白雪姫と七人の小人と紅茶が嫌いな王子
なんか書いてみました。笑えたら、コメントください♪
第一話
「うああああああああああああああああ!」
白雪姫は悲鳴をあげた。小人たちが慌てて駆けつけてくると、白雪姫は
「青酸カリか……!」
と言ってばたりと倒れ、そのまま動かなくなった。
「hahahahahaha!ミタカ、ワタシノチカラヲ!」
魔女は哄笑しながら白雪姫に近づいた。
「うりゃあああああああああああああああ!」
白雪姫は油断して近づいた魔女に飛びついた。
「おめえは知能でも私に勝てないのよ!」
魔女はもがきながら
「くそおおおおおおおおお!」
と悪態をつくと、なにやら怪しげな魔術を唱え始めた。白雪姫はこのままではまずいと思い、懐に備えていた拳銃で魔女の心臓を打ち抜いた。すさまじい音がして、小人たちは全員びくりと飛び上がった。
エドワード王子の一日は一杯の紅茶で始まる。今日もいつもと同じように紅茶をすすってると、秘書A(推定レベル32)が
「そろそろ婚約者を決めてもらわないと困るんですけどー?」
といつもどうりチャらい感じで登場した。エドワード王子は秘書Aのことを無視して、紅茶の四杯目のおかわりをメイド(推定レベル56)に要求した。メイドはお茶を王子に注ぎながら、
「わからないのですか? こうして毎日約一時間にも及ぶ紅茶タイムを設けているのは、優雅さを隣国の王女に地味にアピールしているのですよ?」
「王子の心行きに涙がでますぞ」
秘書B(推定レベル72)は涙ながらに呟いた。そこに隣国の王女(推定レベル???)が
「そんなに紅茶ばかり飲んでいたら、かっこ悪いですよ」
と言いながら登場した。
パリーンとカップの割れる音がした。秘書A,B、メイドが壊れたぜんまい人形のようにギギギと音がしそうなしぐさで、ゆっくりと振り向くと、王子はただ何も言えずに下を向いていた。
「何も言うな……」
王子は低い声で呟くと、ふらふらと自分の部屋へ戻っていった。
「王子、お可哀想に」
メイドは痛ましそうな顔で呟き、秘書Aは
「まあ普通気づくんじゃないスか?」
と、自慢のストレートヘアをいじくりまわしながら、チャらい感じで言った。その中でただ一人何もわかっていない隣国の王女がのんきに
「そんなに王子はお茶が好きなら今度国で盛大なお茶会を開きましょうか?」
と、残酷な一言を告げるのであった。
第二話
「まったく王子も無駄なことをさせてくれるよな」
兵士a(推定レベル25)はツイッターで呟いた。するとすぐに百件近くの返信があり、その全てが兵士aの考えに同感というものだった。そんなこんなで携帯で暇つぶしをしていると、兵士b(推定レベル25)が
「こんなところでサボっていたら、島流しの刑にされるぞ」
と心配そうに言った。兵士aは
「だってさあ、紅茶が嫌いになったからって国中の紅茶農園を取り締まるなんて、うちの王子様バカなんじゃね?」
と訴える。と、そこへ指揮官(推定レベル30ぴったからあがらない[笑])がやってきて、
「こんなところで座り込んでないで、今度は西のほうの農園を取り締まりに行くぞ」
西のほうに歩いて行った。この先に白雪姫の農園があるとも知らずに……
「うちの農園取り締まろうなんて、頭沸いてんの?」
白雪農園について、早三十分。ほかの農園の皆さんも、そんなバカな理由でうちの農園はつぶせんと抵抗をしてきたが、中でも白雪姫の抵抗はひどかった。と言うよりは、それは一種の言葉の暴力であった。
通常部隊編成は隊長を含め三十人(戦闘能力レベル40)ほどだが、そのうちの約八割が心の傷を負わせられた。まだしぶとく生き残っている兵隊もおそらく心が折れるのは時間の問題だろう。そこまで兵士aが考えた時、また一人のか弱い兵士の心が折れる音が聞こえたような気がした。白雪姫は一時休戦とばかりにすごい勢いでドアをバタンッと閉じた。すると、裏口から申しわけなさそうな顔で小人(推定レベル???)が二人顔を出すと、お茶を運びながら
「言葉遣いはキツイですけど、白雪姫は根は優しい方なんです」
と弁解しながら、兵士たち一人一人にお茶を配っていった。そこへ、緊急指令を要請した部隊がやっと到着した。その中にはさすがに責任を感じてか、王子の姿もあった。
「大丈夫か? 元気だせよ」
と王子は周りの兵士たちに言いながら、唯一もとの部隊でまだ生き残っている兵士aのもとに歩いてきた。
「報告を」
と王子が言うと、一皮剥けた兵士a(推定レベル73)は
「いや、もうなんとも言えませんよ。おそらくどんな戦場よりも今回の戦闘から見ればかわいいものでしょう」
と、王子に報告した。
「そんなにひどいのか」
と王子が言うと、兵士aは
「周りをよく見て御覧なさい」
と疲れた風に言った。王子が言われたとおりに見回すと、あっちこっちの木にまるで大型の獣が暴れたかのような傷跡が数多く残されているのに気がついた。背筋に冷たい汗を感じながら、王子は
「報告ごくろう……」
と重々しく言った。五分間の休憩ののち、白雪姫に立ち向かうのは一人では無理だと判断し、十人編成で白雪姫に立ち向かうことにした。まず、王子が部屋のチャイムであったであろう残骸に手を伸ばし押してみると、壊れていると思われたチャイムはきちんとその役目を果たし、ピンポーンと平凡な音を響かせて、白雪姫(推定レベル100。危険度SA)を呼んだ。なかなか出てこないので、不信に思い、もう一度チャイムを鳴らそうとしたその時、バーンというすさまじい音がした。一瞬何が起こったのかわからなかった。気がついたら、十メートルほど後方の木に吹っ飛ばされた扉が、ぶち当たった後だった。
「何度も人のうちに訪ねてきてんじゃねえよ。訪ねてくるなら訪ねてくるで土産の一つでも持ってきたらどうだ、あぁん?」
人は本当にピンチに陥ったとき、身体が動かなくなるようだ。すさまじい風圧をもろに受けて、さらに白雪姫のメンチ切りをじかに受けてしまった王子(推定レベル-100。危険度はZ(笑))は一周廻ってなんか楽しくなっていしまい、笑いがこみあげてきた。
「あははははははははははははは!」
王子が一人で爆笑していると、白雪姫は気味の悪そうに
「あの、何の用でしょうか……?」
と今まで兵士にさえ使ってこなかった敬語で遠慮気味に尋ねた。
「王子、私の知り合いの医者で良い精神科の先生がいますが、紹介しましょうか? いや、ぜひとも紹介させてください!!」
と白雪姫が青い顔で言っていると、やっと正気に戻った王子Ω(推定レベル10000.危険度SUA[スーパーウルトラエー])は、
「結婚してくれ!」
といきなり白雪姫に求婚した。
「イヤです」
白雪姫はきっぱりと断ると、
「もう農園でもなんでも差し上げますから帰ってください」
と懇願してきた。王子Ωはけっこうあっさり
「では、今回は引き下がるとしよう。美人の頼みは断れないからな」
と言うと颯爽と馬にまたがり、
「城に帰るぞ!」
とよく響く声で兵士たちに命じると、城に帰って行った。
第三話
「カ、カガミヨカガミ、コノヨデイチバンウツクシイノハ……」心臓を打ち抜かれたかと思われた魔女(推定レベル-2000)は、なんと奇跡的に生きていた……!地面をはいつくばってようやく城に戻り、自室にある魔法の鏡(推定レベル???)に問いかけたところ、
「だから白雪姫だっつってんじゃん。しつけえよ。お前しつけえよ。こっちだってひまじゃないんだよ! つかなんで生きてんの!?」
と、悪態をつかれた。さすがにここまで言われていると魔女も少し哀れである。
「イ、イヤ、ダッテマダ死ニタクナイシ……ツカ、アソコデ死ンダラ話変ワッチャウジャン!」
「キーワードに『原作内容完全無視』って書いてあっただろ!」と鏡が言い、
「ア、ソウダッケ?」と魔女がとぼける。
とそこに、魔女の家来Aが現れた。
「あの、およ、お呼びでしょうか?」
「ヨンデナイワヨ」
「え、え~……それじゃ、帰ります。(あれー、おっかしいな、呼ばれたはずなんだけど…)」
そんなこんなで家来Aは退出した。すると、鏡が言った。
「いやお前呼んでただろ」
「エ、ソウダッケ」
そしてしばらくして、また鏡が言った。
「あ、悪い、呼んでたの俺だったわ」
「ハッ!????」
すると、それを扉の裏から聞いていた家来Aが入ってきて、
「やっぱり呼んでただろーが!!」
家来Aは白雪姫の暗殺を命じられた。
その頃、白雪姫は、再度王子に求婚されていた。
「結婚してくれ!」
「嫌です」
「どうしてだ! 俺の何がいけないんだ、白雪!!」
「呼び捨てすんなよきしょくわりぃ」
と、そこへ、兵士aがやってきて、白雪姫に危険が迫っていることを王子に伝えました。
「なにぃ!? それはどういうことだ!」
「魔女が――魔女が生きていたようです」
「それは本当か!? (これはチャンスじゃないか。ここで白雪姫にかっこいいところを見せれば……)」
というわけで、復讐に燃える魔女と、白雪姫に萌える王子と、存在が燃えて灰になってる家来Aの最終決戦が始まる――かも……。
第四話
突然ですが、下町の方では最近、ドラゴン(推定レベル100)が町を襲い、町民たちは大変困っていた。すると、颯爽と現れた兵士a(推定レベル80)が、エクスカリバー(推定レベル???)を携えて、ドラゴンを倒し、英雄になっていた。
さらに、ドラゴンを倒した後、彼が言った言葉は後世にまで残り、教科書にも載った。
彼は生きる伝説となった。
さて、王子と魔女と家来Aの攻防は、途中で割り込んできた隣国の王女によって、複雑な状況に陥っていた。
「皆さん、この人のことを覚えていますか。王子は隣国の王女に秘かに恋心を抱いていました。しかし、王女のちょっとした一言により、王子は心に大変深い傷を負うことになりました」byナレーター(推定レベルMAX)
王女「これは一体どういうことですか? 馬鹿なんですか? いや馬鹿なんですね。わかりました」
王子「いや、これには深い訳が……ないんだよ」
魔女「(ア、馬鹿ダナコイツ)」
家来A「(王女かわいい……)」←
王子「お前今王女のことかわいいって思っただろ」
家来A「エスパーか!」
王女「黙れ」
王子と家来A「…………」
修羅場になっていた……。
ナレーター「何が起こったかと言いマスト、魔女の計画は家来Aが白雪姫をストーキングし、魔女がその報告を聞きながら白雪姫の弱点を探すというものだったんです。が、そのことを、自前に兵士aから聞かされていた王子は、家来Aを捕まえようと、家来Aをストーキングしました。その二人のあまりにも怪しすぎる素人以下のストーキングは、近隣住民の噂になり、白雪姫が通報するまでもなく、王女の耳に入ったのです」
兵士a「王女様、大事なお話中申し訳ありませんが、緊急事態です」
王女「どうしたの?」
兵士a「白雪姫様の所の小人たちが、町で暴れております」
王女「ねえ、知ってる? 私隣国の王女だから。この国のこととか関係ないから。このお説教はムカついたからしているだけよ」
兵士a「それは大変失礼いたしました。しかし、今現在罪のない民たちが理不尽な暴力を受けているのです。お言葉ですが、一国の指導者として、このような事態を見過ごすのはいかがなものかと。今はあなたしか頼れる方がいないのです」
王子「……俺は?」
兵士a「どうか、この国の未来のために、お力添えをしていただけないでしょうか」
王子「ねえ、俺は?」
王女「……確かにそうね。あなたの言うとおりだわ。わかりました。私のできる限りのことをしましょう」
王子「ねえ無視? 無視なの?」
兵士a「ありがとうございます!! このご恩は決して忘れません」
王子「…………」
王女「あなたはすばらしい兵士ね。あなたのような兵士がいれば、この国は安泰でしょう」
兵士a「光栄至極に存じます」
第五話
続く 次回の更新に乞うご期待!