ハッキリ書くのもいいけれど……。
今回は「こんな感じで書いてみたら文章の雰囲気が変わるかも?」という手法っぽいものを紹介。そんなたいそうなもんではないですけど。
★そのものズバリを書かずに表そう!★
どういうことか、といいますとたとえば主人公が「ひきこもり」であったとします。そのとき、主人公のことをどう表しますか?
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彼はひきこもりである。
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と、ズバッというのもいいですが、ここは「ひきこもり」を使わずに「ひきこもり」を表してみましょう。いろんな表し方があると思います。
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・玄関に行くと、靴がほこりをかぶっていた。
・久方ぶりに見た太陽のまぶしさに、彼は目を細めた。
・彼の世界はこの四畳半だった。
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などなど。え? ぜんぜん「ひきこもり」っぽくない? そうですか。
ま、まあ、とりあえずみなさんも書いてみてください。拙作の「それぐらいで泣くなよ」( http://ncode.syosetu.com/n0481v/ )は「ひきこもり」を「ひきこもり」という言葉を使わずに書いています。参考になるかは分かりませんが、一つの例としてどうぞ。
一つの練習として。また「俺はもっとうまく書けるぜ」と思われたらぜひやってみてくださいね。「ひきこもり」以外に「怒り」「悲しみ」などの感情、「物体」「美しさ」「動作」……いろいろあると思うので、やってみると楽しいかもしれません。
こうしてズバリを言わずに表すことで、よりリアルに、より説得力のある文章になると思います。感情移入もしやすいのではないでしょうか。
「よし! じゃあたくさん使うぞ」
というのはちょっと待ってください。なんにもかんにも使えばいい、というものではありません。
使いすぎると「くどい」文章になりますし、分かりにくく、ボヤけたものにもなります。何事もほどほどに。
シンプルな描写もまた美しいですから。
どれだけ使えばいいのか、は各々の文章で異なるのでなんとも言えません。が、どうでもいいもの(日常で使うもの、コップ・お皿・ハシなど。ストーリー上あまり関係ない物事)に関しては使わないほうがいいでしょう。
ただ立ち上がる動作を描くのに「膝を曲げ、上体を前に倒し、腕を振って勢いをつけバネのように伸び上がった」と、細かく書かれても困りますよね。もちろん、立つ動作に意味があるのなら書くべきですが。
書けた文章を読み直して、「なんか違うなぁ」と思ったら一度この方法をどこかで試してみてください。だいぶ雰囲気が変わると思います。
今回は短いですがこれで。