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プロローグ
――その少年は夜道を一人走っていた。
市場で魔法薬の材料を買っていたら帰りが遅くなってしまったのだ。
しかし、先を急ぐ少年の目の前に数人の男子が立ち塞がる。
「こんな時間に何してるんだ、出来損ない」
「…………」
それを見た少年は逃げようとして身を翻したが、もう一組の男子が現れて行く手を阻んだ。
「おっと、今日は逃がさないぜ、出来損ない」
少年は周囲を囲まれて逃走を諦め、目を閉じた。
その途端男子達がよってたかって少年を殴ったり蹴ったりし出した。
少年は買った物を盗られないように必死に身を丸めているだけで、やり返そうとはせずただただ殴られていた。
それから約一時間後。
他の男子達は去り、後にはいつものようにボロボロになった少年が倒れていた。
「ちっ……」
少年は全身に走る痛みを堪えてふらふらと立ち上がった。
そして思う。
何でだよ。何で俺だけがこんな目に合わなければならない?
魔力が少ないと言うだけで毎日のように苛められるなんて、もうごめんだ。
そう思って少年は決心した。
強くなる。
もう二度とこんな情けない目に合わない為、強くなる。
そう決心した少年が足を引きずりながらも家に帰って行った後、あたかも少年の決意を示すかのように風が吹き荒れた。




