冒頭には死体を転がせ!
タイトル何事っ?
と、思った方がいたら私の勝ちです(ぇ)。一体なんの話か気になった方はお進みください。
★物語の最初には「えっ?」と思わせるシーンを書く!★
タイトルの一文はミステリーや推理ものによく使われている手法です。が、これは小説すべてにおいて適用できる手法なんです。特に私たちみたいなシロートで、無名な場合は。
どういうことか。まずは例文を。
===== 例文ここから =====
シルヴァイグ帝国の南東、敵国ズガースン皇国との国境沿いにアサド村という小さな村はある。しかし深い森の中に存在するため近隣のミイヤ村としか交流はなく、ズガースン皇国はおろかシルヴァイグ帝国にも、アサド村の存在を知っているのもはほとんどいないだろう。
というのも、アサドを囲んでいるリイギョの森は別名迷いの森といわれている。理由はリイギョの森に多く生えているタチェフという花が幻覚作用のある花粉を空気中にはなったり、木々が動いたり、ザペンデスという悪霊が人を惑わしたり、と森そのものがあまりにも凶悪すぎるからだ。他にも凶悪な生き物が大勢いるので、対処法を知らない者が一歩でも踏み込めば待っているのは死、だけである。
なぜそのようなところに村などつくったのか。それはアサド村ができる百年前にさかのぼる。
===== 例文ここまで =====
ここら辺で止めときましょうか。書いている私もしんどくなってきた(笑)。今即興で書いた例文なので荒いところには目をつむってください。
さて。これを読んでどう思われましたでしょうか? え? 面白くない?
そうなんです。面白くないんです。
ア。別に自虐じゃないですよ?
どういうことかというと、いきなり最初に延々と説明文(もしくは面白みのない日常風景・やりとり)が続くと面白くないんです。
「でも読者の人に世界を知ってもらうために説明は必要だろ?」
はい、そのとおりです。でもここで大事なことは「最初に」という点です。
↓こんな経験はないでしょうか?↓
・なんだか面白そうな小説見つけた。知らない作者さんだけど、ちょっと読んでみよう。
・読んでみたはいいけど、説明ばっかでいっこうに物語が始まらない。
・もうしんどいから読むのやめよう。
いくら内容が面白くても、最初が面白くなければその面白いところまで読んでもらえません。あまりにもそれはもったいない。
しかし、
===== 例文ここから =====
赤黒い液体が床一面に広がっていた。
彼はしばし呆然と床を見下ろしていたが、ひきつった声を上げてしりもちをついた。
===== 例文ここまで =====
とか、
===== 例文ここから =====
「覚悟するんだな!」
力強い言葉と共に首元へ突きつけられた剣を、男は冷静に眺めた。
===== 例文ここまで =====
とかで始まると、「お?」とかちょっと思いませんか? 思わないですか? そうですか。
ま、まあつまりですね。一番初めは「えっ? 何っ? 一体何がはじまったの?」と、読者を置いていくぐらいがいいと思います。
この「えっ何っ?」で読者はこの先を見たくなるんです。
プロの方の例を挙げてみましょうか(最初からこうすればよかった)。最初の一文だけ抜粋。
===== 例文ここから =====
・ゼロの使い魔(ヤマグチノボル著)
「あんた誰?」
・マルドゥック・スクランブル(うぶ方 丁著)うぶの字が出ませんでしたorz
「死んだほうがいい」
・とある魔術の禁書目録(鎌池和馬著)
「――ええい! くそっ! くそっ! あーもうちくしょうー不幸すぎますーっ!!」
・キノの旅(時雨沢恵一著)
そして暗闇が生まれた。
・小暮写真館(宮部みゆき著)
――ところで、新しい店の住み心地はどうよ?
===== 例文ここまで =====
さすがプロ。分かりやすい。
ラインナップはあれです。いま手持ちにある中で比較的わかりやすそうなのを選んだつもりです。
一番最初というのは、読み始める場所です。なので当然ながら読者の方はまだ作品内に入っていない。そんな状態で説明だとか日常を描いても、難解な専門書を読んでいる気分になります。特に異世界の場合は独自の地名や物事が出てきますから余計に。
なので印象的なシーンを最初に持ってくる。それこそタイトル通り「死体を転がす」ぐらい大胆にやってしまいましょう。
たぶん最初のシーンを書き直すだけで作品の雰囲気がガラッと変わるはず。
このことはタイトルにも言えます。
平凡な題名もいいですが、今世の中に小説はありふれてますから、タイトルで目を引くのも一つの手です。あまり狙いすぎると逆効果ですが。
とまぁ、今回はこんな感じで。今さらながら冒頭についてでした。
一緒に精進精進!
2011・06・09(誤字修正。失礼しました)