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第十三話(Aluminum):酒場

数日後、エリンは回復し、ヒューストンの工房に戻ってきた。柚紀は、エリンの回復を喜び、一緒に工房で働くことを提案した。エリンは、冒険者としての生活に疲れていたこともあり、柚紀の提案を受け入れた。


その日の夕方、柚紀、スカーレット、ヒューストン、サーモンは、酒場でお祝いをすることになった。柚紀とサーモンは、まだ年齢的に酒を飲むことは控えていたが、他のみんなは久しぶりの休息に楽しんでいた。


「……柚紀くん、この前、ありがとう。おかげで、命が助かったよ。」


エリンは、柚紀に感謝の言葉を述べた。柚紀は、照れくさそうに微笑み、エリンに礼を言った。柚紀は何故か変わっている彼女の自分に対しての突然の「くん」付けに気付きもしなかった。


「……いや、とんでもない。エリンが助かったのは、スカーレットやヒューストン、レイリーのおかげだよ。俺は何もできなかった.......」


スカーレットとヒューストンは、柚紀の言葉に謙遜し、お互いに譲り合った。


「……みんな、ありがとう。おかげで、私は生きていける。」


エリンは、みんなに感謝の気持ちを伝えた。みんなは、エリンの言葉に笑顔で応えた。


その日の夜、彼らは工房に帰るのに苦労した。柚紀とサーモンは、酒に酔った彼らを何とか導き、工房に連れて帰ったのだった。


「おい、酒をもっと持って来い!!」


ヒューストンはまだ酒場にいると勘違いしていたらしい。彼は意外と酒に弱かった。なんなら一番弱かった。それに比べ、エリンは酒を飲んでいた三人の中で一番平気そうにしていた。強がっているだけだろうか。柚紀は正直、可愛い一面があると思った。


「なんだ、こいら、面倒くさいって~」


どうやら、サーモンも疲れているようだ。


工房に着くと、みんなは疲れてぐったりしていた。柚紀は、自分で作った電球の明かりの下で、オストワルト法を使った硝酸の製造装置の設計図を書き始めた。


「……この装置ができれば、大量の硝酸を生産できる。硝酸があれば、農薬や肥料を製造できる......」


その頃、柚紀は、エリンの寝顔を見つめていた。彼女は、柚紀の優しさに心打たれていた。


「……柚紀くんは、本当にいい人だ。こんな人が、この世界にいるなんて……」


エリンは、柚紀への感謝の気持ちと、一緒にいる喜びを噛み締めていた。


次の日、柚紀は疲れで目が覚めた。彼は、昨日までの出来事を思い出した。そして、商会から手紙が届いていることに気づいた。


「……何だ?この手紙は?」


柚紀は、手紙を開けてみると、商会から電球と電池の量産体制が完成し、販売が始まったとの知らせが届いていた。


「……ついに、量産が始まったか。これで、資金を確保できる。」


柚紀は、安堵のため息を吐いた。そして、エリンを見つめた。エリンは、まだ眠っていた。


「……エリン、もう起きる時間だよ。」


柚紀は、エリンを優しく起こした。エリンは、眠そうな目をこすりながら、起き上がった。


「……おはよう、柚紀くん。」


エリンは、柚紀に微笑んだ。柚紀も、エリンに微笑み返した。


「……今日は、何をする?」


エリンは、柚紀に尋ねた。柚紀は、少し考えてから答えた。


「……今日は、硝酸の製造装置の設計図を完成させよう。」


「……硝酸?何に使うんですか?」


エリンは、興味深そうに聞いた。柚紀は、エリンに硝酸の用途を説明した。


「……硝酸は、農薬や肥料の原料になる。硝酸を大量生産できれば、農業生産を安定させることができる。」


エリンは、柚紀の話を聞いて、目を輝かせた。


「……すごいですね!柚紀くんは、本当にすごい。」


柚紀は、エリンの言葉に照れくさそうに微笑んだ。


「……そんなことないよ。エリンも、すごいよ。」


エリンは、柚紀の言葉に照れくさそうに微笑んだ。


こうして、柚紀とエリンは、作業に取り掛かり、後に起きてきたヒューストン、サーモン、スカーレットもそれぞれ持ち場についた。

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