第6話 継承召喚
本人的には予想外であった自滅を経て、【税】がなくなりやる事もなくなるアカバン。苦渋の表情を浮かべながらターンエンドを宣言し、ゲームは2ターン目へと移行する。
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2ターン目
グラサン ライフポイント10 手札5
『白の領土レベル1(白1)』=『見習いメイド(1/1)』
アカバン ライフポイント10 手札6
『赤の領土レベル1(赤1)』=空
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「まだ始まったばかりなんだ、もっと気楽に行こうぜ? じゃ、このターンからは俺もドローをさせてもらいますかね。ドロー! で、ここからなんだが……」
グラサンが自陣の『白の領土』に視線を移す。
「【領土】から徴収する【税】を増やす方法は2つある。1つは既に設置してある領土に不要なカードを1枚投資して、【領土】のレベルを上げる方法。【領土】のレベルはそのカードに記載されている分が上限で、俺達が今使っている『白・赤の領土』であれば、レベル3がマックスになるって訳だ。この方法は手札を1枚消費する代わり、新たにデッキから1枚ドローする事もできる。消費するカードの種類は問われねぇし、手札に欲しいカードがない場合は、これで補充するのも手かもしれないな。お前さん、残る1つの方法は何だと思う?」
「えっ? え、ええっと……【領土】を新しく置く?」
「その通り、なかなかやるな。【領土】は最大5つまで拡げる事ができ、イコール最大5体までの【領主】を召喚できるようになる。こっちは【領土】カードが必要になるし、新たにドローする事もできねぇが、その辺は状況の兼ね合いってやつだな。カードマスターの腕が問われるぜ?」
「……なあ、何でそんな風にいちいち説明してんだ、アンタ?」
「あん? そりゃあお前、初めてやるゲームは言葉にしてやる方が分かりやすいからだよ。俺は物覚えが悪くて不器用だからな、まっ、大目に見てくれや」
それにしてはやけに手慣れているし、カードゲーム特有の宣言に対する恥じらいもないような……アカバンは相手がカード初心者でないのではないかと、漸く怪しみ始めたようだ。
「そうだな、今回は『白の領土』をレベルアップさせてもらおう。手札を1枚消費して、デッキから1枚ドローするぜ」
グラサンの『白の領土』に手札のカードが吸い込まれていき、そこにあった街並みが発展していく。どうやらレベルだけでなく、見た目も変化していくようだ。
「そのターンに使用できる【税】は、このタイミングで場にある【領土】から算出される。言うまでもねぇと思うが、このターン俺が使える【税】は白が2つだ。だが、こいつを使う前に……フィールドががら空きのお前さんを攻撃しておこうか。『見習いメイド』でカードマスターを攻撃!」
ドタバタとそんな音が聞こえてきそうな走りで、アカバンの方へ突撃する『見習いメイド』。そして、手に持ったはたきを彼の脳天に直撃させる。
「ぐっ……!」
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アカバン ライフポイント10⇒9
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(痛みはねぇ……けど、マジでリアルだな。何か女の子に責められているみたいで、これはこれで――って、何考えてんだ、俺!? そっちに目覚めたら駄目だろッ!)
「お、おい、大丈夫か? ダメージを受けても、実際の痛みはない筈なんだが……ゲームの不具合か?」
ダメージ後、悶え苦しむ(ように見える)アカバン。流石のグラサンも心配しているようだ。
「だ、大丈夫! あんまりリアルだったから、少し動揺しちまっただけだ! ほら、続き続き!」
「お、おう……? なら、白の【税】を2つ消費して、新たに【領主】を――」
「――待ちな! おいおい、この状況で【領主】を召喚するつもりかよ? 知らねぇのか、【領主】は空の【領土】がねぇと召喚できないんだぜ? さっきアンタは【領土】を増やさず、レベルアップさせた! 漸く素人らしさが出てきたな、おい!」
アカバンはここだ! とばかりに、グラサンのプレイを指摘。しかし、グラサンはなぜか満足そうであった。
「ああ、お前さんの言う通りだ。本来であればこの状況下で、新たな【領主】を召喚する事はできねぇ。よく覚えていたじゃねぇか! 流石だな!」
「へへっ、当然だろ――って、そうじゃなくて! 分かってんなら、何でんな余裕をかましてんだよ!?」
「そりゃあお前、今が例外的な状況だからさ。『見習いメイド』が持つ効果を見てみな。【継承(メイド)】って能力があるだろ。フィールド上に展開されたカードに目を凝らせば、そいつがどんな能力なのかが分かる筈だぜ? つか、そういうシステムになってる」
「……ッ!」
「見えたみたいだな? そう、こいつは新たに召喚する【領主】のタイプが【メイド】だった場合に限って、そこへ上書きする形での召喚が可能なんだ。しかも新たに召喚された【領主】は、そこに記載されている強化を受ける」
「つ、つまり、攻撃力と防御力の両方が1プラスされた状態で、召喚される……?」
「ハハッ、まあ見てのお楽しみってやつだな。白の【税】を2つ使い、『シルバートレイの運び手』を【継承】召喚!」
グラサンの号令の後、『見習いメイド』の真横に銀のお盆を持った新たなメイドが現れる。二人がハイタッチをした後、『見習いメイド』はどこかへと消えて行ってしまった。
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『シルバートレイの運び手』
分類:領主 レア度:C コスト:白1無1 タイプ:人間、メイド
攻撃力1/防御力1
デッキから【コスト3】かつ【メイド】の【領主】をランダムに1枚手札に加える。
【継承(メイド)】デッキからランダムに1枚手札に加える。
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「でよ、これが――」
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『シルバートレイの運び手』
分類:領主 レア度:C コスト:白1無1 タイプ:人間、メイド
攻撃力1⇒2/防御力1⇒2
デッキから【コスト3】かつ【メイド】の【領主】をランダムに1枚手札に加える。
【継承(メイド)】デッキからランダムに1枚手札に加える。
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+1(new!)
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「――こうなる訳だ!」
「待てこらッ! 効果まで増えてんじゃねぇか!?」
「おいおい、しっかり【継承】の効果を確認しろって。単純な強化だけでなく、【継承】能力も引き継ぐって書いてあるだろ?」
「ぐっ、マ、マジか……!」
「もう予想できたと思うが、俺のデッキはこの【継承】能力を軸としたメイドデッキだ。単体のステータスは控え目だが、【継承】を重ねて代を経るごとに強力な【領主】に仕上がっていく。手遅れになる前に、何とかして倒す事をおすすめするぜ? ああ、そうだ。忘れる前に『シルバートレイの運び手』自身の効果も発動しておく。デッキから対象となるカードを1枚ドロー、これでターン終了だ」
ちなみに、無のコストは何色の【税】で支払っても良い。




