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30話 少女と修理

 俺は機能の停止したアンドロイドから拳を抜いた。


 他の4体も同様に機能を停止していた。




「これで終ったの?」


「いや、あいつの話だと、バックアップデータからいくらでもコピーを作る事が出来るみたいだったからな。また仕掛けてくるかもしれない」




「なあに、その時はオレ様がまた一刀両断にしてやるぜ!」


「アタシも悪い奴らは吹っ飛ばしてやるわよ!」


「わたくしもその際は助太刀いたします」


「わたしは争い事は好みませんが、降りかかる火の粉は払わなくてはいけませんね」



 4人ともこれからも手伝ってくれるみたいだな。

 あいちゃんを守るのに、やはり仲間がいるのは心強い。



「みんな!ありがとう!」


 あいちゃんは、深々と頭を下げてみんなにお礼を言った。




「ではわたしたちはこれで失礼します」


「困った事があったら、いつでも言ってね!」



 そう言って4人は帰って行った。




 自称『神』達の残骸は、掃除ロボットが片付け始めている。


 壊された装置群も、修理ロボットが修復を始めていた。



「さて、俺はこの手を直してくる。ちょっと待っててくれ」


「あっ!あたしも一緒に行く!」


 あいちゃんもメンテナンスルームについてきた。


 アンドロイドのメンテナンスルームは、エレベータを更に下った下の階にある。




「へえ!こんな場所があったんだ!」


 メンテナンスルームの中には無数のアンドロイドパーツや、完成状態に近いボディも置いてある。


「ここは俺専用のアンドロイド工房だ。ここで自分のボディのメンテナンスをしたり、新しいボディの開発をしている」


「そういえばガムって自分で自分の体を作ってるんだね?」


「修理には1~2時間程度かかる、適当に座って待っててくれ。置いてある物を見てもいいが、勝手に触るなよ」


 俺はあいちゃんにそう言って、服を脱ぎ始めた。


「ちょっと!なに脱いでるの?」


「何って、人工皮膚の修復をするのに服を脱がないとできないだろう?」


 俺は下着まで脱いで全裸になった。


「ちょっ!乙女の前で何を見せてるの!」


「ああ、これか?・・・人工物だ、気にするな」


 あいちゃんは、手で目隠しをしながらも、指の隙間から俺の股間をちらちらと見ていた。


「人工物って言っても、リアルすぎるのよ! って!今、大きくならなかった?」


「あいちゃんがじろじろ見るから意識してしまったんだ」


「じろじろなんて見てないもん!」



 そう言えばその機能をONにしたままだったな・・・



「とにかく修理を始めるから、終わるまで待っててくれ」


 俺は棺桶の様なガラスケースの中に入って横たわった。


 これはアンドロイド修理用の装置だ。


 様々なツール類や3Dプリンタが装備されており、内部メカの修理から人工皮膚の修復まで全ての作業を行う事が出来る。



 俺は装置の中に横たわると、意識をこのボディからこの部屋の管理システムに移動した。


 こうする事により、自分のボディを客観的に見る事が出来る。



「じゃあ、あたしはその間この部屋の中を見学してるね。いろんなアンドロイドがいて面白そうだし」


「くれぐれもむやみに装置に触るなよ」


「あれ?今どこから声を出したの」


 あいちゃんは上を見たり、きょろきょろしている。


「意識をこの部屋に移した。この部屋のスピーカーから声を出している。修理中のボディは今は機能停止しているからな」


「へえ!そんな事も出来るんだ」


「元々はこの国全体の管理コンピューターだからな」




「まあいいや、それにしてもいろんなアンドロイドがあるんだね?」


 あいちゃんは並べてあるアンドロイドボディを順番に見て回っていた。


「そうだな、俺の換装用のボディや、他のアンドロイドのボディの修理もやっている」


「そうだよね?この女性タイプのボディなんか、ガムが使ったりしないよね」


 あいちゃんはグラマラスな成人女性タイプのアンドロイドボディを見ていた。


「・・・いや、それは俺用だ」


「ええっ!ガムってそういう趣味があったの!」


「趣味というか研究用だ。女性タイプで無いと出来ない事もあるからな」


「・・・それって・・・女湯に入ったりとか?」


「それは普通に入れる。普段誰も使ってないからな」


「・・・入ってるんだ・・・じゃあ、何?」


「女性の感情や感性の研究のためだ」


「それって、ガムって、女性ボディに入ると、性格も女性になるって事?」


「まあ、そうだな、人格や性格はある程度ボディに影響される。同じ性別でも、その特徴によって感情や性格に変化が現れる」


「あれ?でも静さんはボディと性別が違ってたし、他のボディに交換するのはリスクがあるって言ってなかったっけ?」


「静は特殊な例だがそういう事もある。それもあって静は特にボディ変更のリスクが高いからボディの変更を勧めていない」


「確かに・・・静さんはあのキャラで定着しちゃたからキャラが変ると混乱するかもね?・・・でも、ガムはボディを変えても大丈夫なんだ?」


「ああ、俺は俺で、他のAEとは少し事情が違うからな」


「そうなんだ!・・・あっ!こっちのイケメンお兄さん、すごい気になる!誰のボディなの?」


 あいちゃんは20代男性の姿をしたボディの前に来た。


「っていうか、このお兄さん、すっごく好みなんだけど!・・・顔もスタイルも完璧だし・・・それにこれのサイズも・・・ガムのはちょっと大きすぎて、あたしには無理かもって心配してたんだけど、このお兄さんのサイズだったらいけるかも!」




 ・・・って、なにの話をしている。




 まあ、置いてあるボディは全裸で保管してるので、全て見えてしまっているのだが・・・


「そのボディは・・・・・」


「なんか、超好みなんだけど!このお兄さんと恋人同士になりたい!」


 あいちゃんは、そのボディの入っているケースにすり寄っていた。




 ・・・・・うーん・・・なんか複雑な気分なんだが・・・




 その時、あいちゃんが偶然、そのアンドロイドの起動ボタンを押してしまった!




 ケースが開いて、アンドロイドボディがあいちゃんにもたれ掛かって行く。


「ああっ!全裸のイケメンお兄さんがあたしに抱きついてきた!・・・そんなっ!まだこころの準備がっ!」


 あいちゃんはパニクリながらもちょっと嬉しそうだ。




「・・・ばか、俺だ」


 俺は体を起こして密着していたあいちゃんから離れた。


「えっ?・・・誰?」


「誰って・・・俺だよ俺、ガムだ」




「ええっ!どうしてガムがイケメンお兄さんに!」


次回、最終回です。この後、続けて投稿します。

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