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悪役令嬢に転生?どうせもう解決してるしそんなことより贅沢しよう!

作者: 下菊みこと

ミシェル・モニク・ユルバン。ユルバン公爵家のご令嬢である彼女は、サラと呼ばれる平民の娘を虐めていると噂である。


サラは平民の娘ではあるが、貴重な聖属性の魔術を使えるため貴族の子女の通う学園に特別に入学が許された。将来は魔法省の官僚になることも決まっている。


そんな彼女は平民という物珍しさ、貴族の階級に囚われない気安さ、優しさ、そして少々の〝常識のなさ〟で学園の貴公子達に大人気になった。


ミシェルはそんなサラに、婚約者のいる男性に気安く触ってはいけない、廊下は走らない、マナーをきちんと守ることも大事だと色々注意していた。


しかしサラは耳を貸さないどころか人前で注意された!虐めだ!と訴えた。ミシェルの婚約者でありながらサラに惚れ込んでいた王太子、ティモテ・トゥーサン・テオドールはそれを信じた。


学園のダンスパーティーという公の場で、ティモテはミシェルに婚約破棄とサラへのいじめの処罰を言い渡す。その処罰とは貴族籍の剥奪と国外追放。しかしミシェルは冷静だった。


「婚約破棄は承りました。しかし、これは私ではなく殿下の有責となります。なぜなら私というものがありながら殿下はサラさんと浮気をして、公衆の面前で婚約破棄を一方的に突きつけたからです」


「それはお前がサラを虐めたから!それに浮気の証拠があるのか!」


「虐めなどしていない証拠はあります。殿下はご存知のはず。殿下の婚約者である私には、常に王家の影が護衛として…そして監視役として張り付いているのです。彼らが証言してくれるでしょう」


ミシェルの言葉にティモテは少しずつ青ざめる。


「殿下にも王家の影がついています。監視役と護衛を兼ねて。そして、影は私というものがありながらサラさんと浮気をした貴方の行動を国王陛下に報告しています。国王陛下は愚息がすまない、どうか一度だけ見逃して欲しいと私に懇願されたので許していたのです」


ティモテは最早顔面蒼白だった。


「貴方は今回、浮気した上に公衆の面前で一方的に婚約破棄を突きつけました。さらに何の権限もないのに貴族籍の剥奪と国外追放を声高に叫びました。よって貴方は国王陛下からの処罰を受けるでしょう。王太子位及び王位継承権の剥奪、生殖能力を奪った上で離宮への幽閉…が妥当なところでしょうかね。第二王子殿下は貴方と違って優秀で、婚約者であるご令嬢との仲も良好。王太子として何の問題もありませんし、スペアの第三王子殿下もいらっしゃいますしね。よかったですね」


早口でまくし立ててにっこり微笑むミシェルに、ティモテはとうとう倒れた。


「サラさんも、元王太子を誘惑したとして学園は退学処分、官僚入りの話もなし。罰として魔法省に身柄を確保されて、魔力だけを吸い上げられて色々な実験に付き合わされるでしょうね。ああ、貴重な聖属性ですから死ぬようなことはされません。ご安心下さいね」


ティモテを介抱していたサラは、それを聞きティモテを捨てて逃げようとした。だが、王家の影が動く。気絶したティモテと逃げようとするサラを拘束して国王の元へ連れていく。


「皆様、失礼致しました。ご機嫌よう」


綺麗にカーテシーを決めて、ダンスパーティーを早退して屋敷に戻った。そして家族にきちんと状況を説明して、慰められた後部屋に戻って泣いて気絶するように眠った。別にティモテに恋愛感情はなかったが、なんだか心が疲れてしまったのだ。


そして彼女は、ショックからか一週間ほど目覚めなかった。家族は心配したが、身体に異常はなくストレスが原因だと言われてブチ切れた。王家に…というかティモテに慰謝料を請求した。ティモテもサラもミシェルが言っていた通りの処罰を受けており、ティモテのポケットマネーから多額の慰謝料がミシェルに払われた。しかしそれでもミシェルは目覚めない。家族は泣いて過ごした。


一方でミシェル。一週間の間、彼女は前世の記憶を追体験していた。なんと彼女、前世は男の子だった。貧乏だった彼は金の亡者であり、夢はお金持ちになって豪遊すること。そして目覚めた彼女。彼女は幸いにして、前世の記憶を思い出しても大事な部分は変わらなかった。優しいままだし、冷静なままだし、恋愛対象もちゃんと男である。


しかし、価値観は少し変わった。公爵令嬢でありながら無駄遣いを嫌っていた彼女は、多額のお小遣いもほとんど将来のために貯金していた。だが、今の彼女はどう貯金で豪遊するかを考えていた。だって、公爵令嬢で将来は政略結婚させられるのだからお金の心配は恐らく一生ないのだから。


だが、前世では豪遊を夢に見つつも具体的なビジョンがなかった。そして今世ではなるべく無駄遣いをしないようにしていた。どう豪遊しようか迷って、そうだどうせなら地位も権力もお金もあるのだから名声を手に入れようと考えた。


彼女は多額の貯金全てを使い、領内にいる家族の介護が追いつかない身体の不自由なお年寄りを保護する施設を作った。職員達は徹底的に監視して虐待は起こさせない。美味しい栄養満点の食事、柔らかな寝具、温かなお風呂。保護された彼らは、そしてその家族はあまりにも良いその待遇に心から感謝した。そしてミシェルへの忠誠を誓う。


身体が不自由で保護されたとはいえ、頭ははっきりしている彼らは領内の色々な問題を調べて、それを解決する手段をみんなでワイワイ考えてそれをミシェルにお手紙で伝えることにした。ミシェルはそれを父親に見せて、その案は大体通って上手くいった。領内はさらに良くなる。ミシェルのお陰だと褒められる。


ミシェルはたくさんの人から注目を集め、忠誠を誓われ、賞賛を浴び、それはもう幸福の絶頂だった。ああ、やっぱりお金持ちは良い!豪遊は心地よい!


貯金全てを使ったとはいえ、一度施設を作ってしまえばあとは親から毎月もらえるお小遣いだけで十分運営できた。そして保護したお年寄り達の発案の色々な政策のおかげで両親から褒められて臨時のお小遣いももらえる。毎月のお小遣いは養老院の運営に当てるが、臨時のお小遣いでどう豪遊しようか考えた。


考えて、スラム街にメスを入れることにした。臨時のお小遣いを使いスラム街の人々を集め、大衆浴場で風呂に入れ、清潔な服を買い与え、髪を切り揃え、栄養満点のご飯を食べさせて、そして残ったお金を全て彼らのホテル代食事代に注ぎ込んで生活を一ヶ月ほど保障した。そしてその間に職探しをさせてほとんどの者を社会復帰させた。


これまた彼らから忠誠を誓われ、家族から褒められて、領民達や他の貴族達から賞賛の言葉を受け、幸福の絶頂を突き抜けた。


そんなお小遣い全てを福祉活動に当てる彼女はいつしか聖女扱いされるようになった。そして婚約者を病で無くして塞ぎ込んでいたという隣国の王太子との婚約が持ち上がる。彼女はもちろんオーケーした。さらにお金持ちになれるからだ。


元婚約者を想い続ける隣国の王太子を理解して寄り添い、いつしか彼に受け入れられた彼女はさらに名声を高めお金持ちを満喫している。


みんな幸せになったのだから、まあ、大団円ということで。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  公衆の面前でスペア呼ばわりは不敬罪。 [一言]  シャンプーの名を冠しているんだから最低限綺麗でないとね。
[一言] なんか会話がほとんど(途中から全く)無いせいで、 短編小説というより小説のプロットを読んでるみたい…
[一言] 豪遊。豪華に遊ぶ。 遊んで……るのか?(;´∀`)
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