「濁り酒と葡萄酒の夜
「ねえ。」濁り酒がぽつりと言う。
「どっちが、人を幸せにできると思う?」
葡萄酒はグラスを傾け、赤い光を見つめる。
夜の居酒屋。
灯りはやわらかく、木のカウンターに二人が向かい合っていた。
「また会ったね。」
白くにごった髪を揺らしながら、濁り酒の少女は笑った。
どこか素朴で、あたたかい香りをまとっている。
「ええ、偶然かしら。」
対するのは、深い赤のドレスをまとった葡萄酒の女性。
指先まで優雅で、ほんのり甘い香りを漂わせていた。
濁り酒はぐいっと盃をあおる。
「難しいことばっか考えてると、疲れちゃうよ?」
葡萄酒はくすりと笑う。
「あなたは単純すぎるのよ。でも…それが羨ましい時もあるわ。」
しばらく沈黙。
外では雨が静かに降っていた。
「ねえ。」濁り酒がぽつりと言う。
「どっちが、人を幸せにできると思う?」
葡萄酒はグラスを傾け、赤い光を見つめる。
「そんなの決める必要あるの?」
そして、ふっと優しく笑った。
「人は、その夜に合う味を選ぶだけ。」
濁り酒は少し考えてから、にっと笑う。
「そっか。じゃあ今日は…一緒にいよっか。」
グラスと盃が、静かに触れ合う。
その音は、雨音に溶けていった。
「人は、その夜に合う味を選ぶだけ。」
濁り酒は少し考えてから、にっと笑う。
「そっか。じゃあ今日は…一緒にいよっか。」
グラスと盃が、静かに触れ合う。
その音は、雨音に溶けていった。




