なるほど、つまり無から有を取り出すことはできないって事ですね?」 

 『肯定です。それと私に敬語は必要ありません。』

 「は、はい...分かりました......分かったよ」


 う~ん、本当に異世界に来ちゃったんだな~僕。

 でも、話を聞いてる限り、酸素とか水素とか科学的な話もあるし、文明としては元居た世界よりは発展してるみたいだ。

 一応、この事も聞いてみようかな?


 「え、え~と、この世界って科学とかも発展してるのかな?」

 『科学? 私のデータには記述がありません。』

 「え? でも、酸素や水素がどういう動きをするかは解明されてるんだよね?」

 『肯定です。酸素や水素に関しては錬金術や魔導学に含まれます。』

 「あ~、別分野として研究されてるのか......」


 なるほど、この世界には魔素が存在している分、そっちの方が優先されてるのかな?

 で、元の世界通りなら、科学と呼ばれる前は錬金術と呼ばれていたから、そっちが科学専門で、名前からして魔導学っていうのが科学と魔術を合わせた物であると。

 (例の病気を煩った時に、集めた知識が役に立つとは...複雑な気分)


 『一つ、此方から質問しても宜しいでしょうか?』

 「あ、あっはい!」

 『彼方は......”この世界の人間”......ですか?』

 「ッ!」


 少女がその問いを発した時、僕はまるで心臓を鷲掴みにされたそうな、強い圧迫感を覚えた。

 今まで感じたことも無い感覚、無意識に奥歯が震え、口が上手く動かなくなる。


 「あ、へぇっとッ!、ち、ちがいます。」


 それでも、言葉を搾り出し。

 舌足らずながらも、なんとか返すことはできたが、頭の中でけたたましく本能が警鉄を鳴らす。


 『やはり、そうでしたか......”大丈夫ですよ”』


 彼女がそういうと、先ほどまでの圧迫感は消え、早打ち鐘のように動いていた心臓も、徐々に落ち着きを取り戻していく。

 どうやら、今の答えで合っていた様だ......怖かった。


 「え、え? い、今のは?」

 『申し訳在りません、魔素を使い思考に負荷を掛けさせて貰いました。』

 「思考に...負荷?」

 『先程の問いは、私にとって重要な質問でありましたから。

  重ねてご無礼をお詫びいたします。』

 「だ、大丈夫です、もう落ち着きましたから。」


 本当は全然大丈夫ではなかったけど、彼女がそこまでする必要が合ったのだ、本当に大事な質問だったのだろう。

 それに、画面越しでは在れど、二度も謝罪をしてくれたのだ。

 ここは男として、ここは素直に許すべき所だろう......。


 そう考えたいた僕だったが、それは彼女の一言によって、頭のから綺麗に消し飛ばされた。



 『では、彼方がマスターなのですね。』

 「......え?」

 『彼方がマスターなのですね。』

 「言ってる意味が理解できない」

 『ですから、彼方がマスタァ...』

 「ストップ! ちょっと待って! そういう意味では無くて、何で僕がマスターなの!?」


 余りに突然の展開に、頭がついて行けず、慌てて待ったを掛ける。


 (え? 今の質問がどうして、「彼方が私のマスターか」みたいな流れに繋がるのか、全く理解できないんですけど!?)


 『私には、設置される前に博士から三つの指令が登録されております。

  その一つに......ザザッ...『最後に...この使命を託す事ができる人物、彼方の最良のパートナ足る人物は彼方自身が選ぶこと、これ絶対だからねっ! ね!!』......と、指令を受けました。

  ですが、私にはマスターを選ぶ為の基準が登録されておりません。

  よって、博士と同じ異世界からの来訪者である、マスターならば基準を満たすと考え、マスターとお呼びしました。』


 「......いや、突っこみどころが多すぎるから、ちょっと整理させて。」

 『承りました』


 理由は何と無く分かった...でも、余りにも後半の結論付けがぶっ飛びすぎて、どう考えても可笑しい。

 それと、明らかに彼女の声が途中で変わったのは、何かの録音再生だったのだろうか?

 無表情で、「ね!!」と言われても、違和感しか覚えない......多分あの声の主が、ヒナギクさんの言う博士なのだろう。

 次から次へと疑問が沸いてくるけど、それは後から聞くとして結論だけ纏めると......


 「誰を選んだら良いのか、分からないから偶々共通点があった、僕をマスターにしたと......」

 『肯定です』

 「いや、もっと考えて選ぼうよ...使命とか良くわからないけど、博士っていう人は真剣だったみたいだし......」

 『ですが、私にはマスターを選ぶ為の選択基準が存在しません。』


 う~ん、そういえばAIなんだよね、ヒナギクさんって......確かに、機械に自分で持ち主を決めろっていうのも、無理な話し何だよな~。

 それに、自分に何が起こったのか、この世界がどういう世界なのか全く分からない自分にとって、この世界の知識を持っているヒナギクさんは貴重な存在だ。

 だから、できればマスターになってこの世界の事を教えてもらうほうが、自分に取ってありなのかも知れない。

 でも、重大な使命があるみたいだし、そもそも僕はこの世界に永住するか決まった訳でもない。

 突然この世界に訪れたのだ、突然向こうの世界に帰るかもしれないのに、その使命というものに協力するのも、無責任だ。


 「う~ん、どうすれば......あ! じゃ、じゃあさ......」

 『はい』

 「仮登録って事はできないかな? も、もしも、僕より相応しい相手が見つかれば、その人をマスターにするばいいし。

  その間に、どういう人が相応しいのか考えるというのは?」


 我ながらいい案ではなかろうか? 彼女がちゃんとしたマスターを決める為の時間も作れるし、僕もその間にこの世界の事を教えてもらえる。

 ギブ&テイク、まさにここ一番の閃きだったと思う。


 『......問題ありません』

 「ふぅ~、よ、良かった~」


 彼女が暫く考えてから、ディスプレイ越しに小さく首肯したのを見た僕は、ほっと胸を撫で下ろした。

 自信満々に提案してをいて、却下されたら凹む。


 『では、登録を行います......。

  登録に必要な血液は、メディス貯蔵庫にて検出済みですので、約160秒お待ち下さい。』

 「分かったよ」


 確認事項を話した彼女は、考の返事を聞くと綺麗にお辞儀をしてから、ディスプレイを閉じた。


 (この世界の事や博士という人物...そして来訪者の事とか、まだまだ聞きたいことは有るけど、とりあえず其れは後に纏めて聞くことにしよう。)

 「今は、早く体を直さなきゃ...う”っ....」


 体に目を向けた考は、体中に群がる魔素の集合体を見て、また顔を青くしたのだった。 

次回から、考の名前表記をカタカナに変えようか考え中・・・

そのうち、《考える》と《考》が誤字ってごちゃ混ぜになってややこしくなりそう。

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