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Story From The Lethe  作者: 鳴セ カイ響
第1章
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15.光の消えたアクアリウム

 海中へと出てしばらくすると、エリアが目の前のラピスラズリに触れた。

 マンダが減速し、道路から浮き上がっていく。やがて、海中に浮遊状態で停止する。


 マニュアル操作に切り替わったらしい。

 エリアはラピスラズリの上で指を滑らせながら操縦している。


「おい、どこに向かってるんだ?」


 ローリスは違和感を覚えて進行方向を見る。

 エリアはご機嫌に鼻歌を歌うだけで答えない。


 やがて、眼前に大きな黒い影が迫ってくる。

 それはある事件で人が住めなくなり、放棄されたアクアリウムだった。

 ローリスは状況を理解し、血相を変えた。


「おい、やめとけって!」

「すごく、暗い」


 アマルティアは目の前の景色をじっと見ている。



 魔法学が発展するにつれて、明らかになった魔法の特性の一つに「万物記憶の法則」というものがある。「魔力を用いれば、すべての物質には物事の記憶が可能である」ということがわかった。そして、物体によって記憶容量が違うこともわかっている。この法則に基づくと一塊の石にも何か記憶できるように思われるが、一塊の石の記憶容量は極めて低いことから、ほんの些細なことしか記憶ができない。例えば、一つの文字を記憶するとか、そんなレベルである。


 その記憶力が圧倒的に高い物が、高魔力結晶体のラピスラズリである。大気中から魔力を取り込み、高密度の魔力を保持し続けることができる性質を持つこの石は、幅広く物事を記憶することができる。例えば、生き物の統合した生体運動を記憶することも可能である。


 今、三人が乗るマンダの光のヒレ部分は、その記憶した生体運動を元に動いている。


 そして、これと似たような原理を死んだ人体に当てはめたのが死霊術である。

 倫理的に問題があるとされるこの魔術は、使用そのものが違法とされている。


 そもそも人体の構造は複雑すぎるため、それに「記憶」を施すのは相当な知識が無いと扱えない。死霊術を使用できる人物は限られているため、不正利用の管理も容易であった。


 しかし、ここ数年、どこからともなく、その死霊術に操られた屍体が現れ、住民を襲うという事件が相次いでいた。


 最初は小規模で鎮圧も容易だったが、次第に規模が膨らんでいき、先日、とうとう一つのアクアリウムで住民が住めなくなる事態にまで発展した。

 エリアによれば、治安軍はその調査開始を決定し、今日、兵士たちが派遣される、らしい。


「今朝連れてって欲しいって頼んだんだけど、断られたのよね」

「当たり前だろ! 遊びじゃないんだぞ!」


 ローリスはいよいよ、この少女が恐ろしくなってきた。大体、どこからそんな情報を得たのか。

 二人の口論を他所に迫ってくるアクアリウムを見ていたアマルティアは何かに気が付く。


「ローリス、さっき言ってた乗り物がいっぱい居るわ」


 ローリスはアマルティアの視線の方向を見る。

 耐水性魔力シールドの内側の一部分に光が見えた。海底道路の入り口、そこにプランクトスが数台並んでいる。


「治安軍だな」


 ローリスは片手で頭を抱えて言った。嫌な予感がしすぎて頭痛がしている。

 海底道路の入り口には治安軍が駐留しているため、通ることはできない。シールドの内側で適当に開けた場所を選んで、エリアはマンダを進入させた。


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