海皇龍レヴィアタンは現代日本に転生降臨したようです。
──全身が、焼けるように熱い。
そうだ、これはあの忌まわしき異世界人の魔導士のしわざだ。
海底火山を噴火させ、沸騰した海水と灼熱のマグマ、さらに水蒸気爆発でもってこの我を──大海の覇者、海皇龍レヴィアタンを追い詰め、そして。
ええと、どうなったんだっけ。
たしか「あーだめだこれはさすがに死んだわー」とか思ったような。
そのまま意識が薄れて何もわからなくなって……
いや、でもなんか、ちょっと熱さに慣れてきたかも?
──ふはは、さすが海皇龍たる我!
さあ覚悟しておけ魔導士よ、ここから地獄を見せてやろうぞ……って誰だ我の巨体を挟んで持ち上げるのは?
そんな強大な力を持つ者が、この世界に……
……この世界に……
え? ここ、どこ? 海じゃないの?
眼下には茶色い液体が、巨大な鉄の器のなかでぐつぐつ煮えたぎって見えた。
その中から二本の長大な柱でもって我を挟み持ち上げたのは、さらにおそろしく巨大な……世界樹をも凌ぐ背丈の巨人だった。
というか、そもそも。
なんだ、我のこの体?
あの神々しい、大海の碧まとう堅牢な鱗に包まれた巨体が、なんか平べったい三角形でこんがり狐色の……
「五番テーブルさんのアジフライ定食、できたよー」
「はーい!」
(★はアジフライと同じくらい大好物です!)