闇を晴らす者
久々の投稿。
高台の教会。
謎の老人。
鐘の謎に迫る!
翌朝、部屋に差し込む日差し。
「眩しい・・。」
とサナは呟き目を開ける。
体を起こし背伸びをした。
「んーっ。もう朝か。なんだか昨日は鐘の音が気になって眠れなかったな。」
ベッドからでてパジャマのボタンに指をかけ、制服に着替えていく。
「よしっ!」
鏡を見ながら鮮やかな小麦色の髪に櫛を通していく。
同時に制服のリボンがずれていないか確認をした。
準備を終えて部屋の扉を開けて、階段を下りていく。
リビングの扉に手を掛けて開けながら、おはようと言いながら入っていく。
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「おはよう」
と両親が返してくる。
サナ「ねぇ、お母さんたち昨日の夜鐘の音がしなかった?」
父・母「鐘?」
父「そんなのしたかい?母さん。」
母「うーん、どうかしらねぇ。」
サナ「私の気のせいかなぁ。」
母「あ、そんなことより近所で事件があったんですって。」
サナ「事件?」
父「ああ。どうやらお前の学校の近くらしい。」
母「なんでも血の跡があったんですって。それも大量の。」
サナ「え?なんだか怖いなぁ。」
父「だから寄り道なんてせずに早く帰ってこいよ?間違っても事件の場所に行こうだなんて思うなよ。」
母「そうよ。なるべく早く帰ってくるのよ。」
サナ「うん、わかった。そうする。」
母「それはそうと、早く顔洗ってご飯食べなさい。遅刻するわよ。」
サナ「はーい。」
サナは洗面所に行き顔を洗ってご飯を食べにリビングに戻る。
サナ「ふう、ごちそうさまー。」
母「お粗末さま。」
サナ「じゃぁ行ってくるね。」
父「もうこんな時間か。私も行ってくるよ。」
母「いってらっしゃい。」
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家を出てすぐ父とは別れた。
学校へ向かう途中、昨日の鐘の音を考えていた。
(あの鐘って教会のだよね。でもお母さんたちは聞いてないみたいだし。んー私の気のせいかなぁ。)
と考えているうちに教会が見えてきた。
(んー、なんか気になるなぁ。でもまぁ考えても仕方ないか。)
思考を中断し、学校へと急ぐ。
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キンコーンカンコーンとチャイムが鳴る。
同時に先生が教室に入ってきた。
先生「じゃぁ出席とるわよー。」
順に名前が読み上げられていき最後の生徒の名前が呼ばれた。
先生「えーっと。みんなもう知ってるかもしれないけどこの近所で事件があったらしいから、なるべく一人で帰らないようにすること。その関係で部活も休止になるから放課後になったら寄り道せずすぐ帰ること。いいわね?」
生徒達「はーい。」
先生「じゃぁHRはおしまい。日直ー。」
日直「起立、礼。」
先生が教室を出てすぐ隣の生徒が話しかけてくる。
生徒「ねぇねぇ、聞いた?事件にうちの生徒も巻き込まれたって。」
と話しかけてきたのは親友のアケミだ。
サナ「そうなの?なんだか怖いなぁ。」
アケミ「大丈夫よ。このアケミ様が守ってあげるから。」
サナ「ははっ。ナイト様みたい。」
アケミ「姫、お手をどうぞ。なんちゃって。」
サナ「ありがとう。頼りにしてるね。」
アケミ「任せなさい。」
サナ「あ、そうだ。アケミ、昨日の夜鐘の音がしなかった?」
アケミ「鐘?んー、どうだろう。私昨日ぐっすりだったからなぁ。」
サナ「お母さんたちは聞いてないみたいだし気のせいだったのかなぁ。」
アケミ「そうかもしれないね。でも鐘といえばあの高台にある教会のやつぐらいしかないよねぇ。」
サナ「あの教会っていつからあるんだっけ?」
といいながら(あれ、なんでこう思ったんだろ。教会って確か私が生まれる前からあるよね。)と思った。
アケミ「んー、結構前からあったような。でもなかったような気もするんだよね。あれ、教会って昔からあったよね?」
サナ「んー、なんか変な会話になっちゃったね。」
アケミ「考えても仕方ないし。とりあえずお昼になるまで寝よう。」
サナ「ダメだよアケミ。そんなだとまた追試になっちゃうよ。」
アケミ「ダイジョウブ、ワタシデキルコ。」
サナ「なんで片言なの。」
そういうやり取りをしているうちにチャイムがなり授業が始まる。
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放課後になり、みんな教室を出て行く。
アケミ「サナ、帰ろっ。」
サナ「うん。」
と頷く。
教室を跡にし、校門まで来た。
「め・・・よ。わ・・・よ。」
サナ「え?アケミ何かいった?」
アケミ「何も言ってないけど、どうかした?」
サナ「さっき声が。」
アケミ「声?私は何も聞こえなかったけど。サナ疲れてるんじゃない?」
サナ「んー、気のせいかな?」
アケミ「とりあえず帰ろっ。」
サナ「うん。」
高台の教会が見えるところまで来た。
アケミ「じゃぁ、私あっちだから。」
サナ「バイバイ。また明日。」
アケミ「またー。」
アケミの背中を見送りながら鐘のことを考えていた。
サナ「教会か。行ってみようかな。」
しばらく坂道を登っていくと高台の教会に着いた。
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サナは教会の扉を開いた。
神父らしき人がいた。顎に生えた長い白いひげが特徴的な優しい目をした老人だった。
老人「おや、珍しい。あなたのような若い方がここをお尋ねになられるとは。」
サナ「こんにちわ。」
老人「こんにちわ。今日はいかがなされました?」
サナ「あ、いえ特に用事があるというわけではないんですが、なんとなく気になって。」
老人「ふむ。あなたはこの教会がいつからここにあるか知っておられるかね?」
サナ「いえ、私が生まれる前からあったことぐらいしか。」
老人「実はこの教会はいつからあるものなのかはっきりしたことがわかりませんでな。ある書物では200年も前からあったと書かれていれば、30年ぐらい前とも書かれておりましてな、はっきりしておらんのです。」
サナ「は、はぁ。」
老人「しかしながら、異なる書物で共通していることがありましてな。なんでもこの教会の鐘が真夜中に鳴り響く時、世界が闇に覆われてしまうとか。」
サナ「真夜中の鐘?」
(え、それってもしかして昨日の?)
老人「その様子だと心辺りがお有りのようですな。」
サナ「昨日、私聞いたかもしれないんです。その鐘の音。」
老人「ふむ。実はもう一つ伝承がありましてな。鐘鳴り響く時、闇を晴らす者現れん。そう書いておるのです。」
サナ「闇を晴らす者?」
老人「もしかすると、あなたがその闇を晴らす者なのかもしれませんなぁ。はっはっはっ。」
サナ「ははっ。まさか。」
ふと老人が時計を見た。
老人「おや、もうこんな時間か。今日はもう帰りなされ。」
サナ「そうですね。それじゃぁまた。」
教会の扉に手を掛けようとする。
老人「もし闇に襲われたときは声に耳を傾けなされ。」
サナ「えっ?」
と振り返るがそこに老人の姿はなかった。
サナ「あれ?さっきまで私おじいさんと話してたはずなのに・・・。でも何の話をしてたんだっけ?夢だったのかな・・・?」
モヤモヤした気持ちを抱えながら教会を跡にし家を目指した。
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坂道を降ってアケミと別れたところまできた。
サナ「遅くなっちゃったな。早く帰らないと。」
辺りが暗くなっていき街灯が付き始めた。
程なくして、事件のあったところに差し掛かっていた。
サナ「今朝はこっち通らなかったけど、こっちのほうが近道なんだよね。それにしてもここで事件があったんだっけ。」
周りを見回してみた。立ち入り禁止のロープが目に入る。
サナ「この路地で?」
なぜか足がそっちに向けられていた。
やがてロープに差し掛かり、それを越えようとする。
(あれ、なんで私・・・。)
路地に入り、程なくして壁に行きあたった。
「め・・・よ。わ・・・よ。」
(また、あの声?)
「目覚めよ。我が眷属よ。」
今度ははっきり聞こえた。
サナ「眷属?なんのこと。あなた誰なの?」
そう言った瞬間背後からキシャァァァァァァッと何かの唸り声がした。
サナは慌てて振り返る。そこには怪しく光る瞳。鋭利な刃物のような手?そして足は4本ある。一言でいうのなら化物がいた。
サナ「え?なんなのあれ?」
(逃げなきゃ。)
でも恐怖で身がすくみ足が思うように動かない。
(闇に襲われたときは、声に耳を傾けなされ。)
という老人の言葉が浮かんだ。
(え?声?さっきのやつ・・・?)
サナ「ねぇ、あなたいるんでしょ。助けてよ。」
「目覚めよ。我が眷属よ。力を欲するなら我を求めよ。我の名を呼べ。」
(名前?・・・フ、レ、イ、ヤ?)
サナ「フレイヤ!」
そう叫んだとき、サナの手に光が現れやがて光は弓の形を成していく。
サナ「弓?これであいつを倒せってこと?でも私弓なんて使ったことないよ。」
「我が眷属よ。我に手を添えなさい。」
サナ「え?弓が喋った・・?」
弓「私はフレイヤ。あなたを守護するもの。恐れることはありません。ただあなたは念じれば良いのです。敵を射よと。」
サナは念じた。(敵を射よ!)
サナは弓に矢を番え、弓を引き絞っていく。
サナ「このっ!」
といいながら手を離し矢を放った。
弓から放たれた矢は光を放ちながら化物へとまっすぐ飛んでゆき貫いた。
化物「キシャァァァァァァッ!?」
悲鳴のような声を上げながら化物は膝をつき光を放ちながらやがて消えた。
サナは肩で息をしていた。
サナ「今のはいったい・・。もしかしてあれがおじいさんの言っていた闇なの?」
フレイヤ「あれは闇より生まれしもの。世界を覆う闇より生まれしもの。そしてあれらを討ち滅ぼすことがあなたの使命。」
手に持っている弓から再び声がした。
サナ「使命?なんで私なんかが・・。」
フレイヤ「あなたは闇を晴らすもの。」
サナ「闇を・・。」
そこでサナの意識は途切れた。
ついに力に目覚めたサナ。
大太刀に続き弓と来ました。
次の話では何が出るんだろう。
何も出ません。
本編に戻ります。
間に別キャラ視点を挟んでいく予定です。
読まれなくても書きます。
とても頑張ります。
ではまた。