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3


 日が昇ってから目が覚めた。体の調子がいい。夜明け前に起きてもおかしくない時間に寝たが、ぐっすり眠れたようだ。


 身支度を整えて一階に下りると、美味しそうな匂いが漂ってきた。食堂で朝食が振る舞われていた。宿の主人によると、宿泊代とは別料金を支払えば食べられるそうなので、頼んだ。


「冒険者向けの弁当もあるが、どうだ?」


 朝食を食べていると、おすすめされた。味も美味しいし、値段も良心的だ。ぜひ、とお願いした。


 弁当を受け取って外に向かうと、


「気をつけてな」


 そう声をかけてくれた。


 魂の迷宮の探索を開始した。出会うモンスターを討伐しながら潜っていく。


 通路が広がるほど、多くのモンスターが一斉に襲ってくるようになる。二体の四足型スケルトンが走って襲ってきた。


 四足型は足が速い。一体を投石で倒したが、その間にもう一体に接近されてしまった。


 蹴り飛ばして対処する。砕け散った四足型は灰になった。


 まだ危なげなく倒せるが、ダンジョンの構造の変化がモンスターの危険度を跳ね上げる場合がある。


 例えば、別れ道。一方の道を進んでいる間に、もう一方の道から回ってきたモンスターに背後を取られるかもしれない。運が悪ければはさみ撃ちだ。


 頼りになるのは音だ。静かなダンジョン内は音が響く。別れ道の一方から複数の物音が聞こえてきたので、警戒しながらそっちを進んだ。


 音のする場所に近づき、ランタンを掲げて照らすと、部屋状の空間になっている行き止まりが現れた。床だけでなく壁や天井にまで、外骨格に覆われた多足型スケルトンが張り付いている。


 天井にくっついていた一体が、ぽとりと床に落ちて襲ってきた。踏み潰すと粉々になった。


 それが合図かのように他の多足型も動き出した。通路で戦えば一度に相手する数を減らせるが、多足型は壁もつたって近づいてくる。一体一体を手早く仕留めなければならない。


 幸い、手に余る相手ではなかった。叩けば潰れ、砕けた。


 しかし、残り少ない多足型を前にして、背後にかすかな異変を感じた。


 振り返ると、細長い無足型のスケルトンが、体をくねらせながら這い寄ってきていた。無足型は音もなく忍び寄る。女神の恩恵のおかげで感覚も鋭くなっていなければ、気づかなかったかもしれない。


 奇襲に失敗した無足型は、速度を上げて飛びかかってきた。捕まえて千切るとバラバラになった。


 その後、最後の多足型を灰にして戦闘が終わった。大量の魔石が手に入る。気分も軽やかに魔石を拾っていく。


 多足型の魔石はどれも小粒だった。魔石の大きさや質は、生き物の種類や個体によって変わり、値段も違う。小さければ安いというわけでもないが、経験上これは多分安い。


 安くても魔石は魔石だ。リュックを床に下ろし、魔石がずっしり溜まった袋をしまった。


 リュックを背負い直そうとして、思いとどまった。この部屋を背にして休憩しよう。行き止まりなので逃げ道がないが、背後を取られたりはさみ撃ちにされるよりマシだろう。


 お腹も減ってきている。リュックから水筒と弁当を取り出した。


 弁当は、冷めているが美味しい。冷めても美味しいように工夫されているのだろう。宿の人たちに感謝して、ありがたくいただいた。


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