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85:鐘が鳴る時

ヴァルゴの恋人候補を決めたわし達。ヴァルゴにヒールをかけながら目覚めるのを待っていたその時だった。


「ゴーン!!ゴーン!!!」


大きな鐘の音が鳴り響いた。


「なんじゃ!まさかわし達の処刑を知らせる鐘の音か!?まだヴァルゴも目が覚めてないのに!!!!」


「皆さん安心してください。これは処刑を知らせる鐘の音ではありませんよ。」


「じゃあ何の鐘なんじゃ?」


「もうすぐ分かると思います。」


「源五郎!階段の方からいい匂いがする!!」


「本当じゃな!これはカレーじゃな!」


「カレーって何?」


(あーそうか。この世界にはカレーという名前が無いんじゃな。)


「アーチさんは知らなくてもしょうがないです。海の月にしかない食べ物ですから。観光していた際に食べましたがすごく美味しかったですよ。」


(この世界では海の月にしかない食べ物なのか。)


「お前たちカレーの時間だ。王様は寛大な方だから罪人のお前たちにも食わせてやる!寧ろ絶対に食べないと駄目なのだ。それにお前たちにとっては最後の晩餐になるのだから味わって食えよ!」


カレーの入った大きな鍋と大きな箱を持った兵士達が牢屋の前に来てそう言った。


「やったー!僕カレー食べた事無いから嬉しい!!」


(確かにカレーは美味しそうじゃが、牢屋で食べるなんて・・・。しかも牢屋の中にはトイレもあるのに。まぁ、アーチが嬉しそうなら何でもいいか。)


大きな箱を開けると人数分の皿とスプーン、パンが入っていた。


「それでは私が取り分けますのでカレーをお召し上がりください。絶対に残さないようにお願いします。」


ラビはそう言って皿にカレーを盛り付け始めた。


「残しちゃ駄目なのか?さっきわし達はヘカダットの街で食事を済ませて来たばかりなんじゃが。」


「はい。駄目です。それでは皆さんにカレーが行き届きましたね。それでは食べるとしましょう。」


「罪人で牢屋に入れられている私に食事・・・。毒とかは入ってないですよね。」


アタルがラビに向かってそう言った。


「もちろん毒など入っておりません。心配されるのでしたら私から食べるとしましょう。」


カレーをスプーンで食べるラビ。


「これで毒が入ってない事が証明されましたか?」


「そ、そうですね。」


「僕、もう我慢出来ない!!いただきます!!」


2人のやり取りを見ていたアーチがそう言ってカレーを食べ始めた。


「源五郎!美味しいよ!!カレー美味しいよ!!!さっき食べたばかりなのに止まらないよ!!!」


「初めてのカレー美味しいか!良かったなぁ!それではわしも食べるとしよう!」


(具材は見当たらないが溶け込んでいるのかなぁ。それではいただきます。あーカレーじゃ!これはカレーじゃ!やや辛口でスパイシー!!なのにコクがあって美味しい!!パンに合うサラサラなカレーじゃな!!)


気がつけば意識不明のヴァルゴ以外全員完食していた。


「源五郎!美味しかったね!!」


「そうじゃな!!」


「やはりカレーは美味しいですね。」


「僕も美味しかったです。最後にこんな美味しい食べ物を食べれて・・・。」


「マールよ!最後じゃないぞ!姫を元の姿に戻して帰ってもっと美味しいものを食べましょうぞい!!」


「そうですね。」


「そういえばカレーの時間って何なんだったんじゃ?」


「カレーの時間とはカレー好きの王様が海の月の法律で決めている週に1度カレーを食べる時間です。王様はカレーが大好物なので海の月にいる者はその時間にカレーを食べないと罰せられます。また、カレーを残しても罰せられます。」


「罰せられるというと殺されるという事なのか?」


「そうです。」


「とんでもない法律じゃな!好きなものは好きな時に食べるのが一番美味しいのに!それを強要させようとするなんて!海の月にいる者って事はヴァルゴのように意識が無かったり体調が悪くて食べれない人もおるじゃろ!それはどうするんじゃ!?」


「先程言った通り全ての者が食べないといけません。殺されます。」


「なんじゃ!ここの王様は!!けしからんわしが喝を入れてやる。」


「源五郎、何するの?王様をやっちゃうって事?」


「フォーフォッフォッ!アーチよ楽しみにしておれ!!」


「うん!!」


「そこの監視の兵士さんよ!大事な話があるんじゃが・・・。」

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