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黒眼のカードマスター ~無頼漢の成り上がり~  作者: 迷井豆腐
レベル1 廃坑地帯アウトカースト
7/203

第7話 お盆とミス

「俺のターン、ドロー! ……『赤の領土』をレベルアップし、更にドロー! ……クッ」


 立て続けにカードを引くアカバンであるが、その表情は硬い。


(どうにかしてこのターンでメイドを倒しておきてぇが、この手札じゃ2ダメージに届かねぇ。そういうカードもあるにはあるが、【税】赤2じゃコストが足りない。今は耐えるしか……!)


 アカバンは赤2の【税】を使い、【領主】を1体召喚する事にしたようだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『可能性の爬虫卵』

分類:領主 レア度:C コスト:赤1無1 タイプ:ドラゴン、卵

攻撃力0/防御力3

【進化2】2ターン後『火吹き山のリザード』に進化する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 アカバンが『赤の領土』に召喚したのは、ダチョウのそれ以上に大きな卵であった。赤の水玉模様が表面に描かれており、何ともコミカルな見た目をしている。


「攻撃力0、だがターンを跨いで異なる【領主】に【進化】するのか。なるほど、面白い」

「へへっ、『火吹き山のリザード』は召喚と同時に攻撃ができる【速攻】持ちだ。さあ、どうする? ターンエンドだ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

3ターン目

グラサン ライフポイント10 手札6

『白の領土レベル2(白2)』=『シルバートレイの運び手(2/2)』

アカバン ライフポイント9 手札6

『赤の領土レベル2(赤2)』=『可能性の爬虫卵(0/3)』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そいつを放っておくと、後で痛い目を見そうだが……ドロー、『白の領土』をレベルアップ、レベル3へ、追加ドロー……これでこの『白の領土』のレベルはマックス、これ以上は投資する事ができねぇ」

「へっ、どうせまた【継承】とやらをやるんだろ? ほら、攻撃して来いよ!」

「おう、『シルバートレイの運び手』でカードマスターに攻撃」

「ぐおっ……!?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アカバン ライフポイント9⇒7

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 軽やかにアカバンの間近にまで接近した『シルバートレイの運び手』は、銀の盆を振りかぶり、その角のところを脳天へと叩きつけた。見るからに痛い攻撃、そしてなぜか執拗に脳天に攻撃をかますメイド達である。


「お、おい、あれだけ警戒しておいて、俺の【領主】はスルーかよ……!?」

「まあ、ライフポイントが半分のルールだからな。攻めに回って、お前さんを削る方が早いと判断した。それにそのドデカ卵に攻撃したところで、攻撃力2じゃ倒し切れねぇだろ? 攻撃の対象を制限する【門番】が居れば、また話は違ったが……つう事で、ご要望の【継承】召喚だ。白3の【税】を使い、『メイドの教育係』を召喚する」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『メイドの教育係』

分類:領主 レア度:UCアンコモン コスト:白2無1 タイプ:人間、メイド

攻撃力2⇒3/防御力2⇒3

領土が置かれていない自陣にレベル1の『メイド養成教室』を置く。

そこに『メイド志望者』を召喚する。

【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+1

【継承(メイド)】デッキからランダムに1枚手札に加える。(new!)

【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+1(new!)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 新たな【領主】である『メイドの教育係』が出現すると、『シルバートレイの運び手』は緊張した面持ちで礼をし、逃げるように去って行った。何やらバックストーリーを感じさせる流れである。


「め、滅茶苦茶文章が長くなっていやがる……!」

「落ち着けよ。【継承】が重なっている分、そう見えるだけだ。書いている事は何も難しくねぇ。まずは【継承】の効果でランダムに1枚、手札に加えさせてもらう。で、次に『メイドの教育係』自身の能力が発動。レベル1の『メイド養成教室』を設置するぜ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『メイド養成教室』

分類:領土 レア度:UC

レベル1 なし

レベル2 無1

レベル3 無2

【継承(メイド)】が発動した時、更に+1/+1

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 新たなに生み出されたのは、メイド道具が並べられた小さな教室であった。


「更に、『メイド養成教室』上に『メイド志望者』を召喚する」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『メイド志望者』

分類:領主 レア度:UC コスト:無1 タイプ:人間、メイド

攻撃力0/防御力1

【継承(メイド)】継承した【領主】を+0/+1

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 メイドとしての圧を醸す『メイドの教育係』とは打って変わって、『メイド志望者』は『メイド見習い』以上に初々しい少女であった。メイド体験中! と、可愛らしいバッチを付けている。


「りょ、【領土】を効果で出した上に、【領主】まで召喚する、だと……!?」

「UCカードなだけはあるだろ? 『メイド養成教室』は【税】を生み出す力は弱いが、その代わりに特殊な動きをする。よーく確認しておくこった。これで俺はターンエンド」

「クッ、言われなくても……! 俺のターン、ドロー!」


 引いたカードを見て、次いで相手フィールド上の『メイド養成教室』に視線を移すアカバン。


(要は【継承】能力を補助する【領土】、強化を更に加速していくつもりなんだろ? 【領土】の効果はそこに置かれた【領主】にのみ反映されるから、『メイド志望者』を叩けばそこでの【継承】は防げる。だが、今最優先で倒すべきは『メイドの教育係』! こいつをこれ以上【継承】させるのは、流石に不味い! 何とかこのターン中に3ダメージを与えねぇと……)


 改めて自身の手札に視線を戻すアカバン。残念ながら、今の手札に状況を打開できるカードはなかった。


「……『赤の領土』をレベルアップ。1枚ドローす――ッ!」


 来た! そう心の中で渾身のガッツポーズを決めたアカバンは、たった今引いたカードに手をかざす。


「赤3の【税】を使い、このカードを使うぜ! 【戦略】カード、『飛び交うマグマ』!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『飛び交うマグマ』

分類:戦略 レア度:C コスト:赤2無1

選択した【領主】1体に2のダメージを与える。

【領主】が置かれていない自陣の【領土】に『マグマもどき』を召喚する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おっ、【戦略】カードか」

「そう、様々な効果をもたらし、使用者をサポートする便利カードだ!」

「即効性があるのが良いよな。だが、そのカードを今使うのは――」

「――ベストタイミングだったろ!? こいつの効果で、『メイドの教育係』に2のダメージを与えるぜ!」


 どこからかマグマの塊が飛来し、『メイドの教育係』に襲い掛かる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『メイドの教育係』 防御力3⇒1

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「効果はまだ終わらないぜ! 召喚と同時に攻撃ができる【速攻】持ち、『マグマもどき』を出して、追い打ちの攻撃を――あれ?」


 新たな【領主】を召喚しようとしたアカバンであったが、いくら待っても『マグマもどき』は姿を現さない。


「あー……多分、こっちの【継承】召喚を見ていて感覚がずれたと思うんだけどよ、今お前さんの場には空き状態の【領土】がねぇぜ?」

「……あ、ああっ!?」


 悲しい事にアカバンが所有する唯一の【領土】は、【進化】間近のドデカ卵が占拠していた。

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