一話:悪夢の始まり
はじめまして、由愛です。
できるだけ早く更新していくつもりなのでよろしくお願いします。
「なぁ、ヒマ?」
「なにが?」
「今日の放課後!」
「今日はバイトだけど…なにかあるの?」
「いや、バイトならいいよ。」
オレ、坂城想は中央高校一年生の男子。
今話してたのはクラスメイトの和哉。
和哉とは中学からの親友でお互いいろいろ知ってる仲。
「え~気になるから教えてよ~!」
「ダーメ!明日のお楽しみ!」
和哉のニヤケ笑いが気になるけど…こういうのは日常茶飯事で昔もよくあった。
でも結局、今日ゲーム全クリしたとかそういった類のことだから意味はあってないようなものなんだけどね…。
「想ちゃーん、今日バイト?」
想ちゃんっていうのはオレのあだ名。
オレは背も低いし、声も高くてかなりの童顔だからクラスのみんなの弟みたいな立場にある。
まぁ、それはオレの性格が子供っぽいっていうのもあるんだろうけど…。
「バイト禁止だろ~?先生に言いつけちゃうよっー!」
「みんなもしてるからいいの!」
「だめだめ!よし!言いつけないから今度一緒に遊ぼ!オレん家に泊まりに来て!」
「それがしたかったんだ」
交換条件なんかつけなくても遊びにいくんだけどね。
まぁ、普段はこんな感じでみんなでワチャワチャしてる。
なんかクラス全体が仲良いからけっこうみんな隠し事もなくて良いクラスなんだよね。
オレは恋愛とかそういうのに鈍かったからか知識がなくて、和哉とかにいろいろ教えてもらったし、そういうのが当たり前みたいな楽しい毎日ってわけで…!
「想ちゃん彼女できた?」
和哉は今まで彼女できたことがないからかこの質問を毎日してくる。
オレも彼女いない暦は和哉と一緒だから、和哉からしたらコイツには負けないぞ!って感じなのかも。
「できてないよー。」
さすがにこの質問も飽きてきたからちょっとぶっきらぼうな言い方になった。
「そっかぁ……。」
そのとき和哉が普段見せないような感慨深い顔をしたから思わず聞いた。
「…なにかあったの?」
「え?いや、なんにも!」
挙動不審ですね。
「絶対あるでしょ~?」
「いや……分かった、想ちゃんだけに教えるよ。でも、まだアレだから今日の夜でいい?」
「あ、今日の夜はあきらの家に呼ばれてるから…明日は?学校ないし」
「うん、じゃあ明日の夜にそっち行くな。」
「うん。」
まだアレってどういう意味だろ…?
「坂城お疲れー。」
「はい、先に失礼します!」
「気をつけて帰れよ。」
「はい!」
あ~あ、真っ暗……。
うわ、もう11時だ……あきらには行けなくなったってメールしとこ…。
バイト先でもめ事があったせいで従業員みんな居残り…。
でも高校生を遅くまでおいといちゃダメだってことでオレは先に帰ってます。
あ、彰兄にもメールしとかなきゃ。
オレは四歳のころに孤児院に入って、そこをでた今も同じ孤児院にいた彰介と零と3人で暮らしてる。
もう家族も同然な関係。
えっと…メールメール……。
――ガシッ!!――
そのとき誰かに両腕を力強くつかまれた。
「……!?」
暗くてよく見えないけど体の大きい男の人が3人。
1人はオレの両腕を逃げないようにつかんでて、
1人はオレの口をふさいでる。
走り出そうとしたらもう1人の男に足をもたれた。
「……!!」
そのままかつがれるような形で大きい車にむかっていってる。
はなせ!はなせ…!
そう叫んでも言葉にならない声しかでない。
車のシートに寝かされたと思ったら、頭に鈍い痛みがして気が遠くなっていった……。