【猫になりたい】
ショートショートです
「ゆきが猫になった?!本当に?」
「ゆきのお母さんが泣きながら説明してくれた。間違いないよ」
私とゆきとハジメは幼馴染み。そして、私はハジメに片想い中だ。
「それで、猫はどこにいるの?」
「俺が引き取ることにした」
「え?ハジメが猫になったゆきを?」
「うん。ゆきん家のマンション、猫飼えなくて」
「そっか…でも、猫ってことはグルグルってなってハジメに甘えたり一緒に寝たり膝に乗ったり…猫吸いされたりもする訳?」
「まぁそうだね。割とずっとくっついてるかな」
もう超絶羨まし過ぎる。ゆきの奴、私とハジメのこと応援するって言ったのに!
いや…猫だから仕方ないのか?てか、私も猫になればいいじゃん!そしたら、ハジメの前でグルグルってなってああやってこうやって1日中ベタベタできる。
「ね!ゆきが猫になった方法ってわかる?」
ハジメは厚みのある1冊の本を私の前に差し出した。一部に付箋がしてある。
「人間が猫になるためには、3年間恋愛をしないこと。毎日猫になりたいと願うこと」
私はハジメへの想いを断ち切り、3年間、毎日必死で猫になりたいと願った。
3年後、私は猫になれなかった↓そして、ハジメとゆきは結婚した。
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俺はリサのストーカーに悩まされていた。毎日のメール、電話、待ち伏せ、隠し撮り。
幼馴染みだからこそ、何でも知られていて精神的に参った。
折角ゆきと両思いなのに、これじゃデートの1つもできない。
そこで、ゆきと秘密裏に連絡を取り合い、ある計画を立てた。
異常なリサなら必ず乗ってくるはずだ。私もハジメの猫になりたいと言って。