8:天使すぎるじゃろ!
村の中に入ると木で造られた家が並んでいた。そこからわしの事を覗く住人。
「この村の人達はわしの事をまるで不審者を見るように見てくるなぁ。」
「この村に人が来るのは何十年ぶりって村長が言ってたからしょうがないよ。」
「そうなんじゃな。前に来た人はどんな人だったんじゃ?」
「聞いた話だと、ドラゴンが村に出た時に村を救った勇者様なんだって!」
「勇者!?ドラゴン!?勇者もドラゴンも存在するんじゃな!」
「源五郎は本当に何も知らないんだね。勇者様もドラゴンも存在するよ!!」
「すまんなぁ。離れたところに住んでたから分からない事多いんじゃ。」
無邪気な笑顔でわしに話しかけてくるアーチ少年がまぶしすぎると思っているとアーチ少年の家に到着した。
「ここが僕の家だよ。源五郎入って。」
「失礼するぞい。」
家の中は木製のテーブルにいすが並べられており、その奥に台所があった。
キレイに片付けられていた。
家の中をジロジロ見ていると奥の部屋から黒髪で長身のイケメンがあらわれた。
「あなたが源五郎さんですね。私はアーチの兄のディーン。弟を助けてくれてありがとうございます!!」
「いえいえ。人としては当然のことですぞい!!」
「何も無い家ですがゆっくりしていってくださいね。」
「ありがとうございますぞ!」
「お兄ちゃんまだ体調悪いんだから自分の部屋に戻ってー。これから源五郎にご飯作るの!」
「お兄ちゃんもアーチの手料理食べたいなぁ~!!」
「お兄ちゃんいつも食べてるでしょ。ほら早く部屋に戻って!」
「源五郎さん。それでは。」
アーチ少年に押されて話をしている途中で部屋に戻るディーン少年。
仲が良い兄弟にほっこりじゃな!
「じゃあ料理作るから椅子に座って待ってて。」
2つしかない椅子の1つに座る。
たぶんディーン青年がいつも座っている椅子じゃな。
そういえば、アーチ少年の両親は・・・。
あまり深く聞くのも失礼かな。アーチ少年の料理する後ろ姿を見ながら思った。