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Story From The Lethe  作者: 鳴セ カイ響
第1章
24/79

23.光の消えたアクアリウム(9)

 エリアとゼノンが何か言い争っている。


「何度言われようとダメだ! お前はここから動くな。何故、俺の言うことが聞けないんだ!」

「ちょっと見せてくれるだけで良いの! お願い」

 ゼノンはこれから塔の頂上へと、エレベーターで向かうらしい。


「だって、せっかくここまで来れたのに!」


 エリアにすれば、危険を冒してまでここに来たのに目的を達せずに帰るわけにはいかないのだろう。

 ゼノンは怒りに身体を震わせている。


「隊長、塔の中は安全ですし、付いて行くくらいは良いのでは?」


 マルティンは言う。彼としては事件の解決が優先事項なのだろう。


「民間人を巻き込んだ時点で、既に規定違反だ! これ以上は……」

「ここで我々が時間をかけるほど、危険に晒される人間が増えます。それに比べれば、規定違反など些細なこと、ではないでしょうか?」


 マルティンは率直に言った。

 ゼノンは重くため息を吐いた。


「……わかったよ、マルティン。お前の言う通りだ」


 そして、エリアに視線を戻す。


「……と言うわけだ。付いて来ても構わない。が、付いて来るだけだ。頂上に着いたら床と壁以外には一切触れるな、良いな?」

 ゼノンはまっすぐにエリアを指差す。

 エリアはぱっと表情を明るくする。


「ありがとう! 兄さん」


 ゼノンは辟易した顔で、目頭を抑える。


(全く、困ったやつだ)

 

 塔の地上階から頂上へ向かって、直径二十メートルほどの円柱が伸びている。柱の中空となった空間がエレベーターとなっている。

 広いエレベーターの周囲は手すりが囲っている。その外側の壁が瞬く間に、下へ下へと流れていく。




「で、なんで結局三人一緒なんだ?」


 ローリスは左右のエリアとアマルティアを見回してつぶやいた。


「お前たちは何をしでかすか分からないからな、直接見張っていた方がまだマシだ」


 ゼノンは皮肉っぽく言う。文句の一つでも言いたのだろう。その端で治癒士のアイリスがくすくすと笑っている。


 ローリスはバツの悪い笑顔を浮かべる。帰ったら、ゼノンに罰として厳しい訓練を課されるかもしれない。


 結局、ゼノンは、ローリスたち以外に部隊から数人を引き抜いて、小隊を作ってここまで来た。

 その小隊の中にアイリスも居た。彼女はラピスラズリのメンテナンス要員だ。




 二、三分経って、エレベーターが止まった。

 扉が開き、フロアへと出る。

 何もない。


「ここが最上階?」


 ローリスが言った。


「いや、まだだ」


 ゼノンは首を振る。

 地上階と同じように部屋には何もなく、部屋の端まで視線を動かすと、漸く上へと続く通路が見える。


 エレベーターで来れるのは最上階の前室までのようだ。

 部屋の端にある、なだらかに傾斜する通路を登り、小隊は頂上の部屋へと達する。

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