35.アーケロン
しばらく間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
実生活の方が忙しくなってしまい、なかなか更新ができずにおりました。
なんとか週1回以上は更新したい……
四人はビークルが忙しなく通る道路の傍を行き、程なくしてアクアリウムの端へと至る。
魔力シールドの前に、ビークルの一種であろう物がずらりと並んでいる。
「あれは何?」
アマルティアがいつもの如く隣のローリスに聞く。
しかし、彼が答えるよりも先に、前を歩くコニーが振り返って答えた。
「アーケロンだよ!」
エセルが続いて振り返る。
「亀型の半生体型ビークル! 海底探査用なの!」
近くに寄ってみると、エセルの言う通り、亀の形をしている。全長は四、五メートルほどで、前から乗り込むらしい。亀の頭が右に向かって開いている。頭、と言っても下半分だけしかない。これでどうやって海中に出るのか、と考えている間にコニーはローリスの手を引いた。
「アーケロンは二人乗りだから、二台に別れるの!」
「え? 一緒に行くのか?」
ローリスは驚く。
「うん、だから作業しながらって言ったでしょ?」
エセルが返事をして、すぐ隣にあるアーケロンに向かってアマルティアの手を引く。
「貧乏暇なしなの。ローリスも早く乗ってぇ!」
コニーにぐいぐいと背中を押されて、なかば強引にビークルの中に押し込まれる。入り口には操縦桿らしき棒が立っていた。その操縦桿の上に小さな球体のラピスラズリがある。ローリスは頭を下げながらも、それを避けて通って後部の座席へと入った。
大きな乗り物のわりにコックピット内はかなり狭いが、一応、前後二席になっているようだ。
結局、コニーとローリス、エセルとアマルティアが一緒に乗った。
双子の姉妹が座るコックピットは、左右の壁にずらりと計器やスイッチのようなものが並んでいる。その中にある一つの大きなボタンを押すと、作動音がして計器が目まぐるしく動き始めた。
「はい、それじゃあ出発!」
アマルティアの前に座るエセルが言う。
壁面にある小さなスイッチレバーをオンに切り替えると、開いていた頭部が「ガシャリ」と音を立てて閉まった。さらに何もなかった頭の上半分が耐水性魔力シールドで覆われた。これが窓代わりらしい。
二機のアーケロンはそれぞれ、金属のヒレで地面を押して、目の前のシールドを突き抜けて海中へと出る。
亀のヒレや頭の繋がる首の部分は、細かい金属パーツを組み合わせて作られているらしい、金属の継ぎ目が細かく見えた。
動作はまるで本物の亀のように滑らかだった。柔軟にしなる金属のヒレは、水を大きく掻いて海中を悠々と泳いでいく。
「鉱脈がある海底火山地帯まではしばらくかかるの。今のうちにご用件を聞くよ」
コニーは操縦しながら、ちらりと後ろのローリスを見る。
「ああ、実はラピスラズリについて聞きたいんだ」
「うんうん! どんなこと?」
どうやら常時、音声通信しているらしい。
別のアーケロンに乗るエセルの声が、コックピット内のどこかにあるスピーカーから響いて来た。
ローリスはアマルティアが通話中に雑音が聞こえるらしいこと、ダミアンからラピスラズリの内部亀裂が原因という可能性もあるという説明を受けたことを説明した。
「う〜ん」
とコニーは唸った。
「内部亀裂が入ってたら記憶されてる魔法が機能しないってことは考えられなくもないけど、そういうのは普通、研磨加工前に検品されちゃうから考えにくいと思うの」
「それに、通話に使うラピスラズリはアクセサリーに埋め込むくらい小さいし、内部が割れるほどの衝撃が加わったら外も割れちゃう気がするの」
続いてエセルが説明した。
「あとで確認してもらえる?」
後ろの席のアマルティアが前を覗く。
「簡単にで良ければ、見てあげるの。オリハルコンの採掘が終わったらね」
エセルが答えながら、また一つ壁面のスイッチを切り替える。アーケロンの頭の前に、照明魔法の光の玉がぱっと現れて浮遊し始めた。
周囲が照らされて、海底の岩石の起伏が下方に見えた。海底都市の明かりから離れ、辺りは暗くなっていたようだ。
「もうすぐ海底の火山地帯に着くよ」
コニーの声がスピーカーから聞こえた。
いつもお読みいただきありがとうございます。
もし気に入っていただけましたらブックマークやポイントを入れていただけましたら幸いです。




