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Story From The Lethe  作者: 鳴セ カイ響
第1章
25/79

24.光の消えたアクアリウム(10)

 最上階は広い空間となっていた。床にある照明が部屋を照らしている。そして、部屋の壁面に大きな窓から海中が見えた。


「あった!」


 エリアは目的のものを見つけて目を輝かせる。


「で、でけぇ……」


 ローリスも思わず呟いてしまった。


 広い円形の部屋の中央に窪みがあり、直径十メートル以上はあるであろう球体、巨大なラピスラズリがある。その前には、魔力の計測器か何かと思しき画面付きの機械が一台佇んでいる。


 魔法石ラピスラズリは薄く青色に光っており、脈打つように明滅している。表面にあるまだらの模様は、刻一刻と変化していく。


 その巨大なラピスラズリを中心として、床全体にまるで何かの回路のように張り巡らされた線がある。中央のラピスラズリが光ると、そこから光が発され、回路の線を青い光が走って行く。


「このアクアリウムに供給されている魔力は、全部ここから出てるのよ」


 三人の近くに居たアイリスが説明してくれた。


「アイリス、調査を頼む」


 ゼノンが注意するような口調で言う。


「あ、はい」

 と答えてアイリスは慌ててゼノンの方へと小走りで向かって行った。


 各アクアリウムの塔はドーム上のシールドを飛び出てそびえている。眼下には、闇を照らす海底都市の灯りが広がっていた。海底の闇を照らす無数の光は、思わず黙って見惚れてしまうほどだ。


 エリアの大きく開いた目の中に、街の灯りが輝いている。


「あ、あれって……ひょっとして中央塔!?」


 エリアは顔を上げると、遠方に真っ黒な細長いものが見た。この場所と同じように、脈打つような光が上から下へと流れて行くのが見える。


「たぶん、中央アクアリウムの塔だろうな」


 ローリスが答える。

 下から塔を見上げると、塔は果てしなく上へと伸びている。霞んでしまい頂点を見ることはできないが、海面に突き出ていると言われている。


「ところで、来た甲斐はあったか?」


 ローリスが意地悪そうに笑って、エリアを見る。


「うん、付き合ってくれて、ありがと」


 エリアは窓の外から目を離さない。人生に一回見れるかどうかの光景を網膜に焼き付けようとしている。


「でも、色んな人に迷惑をかけちゃった。ローリスにも」


 横顔が、弱々しい笑みを浮かべている。


「まぁ、俺は良いよ。お前の面倒ごとに巻き込まれるのも、もう慣れたしな」


 ローリスは窓に背を向けて体を預ける。


「でも、お前が死にかけるのを見るのは、もう勘弁だな」

「うん、ごめん」


 声で、涙ぐんでいるのがわかった。

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